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第15話

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 俺達はお金に目が眩んだと思われても仕方ないほど虫をゲットして、思ったより時間がかかったが、目的地に記されているポイントに着いた。
 そこは少し前に閉館となった青少年自然の家だ。

 建物の入り口まで行くと、扉にQRコードがあるので読み込む。

【この建物が“特別なゲーム”の舞台です。
 中に入ると、終了まで出られません。
 ゲームをクリアするかゲームオーバーになるかの2択でしかこのゲームは終わらず、途中でリタイアすることはできません。

 リアルに痛みを伴うゲームです。】

 【中に入ってゲームをする・やめて元のゲームに戻る】

 俺:「痛いんだって。大丈夫かな…。」

 佑:「大聖って、結構ビビリだね。」

 アユタ:「どれくらい痛いか分からないし、クリアかゲームオーバーでしか出られないのは確かに躊躇ちゅうちょしちゃうよな。」

 俺:「そうそう、オレが普通。」

 佑:「でもさ、行くっきゃないよね。」

 アユタ:「だな。」

 俺:「佑って、意外に度胸あるのな。
 …よし!行くか!」

 俺達は“中に入ってゲームをする”を選択する。
 カチャッと鍵が開く音がしたので扉を開けてみる。

 開いた。

 中に入ると、何か道具が置いてある。

 突然、
『Development Gameへようこそ』
と、女性の声で館内にアナウンスの声が響く。

「うわっ」
 俺達3人共、声を上げてびっくりした。
 まるでお化け屋敷の中に入る時のようだ。
 かなりドキドキしている。

『ゲームのルールを説明します。

 まず、入り口にある“ヘッドバンド・リストバンド・アンクルバンド”を装着してください。

 敵と貴方のアバターが立体映像で映し出されます。アバターは貴方の動きと連動します。今まで獲得したアイテムを使って敵と戦ってください。

 リストバンドには小さな棒が付いています。ソードなどのアイテムを使用する時、握ってください。

 各部屋に入ると敵がいます。中に入ると入り口が閉まりますので戻ることはできません。
 敵を倒すと次の部屋への扉が開きますので次へ進んでください。

 ゲームオーバーとなった方はその時点で終了です。

 制限時間内に最後のボスを倒すとゲームクリアとなり、全ての鍵が開いて、この建物から脱出できます。

 分からない事や説明は端末で確認してください。

 それではゲームスタートです。』

 俺達はアナウンスがあった通り、各バンドを装着する。
 お互いに目を合わせて準備オッケーな事を確認する。

 ドキドキしながら1つ目の部屋に入る。

 3人が中に入ると、少し入った所に線が引いてある。
 俺達はその線の手前に立つ。

 カチャンと入り口の扉が閉まる音がして、線の前には俺達のアバターが等身大で出現する。
 多分3Dホログラムみたいなものだろうが、部屋の中は薄暗く、映像は割とクリアで本物っぽい。
 壁に床や投影されるプロジェクションマッピングはよく見るが、これは空間に立体的な映像なのですごい。
 俺が手を上げるとアバターも手を上げる。自分の動きにちゃんと連動している。

 横に大きなスクリーンがあって文字が表示される。
『敵の出現!』

 前方に敵が現れる。俺達のアバターより一回り大きな、怒った顔をした木の怪物だ。

 今までのキャラは可愛いくしてあったけど、このゲームでは怖い感じだ。

 アバターを通して離れてはいるけど、圧迫感がある。

 敵キャラの横にはHPゲージの表示があり、それが空になれば勝ちということだ。

『第一ステージ : モクギュル 属性〔木〕』

 その後に“火・水・木・金・土”が五角形になった五行のマークが表示される。
 そして五角形の内側には
 火→金
 水→火
 木→土
 金→木
 土→水
と矢印が記されている。

 アユタ:「よくあるやつだ。1番基本的な分類法だな。」
 俺:「そうだな。木に強いの金だから、普通のソードでいけるな。第一ステージだし。」

 俺達は端末で選択し、アバターに“ソード”を装備する。
 そして自分達はアナウンスで聞いた通り、リストバンドに付いてる棒を握る。
 アバターがソードを持つとそれっぽくなった。

 いよいよ戦いが始まる。
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