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5章 星からのキカン
44.キカン(10/20)
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「ただいまー。少し遅くなっちゃった」
「ただいまでしー」
自分でも声が明るいのがわかる。
銀太郎は相変わらずテンションが高い。
私たち、ちゃんと元気だね。
二人して思わず顔を見合わせた。
そんなおだやかな雰囲気に、お母さんも笑顔になる。
うん。いい感じ。
なにか大事な、肝心なことを忘れた気がして、玄関のせまい空間で銀太郎を見上げると、銀太郎は口が「あ」の形になったまま固まっていた。
え?
ふり返ってお母さんを見ると、お母さんは目が丸くなったままま立ちつくしている。
ええっ⁉︎
もう一度ふり返ると、玄関の外に私が忘れた大事で肝心な答えを見つけた。
「パパ⁉︎」
パパだ。パパがいる!!
「ただいまあ。いやあ、帰るのが少し遅くなっちゃったねえ」
私と銀太郎の間に立って靴を脱ぎ、いつもと全く変わらない笑顔で部屋の奥に向かおうとする。
「ああ、おみやげを買ってきたんだよ? これ、本当に珍しいもので……」
パパ、帰って来れたんだ!
夢じゃないんだ!
私とお母さんはお互いを見てうなずいた。
「パ……」
「ケイちゃんっ!!」
次の瞬間、パパに抱きついて泣き出したのはお母さんでも私でもなく、家族でも地球人でもない銀太郎だった。
まるでタックルするように勢いよくパパにしがみついた銀太郎は、わあわあ泣きながら頭をパパの胸にこすりつける。
「ケイちゃん無事だった! ケイちゃん帰ってきた! ケイちゃん! ケイちゃん! ケイちゃんっ!」
パパとおみやげの「ポリスまんじゅう」は、銀太郎に押し倒されて床に転がった。
なおもおおいかぶさって泣き続ける銀太郎の頭をなでながら、パパは困ったように笑っていた。
「心配かけたね。ごめん、フェザ……」
フェザ⁉︎
パパは、はっきりと銀太郎をそう呼んだ。
銀太郎の本来の名前をなんでパパが知っているの?
知っていたとして、なんでそんなに親しげに呼んでいるの⁉︎
それよりも、銀太郎の「ケイちゃん」ってなに!!
パパは桂介だからケイちゃんだけれど、なんで二人してそんなに親密なのよ⁉︎
……この短期間の同居生活で、なにかとんでもないことが……。
「パパ、どういうこと?」
お母さんが、床に転がったままの二人を見下ろして静かに訊いた。
これ、どう考えても感動の再会シーンの空気じゃないんだけど。
「へ?」
パパはお母さんのほのかな殺気に困惑して銀太郎にしがみついた。
それ、ダメだと思う。
「わあ、お母さん様落ち着いて。これにはフカーイ事情がございましでして」
銀太郎はパパにしがみついたまま上半身を起こした。
それも、ダメだってば!
お母さんがなんとなく怖い。
抱き合っているパパと銀太郎が、まるでふるえながらお母さんに命乞いをしているみたいに見えてきた。
「お母さん、実はね……」
パパの弁明を銀太郎がさえぎった。
「オカーサン様申し上げまし。ワタシタチ、おつきあいさせていただいておりまし!!」
……銀太郎。ひとの家庭を壊すような発言、しないでくれる?
「アレ? ちがいまし?」
私とお母さんの冷たい視線に、銀太郎は言葉のまちがいをさとったらしい。
お母さんはチラリとパパを見たけれど何も言わなかった。
え? お母さん、疑っちゃっているの?
……まさか、ね。
「ただいまでしー」
自分でも声が明るいのがわかる。
銀太郎は相変わらずテンションが高い。
私たち、ちゃんと元気だね。
二人して思わず顔を見合わせた。
そんなおだやかな雰囲気に、お母さんも笑顔になる。
うん。いい感じ。
なにか大事な、肝心なことを忘れた気がして、玄関のせまい空間で銀太郎を見上げると、銀太郎は口が「あ」の形になったまま固まっていた。
え?
ふり返ってお母さんを見ると、お母さんは目が丸くなったままま立ちつくしている。
ええっ⁉︎
もう一度ふり返ると、玄関の外に私が忘れた大事で肝心な答えを見つけた。
「パパ⁉︎」
パパだ。パパがいる!!
「ただいまあ。いやあ、帰るのが少し遅くなっちゃったねえ」
私と銀太郎の間に立って靴を脱ぎ、いつもと全く変わらない笑顔で部屋の奥に向かおうとする。
「ああ、おみやげを買ってきたんだよ? これ、本当に珍しいもので……」
パパ、帰って来れたんだ!
夢じゃないんだ!
私とお母さんはお互いを見てうなずいた。
「パ……」
「ケイちゃんっ!!」
次の瞬間、パパに抱きついて泣き出したのはお母さんでも私でもなく、家族でも地球人でもない銀太郎だった。
まるでタックルするように勢いよくパパにしがみついた銀太郎は、わあわあ泣きながら頭をパパの胸にこすりつける。
「ケイちゃん無事だった! ケイちゃん帰ってきた! ケイちゃん! ケイちゃん! ケイちゃんっ!」
パパとおみやげの「ポリスまんじゅう」は、銀太郎に押し倒されて床に転がった。
なおもおおいかぶさって泣き続ける銀太郎の頭をなでながら、パパは困ったように笑っていた。
「心配かけたね。ごめん、フェザ……」
フェザ⁉︎
パパは、はっきりと銀太郎をそう呼んだ。
銀太郎の本来の名前をなんでパパが知っているの?
知っていたとして、なんでそんなに親しげに呼んでいるの⁉︎
それよりも、銀太郎の「ケイちゃん」ってなに!!
パパは桂介だからケイちゃんだけれど、なんで二人してそんなに親密なのよ⁉︎
……この短期間の同居生活で、なにかとんでもないことが……。
「パパ、どういうこと?」
お母さんが、床に転がったままの二人を見下ろして静かに訊いた。
これ、どう考えても感動の再会シーンの空気じゃないんだけど。
「へ?」
パパはお母さんのほのかな殺気に困惑して銀太郎にしがみついた。
それ、ダメだと思う。
「わあ、お母さん様落ち着いて。これにはフカーイ事情がございましでして」
銀太郎はパパにしがみついたまま上半身を起こした。
それも、ダメだってば!
お母さんがなんとなく怖い。
抱き合っているパパと銀太郎が、まるでふるえながらお母さんに命乞いをしているみたいに見えてきた。
「お母さん、実はね……」
パパの弁明を銀太郎がさえぎった。
「オカーサン様申し上げまし。ワタシタチ、おつきあいさせていただいておりまし!!」
……銀太郎。ひとの家庭を壊すような発言、しないでくれる?
「アレ? ちがいまし?」
私とお母さんの冷たい視線に、銀太郎は言葉のまちがいをさとったらしい。
お母さんはチラリとパパを見たけれど何も言わなかった。
え? お母さん、疑っちゃっているの?
……まさか、ね。
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