宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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7章(終章) 美しいホシ

102.ホシ(5/9)

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「そうでし」
「な、な、なっ⁉︎ なに言っちゃってるのよ銀太郎? そんなのありえないってムリムリそんな恥ずかしいことそんないきなりででででできないし何いきなり言っちゃってるのっーーっ⁉︎」

 何この展開ーーーーっ⁉︎

「何言っているでし? お手なのでしよ?」
「お手?」
「お手っ」
「はい?」

 言われるまま手を出すと、銀太郎はそっと支えるように指先を取って手の甲に顔を近づけた。

「ワタシ銀太郎はこの命にかえても地球を守りまし。アオイ様に永遠の忠誠をチカウのでし。別にフツーのことでしよ?」

 あ、お姫様の手の甲に騎士がチュッてするアレか。あーびっくりした。

「って? フツー⁉︎ へっ? ぎゃーっダメでしょっ! 日本にそんな習慣ないないないっ!」
「あぎゃっ」

 手を払おうとするのを無理やりつかまれてバタバタ動かしているうちに、勢いで銀太郎の胸に頭突きをしてしまった!

「……ごめん」
「ハイでし」
「……離れて……ほしいかな」
「ちょっとお待ちでし」

 銀太郎に寄りかかるようなかっこうで、手までつかまれたまま身動きが取れなくなってしまっている。
 これ、恥ずかしいんですけど?
 ドラマとかなら、もうドキドキで見ていられないシーンだよ?

「アオイ様。ワタシがアオイ様と出会ったのは、まだ運命ではないのでし。運命とは、日々の小さな行いを積み重ねた先に見える高確率の事象じしょうのことでし。いつの日か昔をふり返った時に、あれは運命だったという美談にするのでし」
「……なんだか夢がないなあ」
「夢、必要ないでし。運命は作るのでし」
「作る?」
「ワタシ、アオイ様と出会ったことをいつの日か運命にするのでし。アオイ様、ずっと仲良しと言ってくれますた。会えなくても、またいつかと願ってくれますた。また会えたら、それ運命。ただし一回ではないのでし。何度も、何度も、次のまたいつかをくりかえして、アオイ様の時間とワタシの時間重なった時、はじめて運命確信しまし。そうしてやっと、偶然アオイ様に出会って離島リゾートキャンセルしたこと、運命にできるのでし」
「銀太郎……離島リゾート行きたかったんだ。残念だったね」
「だからお手なのでしよ。私、またいつかアオイ様に会えるよう努力しまし。だから忠誠チカウの儀式させてほしいのでしよ」
「……い……いけど……」

 恥ずかしい。

「アオイ様どこ見て言っていまし? ワタシここでしよ。ワタシ見て言うのでし」

 ひえーーっ⁉︎ ムリムリムリムリ!

「アオイ様……?」

 そんな悲しそうに言わないでーーっ!!
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