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6章 幼年期のオワリ
74.オワリ(20/43)
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そうだよ。荒井さんの孫は、運がいい。
「そんなに運がいいの? それは大発見だね。具体的に教えてくれるかな」
パパはうれしそうだ。頑張って言ってごらんと目で訴えてくる。
授業参観で発表中の自分の子に手をふっちゃう親みたい。こっちが恥ずかしくなるくらい応援されているのがわかるけれど、それ、すごく子どもあつかいだよ?
って、その横で銀太郎はふきげんそうなんですけど。
私は荒井さんの孫が大事とかじゃなくて、心配しているだけでしょう? なにすねているのよ、もうっ。
あれ? それって……ヤキモチ⁉︎
前に孫の話をした時に銀太郎は自分でヤキモチだと言っていたけれど、私なんて宇宙人から見たら観葉植物なのでしょう? ただのアサガオでしょう?
ヤキモチをやくなら、なんでそんなに素っ気ないのよ。なんでそんなに遠い感じになっちゃったのよ⁉︎
「こらっ銀太郎。そんな怖い顔していたら葵ちゃんが話せないよ」
パパに注意された銀太郎は、しょんぼりしてしまった。
わあ、銀太郎ごめん。今のはヌレギヌだね。
「パパ、あのね。荒井さんの孫はせっかく運がいいのだから、それを最大限利用するべきだと思うの。それってズルじゃないでしょう?」
うなずくパパのとなりで、銀太郎はおとなしく話を聞いているみたいだ。
「まず、おじいさんがパパと知り合いだったこと。パパは地球防衛隊をよく知っているから、この状況を全部理解できるのでしょう? それから、パパが銀太郎と仲良しで、しかも銀太郎がウチにいたこと。そもそも銀太郎がウチに来たのは本当に偶然でしょう? 地球人愛護協会が銀太郎に荒井さんのフォローをお願いしたのだって、たまたまウチにいたからでしょう? そして、荒井さんが少し前にパパに相談に来ていたこと。家出する前のタイミングで良かったよね。だから私たちはすぐに事情がわかったもの。すごくない? 私たち、その子に会ったこともないのに色々知っていて、行き先までわかっているんだよ? もうお迎えに行くのは運命じゃない⁉︎ その子が困っていたら、私たちには手伝えることがきっとあるよ!」
「運がいいのはマゴではなくてアライサンのほうでし」
パパの代わりに答えた銀太郎にはどこかトゲがあった。
「荒井さんの方?」
「そうでしよ。預かった宇宙人のアツカイに困って愛護協会に泣きついた時に、知り合いのケイちゃんがたまたま宇宙人を泊めていたでし。アライサン、宇宙人に会えて自分だけ元気になって、今度はマゴが家出したのでワレワレに探させる気でし。ケイちゃんは関わりたくないけど、アオイ様優しいから放っておけない。ケイちゃんはアオイ様の願い断れない。アライサン、超ラッキーでし」
「……銀太郎はお迎えに行くのはどうしても反対? でも、超ラッキーって言うのだから迎えに行っていいの? 適性検査には影響しない?」
「アオイ様言うとおり、運が良いのは高得点。地球人に助けてもらえるの、高評価」
「銀太郎は関わりたくないんだよね?」
「迎えに行くのはあくまでアオイ様でし。ワタシただのつきそい。……マゴは現在も移動中。市街地から遠ざかっていましね。周辺にマゴが寄りそうな施設ないから、目的地はマンガンノモリでほぼ確定でしね。アオイ様、本当にお迎え望みましか?」
目を合わせられないけれど、銀太郎がしっかりと私を見ているのがわかる。
「行きたい。私、その子を迎えに行きたい」
銀太郎はゆっくりとうなずいた。
「そんなに運がいいの? それは大発見だね。具体的に教えてくれるかな」
パパはうれしそうだ。頑張って言ってごらんと目で訴えてくる。
授業参観で発表中の自分の子に手をふっちゃう親みたい。こっちが恥ずかしくなるくらい応援されているのがわかるけれど、それ、すごく子どもあつかいだよ?
って、その横で銀太郎はふきげんそうなんですけど。
私は荒井さんの孫が大事とかじゃなくて、心配しているだけでしょう? なにすねているのよ、もうっ。
あれ? それって……ヤキモチ⁉︎
前に孫の話をした時に銀太郎は自分でヤキモチだと言っていたけれど、私なんて宇宙人から見たら観葉植物なのでしょう? ただのアサガオでしょう?
ヤキモチをやくなら、なんでそんなに素っ気ないのよ。なんでそんなに遠い感じになっちゃったのよ⁉︎
「こらっ銀太郎。そんな怖い顔していたら葵ちゃんが話せないよ」
パパに注意された銀太郎は、しょんぼりしてしまった。
わあ、銀太郎ごめん。今のはヌレギヌだね。
「パパ、あのね。荒井さんの孫はせっかく運がいいのだから、それを最大限利用するべきだと思うの。それってズルじゃないでしょう?」
うなずくパパのとなりで、銀太郎はおとなしく話を聞いているみたいだ。
「まず、おじいさんがパパと知り合いだったこと。パパは地球防衛隊をよく知っているから、この状況を全部理解できるのでしょう? それから、パパが銀太郎と仲良しで、しかも銀太郎がウチにいたこと。そもそも銀太郎がウチに来たのは本当に偶然でしょう? 地球人愛護協会が銀太郎に荒井さんのフォローをお願いしたのだって、たまたまウチにいたからでしょう? そして、荒井さんが少し前にパパに相談に来ていたこと。家出する前のタイミングで良かったよね。だから私たちはすぐに事情がわかったもの。すごくない? 私たち、その子に会ったこともないのに色々知っていて、行き先までわかっているんだよ? もうお迎えに行くのは運命じゃない⁉︎ その子が困っていたら、私たちには手伝えることがきっとあるよ!」
「運がいいのはマゴではなくてアライサンのほうでし」
パパの代わりに答えた銀太郎にはどこかトゲがあった。
「荒井さんの方?」
「そうでしよ。預かった宇宙人のアツカイに困って愛護協会に泣きついた時に、知り合いのケイちゃんがたまたま宇宙人を泊めていたでし。アライサン、宇宙人に会えて自分だけ元気になって、今度はマゴが家出したのでワレワレに探させる気でし。ケイちゃんは関わりたくないけど、アオイ様優しいから放っておけない。ケイちゃんはアオイ様の願い断れない。アライサン、超ラッキーでし」
「……銀太郎はお迎えに行くのはどうしても反対? でも、超ラッキーって言うのだから迎えに行っていいの? 適性検査には影響しない?」
「アオイ様言うとおり、運が良いのは高得点。地球人に助けてもらえるの、高評価」
「銀太郎は関わりたくないんだよね?」
「迎えに行くのはあくまでアオイ様でし。ワタシただのつきそい。……マゴは現在も移動中。市街地から遠ざかっていましね。周辺にマゴが寄りそうな施設ないから、目的地はマンガンノモリでほぼ確定でしね。アオイ様、本当にお迎え望みましか?」
目を合わせられないけれど、銀太郎がしっかりと私を見ているのがわかる。
「行きたい。私、その子を迎えに行きたい」
銀太郎はゆっくりとうなずいた。
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