宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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7章(終章) 美しいホシ

103.ホシ(6/9)

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「わ……わかった……。どうぞ!」

 もうバンジージャンプをする覚悟で銀太郎を見た。
 あ。
 銀太郎、こんなにうれしそうに笑うんだね。
 胸がまたギュッと痛くなる。
 耳の奥でうるさいくらいに心臓の音が響く。
 心の声が届くなら、このドキドキまで伝わってしまいそうだ。
 銀太郎が姿勢を正してもう一度私の手の甲に顔を近づけた。
 思わず目を閉じる。緊張して手がふるえるのがわかった。

「アオイ様、ナクペンダ……サーナ……」

 ナクペンダサーナ。

 もう一度ささやく声が聞こえて、銀太郎の唇がそっと手の甲にふれた。

 ムニッ。

 ……むに?
 少しひんやりとしたスベスベの感触があって、おそるおそる目を開ける。
 一面銀色のツルツルだった。

「へっ?」

 銀太郎の後頭部が、銀色の、ツルツルううーーーーっ⁉︎

「いやあああっ! いきなり何なのっ銀太郎のおバカーっ!!」

 力いっぱい手を払いのけた。
 払いのけたはずだった。
 私の手だけが思いきりくうる。

「あれ? 銀太郎?」

 銀太郎……?
 そこに銀太郎の姿はなかった。私ひとりがベンチに座って周囲を見回していた。

「銀太郎? どこに行ったの?」

 何度も、何度も周りを見て、何度も、何度も空を見上げた。

「ぎん……た……ろう……」

 うそ……帰っちゃったの?
 何も言わずにいきなり?
 まだちゃんとお別れのあいさつをしていないのに⁉︎
 バイバイって手をふって、今まで楽しかったねって笑って、「またね」って最高の笑顔で言って、それから、それから……。
 あんなに頭の中でシミュレーションしたのに!

「あ……ここだけ木がなくて空がよく見えるの……最初からそのつもりだったんだ……」

 私、なんにもできていないのに。
 銀太郎にありがとうって言っていない。
 銀太郎に大好きだよって言っていない!
 なんでいきなり帰っちゃうの?
 銀太郎……。

 銀太郎のおバカーーーーっ!!!!

 ポロポロ、ポロポロと。
 雨が降ってきた。
 ゲリラ豪雨だよ。
 泣いたらスッキリして元気になれるって前に自分で言ったけれど……自信ないな。
 でも、銀太郎はもういないのだからしっかりしないとね。
 優しくしないでって、もう言わなくてすむよね。放っておいてって言いながらドキドキしなくてすむよね。
 やだなあ。私、もっと強い子だったはずなのに。
 ……しっかりしないとね。

「川上さん……」

 え?
 急に声をかけられてふり返った。

「藤井……君?」
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