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4章 コンタクト
26.コンタクト(2/10)
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停まっていた車がみんないなくなってから家に帰ると、お母さんは電話中だった。
家の中はきれいに片づいている。
パパの荷物だけがすっかり消えて、本だなの「月刊ウー」も全てなくなっていた。きっとダンボール箱の中身は、ほとんどが「月刊ウー」だ。
「ああ、葵! お帰り。大丈夫だった? パパが警察に連れて行かれちゃったの!」
「下で見た」
「いきなり警察の人が来てもう、びっくり。でも、大丈夫。きっとすぐに帰って来るから」
「うん……」
パパもすぐに戻ると言った。
でもそんなの、私を心配させたくなくて言ってくれただけでしょう?
「今、パパの職場の人から連絡があって、パパが取り調べでしばらく仕事に行けないって警察から報告されたんですって」
「そんなことをわざわざ職場に伝えてくれるの?」
「警察が、パパの職場も捜索しに行ったみたいよ」
「そんなに大ごとなの? パパ、本当になにをやっちゃったの⁉︎」
「……きっとワタシのせいでし」
銀太郎が、消えそうな声で言った。
「ワタシ今、行方不明アツカイでし。この場所でUFO降りて消えたから、パパ様きっと誘拐疑われました」
ええええーーーー?
「パパが、誘拐犯?」
「ホカ、理由ないでし」
……確かに。実は国際テロ組織とか、ヒミツのエージェントとか、ウチのパパに限ってありえない。
銀太郎は申し訳なさそうに頭を下げた。
パパを心配してくれているんだ。
でも、銀太郎はまだ怒っている。
私たちには頭を下げたけれど、パパを連れて行った人たちに対してものすごく怒っている。
「銀太郎君、今日お出かけして疲れたでしょう? とりあえず、ご飯にしようか。あ、今日ねえ、ちょーっとお高いベルギーチョコアイス買ってあるんだよ? ね?」
「ハイ。うれしいでし……」
お母さんも銀太郎が怒っているのを感じたのだと思う。
三人が、緊張しているのにいつもと同じフリをする。
こういうのは、他人行儀でちょっとイヤだな。
銀太郎は、超高級プレミアベルギーチョコアイスを食べてご機嫌な顔をした。
キンキンに冷えて固まったアイスは、お母さんが銀太郎のためだけに買ってストックしておいたものだ。
それがわかっているから、こんな非常事態でも銀太郎はお母さんへの感謝を最高の笑顔で伝える。
いつもより笑い方がぎこちなくて、少し照れたようにも見える。
それちょっと、破壊力あり過ぎなんだけど!
ああ、蓮君がアイスのコマーシャルをやったらこんな感じかな。いきなりテレビで流れたら、私もすぐにそのアイスを買いに行くかな。でも、蓮君のアイスをほしいと思ったら、きっともうお母さんかパパが買ってきてくれていて、ジャジャーンって出して……。
「アオイ様、おハシ落ちそうでし。手、止まってまし」
「あ……」
ご飯がにじんでぼやけている。
目をこすろうとしたら、いきなり横から銀太郎の手がのびてきた。
手の甲で優しく目の下にふれてから、私の顔をのぞき込む。
「雨でしか? 天気予報、晴れでし。ちゃんと、晴れでし。大丈夫」
「そう、だよね。大丈夫、だよね?」
「ハイでし」
『銀太郎、葵を頼む』
パパの言葉を思い出した。
銀太郎はちゃんと頼まれているよ、パパ。
あと、蓮君に見とれて一瞬パパのことを忘れてごめんなさい。
家の中はきれいに片づいている。
パパの荷物だけがすっかり消えて、本だなの「月刊ウー」も全てなくなっていた。きっとダンボール箱の中身は、ほとんどが「月刊ウー」だ。
「ああ、葵! お帰り。大丈夫だった? パパが警察に連れて行かれちゃったの!」
「下で見た」
「いきなり警察の人が来てもう、びっくり。でも、大丈夫。きっとすぐに帰って来るから」
「うん……」
パパもすぐに戻ると言った。
でもそんなの、私を心配させたくなくて言ってくれただけでしょう?
「今、パパの職場の人から連絡があって、パパが取り調べでしばらく仕事に行けないって警察から報告されたんですって」
「そんなことをわざわざ職場に伝えてくれるの?」
「警察が、パパの職場も捜索しに行ったみたいよ」
「そんなに大ごとなの? パパ、本当になにをやっちゃったの⁉︎」
「……きっとワタシのせいでし」
銀太郎が、消えそうな声で言った。
「ワタシ今、行方不明アツカイでし。この場所でUFO降りて消えたから、パパ様きっと誘拐疑われました」
ええええーーーー?
「パパが、誘拐犯?」
「ホカ、理由ないでし」
……確かに。実は国際テロ組織とか、ヒミツのエージェントとか、ウチのパパに限ってありえない。
銀太郎は申し訳なさそうに頭を下げた。
パパを心配してくれているんだ。
でも、銀太郎はまだ怒っている。
私たちには頭を下げたけれど、パパを連れて行った人たちに対してものすごく怒っている。
「銀太郎君、今日お出かけして疲れたでしょう? とりあえず、ご飯にしようか。あ、今日ねえ、ちょーっとお高いベルギーチョコアイス買ってあるんだよ? ね?」
「ハイ。うれしいでし……」
お母さんも銀太郎が怒っているのを感じたのだと思う。
三人が、緊張しているのにいつもと同じフリをする。
こういうのは、他人行儀でちょっとイヤだな。
銀太郎は、超高級プレミアベルギーチョコアイスを食べてご機嫌な顔をした。
キンキンに冷えて固まったアイスは、お母さんが銀太郎のためだけに買ってストックしておいたものだ。
それがわかっているから、こんな非常事態でも銀太郎はお母さんへの感謝を最高の笑顔で伝える。
いつもより笑い方がぎこちなくて、少し照れたようにも見える。
それちょっと、破壊力あり過ぎなんだけど!
ああ、蓮君がアイスのコマーシャルをやったらこんな感じかな。いきなりテレビで流れたら、私もすぐにそのアイスを買いに行くかな。でも、蓮君のアイスをほしいと思ったら、きっともうお母さんかパパが買ってきてくれていて、ジャジャーンって出して……。
「アオイ様、おハシ落ちそうでし。手、止まってまし」
「あ……」
ご飯がにじんでぼやけている。
目をこすろうとしたら、いきなり横から銀太郎の手がのびてきた。
手の甲で優しく目の下にふれてから、私の顔をのぞき込む。
「雨でしか? 天気予報、晴れでし。ちゃんと、晴れでし。大丈夫」
「そう、だよね。大丈夫、だよね?」
「ハイでし」
『銀太郎、葵を頼む』
パパの言葉を思い出した。
銀太郎はちゃんと頼まれているよ、パパ。
あと、蓮君に見とれて一瞬パパのことを忘れてごめんなさい。
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