宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

文字の大きさ
上 下
24 / 106
3章 未知とのセッショク

24.セッショク(9/9)

しおりを挟む
 有意義だった。
 藤井君にとって、今日は人生で最も有意義な日だったそうだ。
 銀太郎に会って、話していたのはもっぱら藤井君だったけれど、今までの熱い思いを全て言葉にしてスッキリしたらしい。
 また会いたい。
 そう言って今日は別れた。
 すっかり日がれている。
 そういえば、出かける前にパパが言っていた。

「話し始めたらきっと止まらなくなるから、帰りはおそいと思っておくよ。相手のお家にごめいわくにならない時間には帰っておいでね」

 パパと藤井君はよく似ている。きっとパパも藤井君をとてもよく理解してくれるだろう。
 それなら銀太郎は?
 宇宙に興味がつきない藤井君を銀太郎はどう思ったのだろう。
 銀太郎がどんな宇宙人なのかは知らないけれど、宇宙人は平和的だって言っていたし、ずっと優しい目で見ていたし。
 これからも仲良くしてくれたら、私もうれしいな。

「銀太郎、今日はありがとう」
「アオイ様、フジークンのためにお礼言いましか?」
「え? うーん、それもあるけど。私も楽しかったから」
「フジークンといっしょで楽しかったでしか?」
「ええ? 楽しかったけど……」
「ワタシ、今日楽しかったでし。アオイ様といっしょに出かけました。アオイ様といっしょにUFOの話しました。アオイ様といっしょに今、帰っていまし」
「……。私も、銀太郎といっしょで楽しかった、よ?」
「なら、いいでし」

 んんん? 銀太郎、機嫌悪い?
 チラリと銀太郎を見ると、いつもどおりの優しい笑顔で帰り道の全てを楽しそうに見ていた。
 UFOから見るのと地上から見るのとでは、全然景色もちがうのだろうな。

「銀太郎……あの三角UFOに乗っていたんだよね?」
「それヒミツ。地球側の機密でしよ」
「ふうん。宇宙人っていっぱいいるの?」
「地球にいっぱい。だいたい会わないでしけど、地球人のフリの人いるでしよ」
「ところで、銀太郎って今いくつなの?」
「三十五歳」
「え? さんじゅー……ごおお⁉︎」
「ハイ。でも地球来ての年齢でしね。ワタシの存在、三百年。これまだピチピチ若いでし」

 うそっ。銀太郎、おじさんだったの⁉︎

「地球人といっしょにしないで下さいでし。地球計算なら二十歳くらいでしから。あれ? アオイ様? 動いてませんでしよ? アオイ様ーーーー?」

 地球に来て三十五年。
 つい最近、遠い星から来たのではなかったの?
 銀太郎って……何者⁉︎
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~

友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。 全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。

鬼にかすみ草

梅酒ソーダ
児童書・童話
鬼鳴山に住む鬼の夜丸(よまる)は、人間達を襲って食う鬼の風習に疑問を持ちながら過ごしていたが、遂に集落を追放されてしまう。途方に暮れながらもお気に入りの場所であるかすみ草畑で寝転び、人と鬼が共存して生きる世界を夢見ていると、一人の少女に出会い……。

かめさいじき

山碕田鶴
絵本
カメたちの のんびりゆる~い歳時記です。 四季折々の風景を主題にした絵本です。 不定期更新。

イチの道楽

山碕田鶴
児童書・童話
山の奥深くに住む若者イチ。「この世を知りたい」という道楽的好奇心が、人と繋がり世界を広げていく、わらしべ長者的なお話です。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

スペクターズ・ガーデンにようこそ

一花カナウ
児童書・童話
結衣には【スペクター】と呼ばれる奇妙な隣人たちの姿が見えている。 そんな秘密をきっかけに友だちになった葉子は結衣にとって一番の親友で、とっても大好きで憧れの存在だ。 しかし、中学二年に上がりクラスが分かれてしまったのをきっかけに、二人の関係が変わり始める……。 なお、当作品はhttps://ncode.syosetu.com/n2504t/ を大幅に改稿したものになります。 改稿版はアルファポリスでの公開後にカクヨム、ノベルアップ+でも公開します。

処理中です...