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大聖の恋

第76話

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 その日はちゃんと帰ってまた別の日に改めて会うことにした。

 藍田といろいろ話できてすごく嬉しかったけど、お父さんの話がズンと重くのしかかる。

 お父さんが怖いのかぁ。

 俺は自分に全く自信がない。

 普通の家に育って、大学も奨学金借りてて、今から就職活動だけど、大手の会社なんてきっと無理。
 空手なんてしたことない。
 野球はずっとしてたけど、高校なんて弱小だったから“目指せ甲子園”なんて、夢のまた夢くらいのものだった。
 
 カケルくんみたいに、将来社長になるっていうんなら、少しは自信持っていけるかもしれないけど…。

 …ん?

 いや、何だ何だ?結婚てワケじゃないから、そんなに悩む必要無くない?

 そうだよ。別にお父さんが東京にいるわけじゃないし、“お父さんに認めてもらうための条件”なんて必要ないよな?

 いや、そもそも告白したところで、「ごめん、無理。」の可能性の方が大きい。

 ならやっぱ告白なんかしない方がいいか?

 あれ?俺は一体どうしたいんだ?

 なんか頭がこんがらがってきたぞ。

 よし、ちょっと整理してみよう。

 まず、俺が好きなのは藍田だ。
 再会して話したら、やっぱり好きだと思った。
 告白して付き合いたい。

 告白して振られる可能性は…70%いや、80%くらいか?100%?もありうる。

 んー、ちょっとそれは置いといて、告白してオッケーだった場合、お父さんにバレないように付き合うことができるか?

 お父さんは東京にいないし、電話も休みの日の夜だけ。
 俺達大学生だから、時間なんて作ればある。

 ん?なんか大丈夫そう?

 そうだよな、やっぱお父さんは関係ない。要するに、藍田がオッケーかどうかってだけだよな。

 ということは、俺に告白するほどの本気度があるか?っていうことだ。
 必要なのは、玉砕覚悟で行く勇気だ。

 よし、もし振られてしまった場合を考えてみよう。嫌だけど。

 中学を卒業してから、成人式で再会するまで、全く接点も偶然会うことも無かった。
 大学も違うし。
 ということは、もし振られてももう会うことはないだろう。気まずい思いなんてその時だけだ。

 お!なんか、勇気が湧いてきた!

 俺ももう20歳だ。恋愛の一つや二つ、どんな結果であれ、無いよりあった方がいいだろう!
 いや、本当は成功体験だけでありたいが…。

 とにかく、言うぞ!
 …言えたら、…なるべく、…できれば…。

 ぐあっ!

 告白…簡単にできるヤツが羨ましい!

 
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