宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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5章 星からのキカン

42.キカン(8/20)

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「大雨だったでしね。ゲリラ豪雨言いましか?」
「……ひどいな。そこまでじゃないでしょ」

 涙が止まらなくなって、気持ちも止まらなくなって、わんわん泣いたら本当にスッキリした。
 あー、疲れた。
 目が赤いのもはれぼったくなってしまったのもハンカチで隠しているけれど、銀太郎にはばっちり見られてしまった。恥ずかしい。
 このまま家に帰ったらお母さんに心配されそうだから、帰り道の途中にある公園のベンチに座って時間をつぶすことにした。

「目が変なのスグに戻りまし。アオイ様、どんな顔でもいつも愛らしいでし」

 ぜんっぜんうれしくない。絶対ひどい顔になっているのに、いつもとたいして変わらないと言われているように聞こえるんですけど?
 だいたい、「可愛かわいらしい」ではなく「愛らしい」っていう表現がビミョーで色々配慮されている気がする。

「アオイ様、泣いたらきげん悪くなりましか?」
「……元気で楽しいよ。ほら、笑っているでしょ」
「……判別不能でし」

 失礼の数々は宇宙人に免じて今回だけは許すことにしよう。

「ああ、そうだ。藤井君がまた銀太郎に会いたいって言っていたの。なんだか色々悩んでいるっぽくて、たぶん銀太郎に相談したいんじゃないかなあって……」
「できません」

 即答だった。

「フジークンにはお会いできません」
「え、あ……そう。そうなんだ。じゃあ、銀太郎はもう帰ったって言っておけばいいかな」
 私があっさりと引き下がったのが意外だったのか、銀太郎はじっと私を見ていた。
「なんで、て訊かないでしか?」
「宇宙人は地球人に干渉しないのでしょう?   だから、あんまり関わったらいけないのかなって思って」

 藤井君には申し訳ないけれど、銀太郎は地球規模の事情を抱えている。

「そうでしね。でも、それ以前にワタシ宇宙人。感覚がちがう地球人のオナヤミ相談、門外漢」
「銀太郎は地球で育ったんでしょう?   それなら元地球人じゃないの?   ……そうか、世代間ギャップ!   銀太郎、地球だとおじさんだものね」
「地球ではワタシぴちぴち二十歳でし。アオイ様が大人になっても永遠ぴちぴち二十代の……」

 銀太郎の言葉はそこで止まった。
 少しだけさびしそうに笑って、私を見続けていた目をそらした。
 うん、そうだよね。
 銀太郎と地球人とでは一生の時間がちがう。きっと銀太郎から見たら、地球人なんてあっという間に大きくなってあっという間に消えてしまうのだろうね。
 そう思うと、私と銀太郎との出会いは本当にキセキだ。
 私たちはすれちがわなかったのだから。

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