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6章 幼年期のオワリ
57.オワリ(3/43)
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「ねえ、ひな子。藤井君は塾にも来ていないの?」
「そうなの! 見ないんだよね。今までなら、学校を休んでも塾にいたりしたんだけど。先週末は模試まで欠席だった」
そんなに具合悪いのかな……。
「ヒョエー。ひな子、週末模試だったんだ」
「月イチであるからね。でも、成績がイイと『かめかめ』グッズをゲットできるから楽勝だよ?」
ひな子の勉強は推し活の一環なのか……。
「さっすがーっ! あ、この前の年越し東京ライブがDVDになるっていうからさ……」
二人で推し芸人「かめやまかめだ」の話が始まった。一気にテンション爆上がりで、まわりの気温まで上げそうだ。
そういえば、私ってば銀太郎が家に来てから本物の滝川蓮君から離れてしまっていたな。
蓮君の姿ならすぐ近くでずっと見続けているけれど、あれは銀太郎なんだよね。
銀太郎とのお別れをイメージトレーニングしようと思って三日前に雑誌の蓮君を見た時は、笑顔のこれじゃない感がハンパなくて思わず雑誌を閉じてしまった。
銀太郎はこんなふうに笑わない。
オリジナルの蓮君にダメ出しするなんて、どうかしている。
でも、銀太郎はちがうんだもの。
蓮君とは全然ちがうんだもの。
「ねえ、葵って最近蓮君の話しないよね? あたしが『かめかめ』のことばっかり話しているから?」
「え? ……そうだっけ?」
美央が不思議そうに訊いてきた。私って今までそんなに蓮君を話題にしていたっけ?
「そんなの決まってるじゃーん。リア充でしょ。り、あ、じゅ、う。めんどうな藤井のことばっかり考えて忙しいんでしょ?」
うわー、ひな子って相変わらず思ったまま直球。これでからかうつもりが一ミリもないのがひな子なんだよね。
「別に藤井君は関係ないでしょう? だっていつも考えているのは……」
銀太郎のことだ……もの?
はややややっ⁉︎
……いやいやいやいやっ、ないない。
それ、ちがうって。
現在進行形の非日常の大問題が銀太郎がらみだから、どうしたって銀太郎を考えちゃうだけだし。
なんで銀太郎? どこから銀太郎?
いつから……銀太郎?
「葵、なにあせっているのよ? 今さらでしょ。隠すことないって。あたしはずーっと応援しているから、大丈夫だって」
ええええ?
ちがうちがう。
藤井君はかっこいいしステキなんだけれど……。
「そうなの! 見ないんだよね。今までなら、学校を休んでも塾にいたりしたんだけど。先週末は模試まで欠席だった」
そんなに具合悪いのかな……。
「ヒョエー。ひな子、週末模試だったんだ」
「月イチであるからね。でも、成績がイイと『かめかめ』グッズをゲットできるから楽勝だよ?」
ひな子の勉強は推し活の一環なのか……。
「さっすがーっ! あ、この前の年越し東京ライブがDVDになるっていうからさ……」
二人で推し芸人「かめやまかめだ」の話が始まった。一気にテンション爆上がりで、まわりの気温まで上げそうだ。
そういえば、私ってば銀太郎が家に来てから本物の滝川蓮君から離れてしまっていたな。
蓮君の姿ならすぐ近くでずっと見続けているけれど、あれは銀太郎なんだよね。
銀太郎とのお別れをイメージトレーニングしようと思って三日前に雑誌の蓮君を見た時は、笑顔のこれじゃない感がハンパなくて思わず雑誌を閉じてしまった。
銀太郎はこんなふうに笑わない。
オリジナルの蓮君にダメ出しするなんて、どうかしている。
でも、銀太郎はちがうんだもの。
蓮君とは全然ちがうんだもの。
「ねえ、葵って最近蓮君の話しないよね? あたしが『かめかめ』のことばっかり話しているから?」
「え? ……そうだっけ?」
美央が不思議そうに訊いてきた。私って今までそんなに蓮君を話題にしていたっけ?
「そんなの決まってるじゃーん。リア充でしょ。り、あ、じゅ、う。めんどうな藤井のことばっかり考えて忙しいんでしょ?」
うわー、ひな子って相変わらず思ったまま直球。これでからかうつもりが一ミリもないのがひな子なんだよね。
「別に藤井君は関係ないでしょう? だっていつも考えているのは……」
銀太郎のことだ……もの?
はややややっ⁉︎
……いやいやいやいやっ、ないない。
それ、ちがうって。
現在進行形の非日常の大問題が銀太郎がらみだから、どうしたって銀太郎を考えちゃうだけだし。
なんで銀太郎? どこから銀太郎?
いつから……銀太郎?
「葵、なにあせっているのよ? 今さらでしょ。隠すことないって。あたしはずーっと応援しているから、大丈夫だって」
ええええ?
ちがうちがう。
藤井君はかっこいいしステキなんだけれど……。
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