16 / 16
第16話 おっぱいさん
しおりを挟む
前回、詰まりを取ってもらってから数日後、また助産院へやって来た。今度はちゃんと予約をってあるので、ほぼ待ち時間は無い。
少しだけメンテナンスのためにマッサージしてもらったら、OPはポヨンポヨンに柔らかくなる。
あんまり母乳を飛ばすと、飲ませる分が無くなるんじゃないかと心配したけど、
「大丈夫!」
と助産師さんは言う。
そしていよいよ、また直母のトライをする。
出産直後に比べたら、お口も大きくなって、しっかりアーンと口を開けるけど、咥えてもやっぱり吸ってくれない。
何回か試しても、咥えたらフリーズしてる。
そして赤ちゃんは『何咥えさせてんだ?』とでも言うような、なにか訝しげに、横目で助産師さんを睨む。
「本当だねー、吸わないねー。」
と、助産師さんは言う。
でしょ?でしょ!?
と、私は心の中で思った。
『この助産師さんの指導でもダメなんだから、やっぱり私のせいじゃない。』
そう思った時、
助産師さんが、
「吸われ~。」
そう言って、赤ちゃんの目を見て、ほっぺたをチョンチョンとつついた。
その瞬間、
嘘みたいにアムアムしてOPを吸い始めたではありませんか!
何と言う事でしょう!!
まさか、まさか、ただチョンチョンと合図しただけで…。
一度吸い出すと、その後もちゃんと吸ってくれ、OPを左と右に交換しても大丈夫だった。
信じられない!
ちょっと感動しながら授乳を終えて、赤ちゃんの体重を計ってもらうと、僅かながら体重は増えている。
「この子は、すごく心配性なんだね。気が小さいというか。だから、なかなかOPを受け入れなかったんだと思うよ。
月齢も体格も、今は充分吸う力が備わってる。やっと今、って思うかもしれないけど、この子には丁度いい頃なんだよ。早産だから、他の子より時間かかるのはしょうがない。
このタイミングでここに来たのが良かったんだね。」
助産師さんはそう言った。
家に帰ってからまた直母をしてみる。
何回やってもちゃんと飲んでくれる。
嬉しい!
嬉しい!
やっと…やっと私も、
『おっぱいさん』になれたんだ!
ずっとなりたかった、羨ましいなと思ってた、あの憧れの『おっぱいさん』に!
直母が軌道に乗ると、私をずっと悩ませてせいた、
「私の赤ちゃん、返して!」
と、誰かが奪いに来るかもしれないという妄想不安も、一気に吹き飛んだ。
直母のおかげで、自信がついた。
『この子は私の子』
ちゃんと自覚できる。心から。
今やっと、自分が“母”になった気がする。思いっきり新米だけど。
ここからがスタートだ。
こんな日は、正直来ないかもと思っていた。
でも、私にもできたよ!
不安な事は他にもたくさんあるけど、とりあえず1つクリア。
余談ですが、その時までお世話になっていた“おしゃぶり”は、全く受け入れなくなりました。
私のCKBの方が良いということだろう、ふふ。
たった2ヶ月。
でも長かったー。
その後、またさらに月齢が進むと、夜まとめて寝るようになったので、夜中の授乳をしなくなった。
そしたら私のOPは、必要量の母乳を生産しなくなってしまった。
私が『おっぱいさん』である期間はとても短いものだったけど、十分満足してる。
その後の外出も、重いミルクセットを持ち歩いて、直母ママしかいない授乳スペースでミルクを飲ませていても、何も恥ずかしいなんて思わなくなった。
だって、私にだって出来たんだもの。
*
出産からずっと、今に至るまで、いろんな人と関わり、助けられながら、なんとか子育てができているのだと、常々思います。
早産だった赤ちゃんは、本当におかげ様で、健康に問題もなく、スクスクと大きく成長しています。
心より感謝致しております。
ただ一つ、どうしても分からないのが、他の人は夜間授乳が無くなっても、ずっと十分な母乳が出るということ。卒乳までずっと。
「普通にでるよ。」
と言われそうだけど、私はすぐ枯れちゃったので、
『こうしたら良かったんだよ。』
って、コツを知ってる人がいたら教えてください。
今の人も、これからの人も、このエッセイで少しでも参考になることが書けていたらいいのですが…。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました♪
少しだけメンテナンスのためにマッサージしてもらったら、OPはポヨンポヨンに柔らかくなる。
あんまり母乳を飛ばすと、飲ませる分が無くなるんじゃないかと心配したけど、
「大丈夫!」
と助産師さんは言う。
そしていよいよ、また直母のトライをする。
出産直後に比べたら、お口も大きくなって、しっかりアーンと口を開けるけど、咥えてもやっぱり吸ってくれない。
何回か試しても、咥えたらフリーズしてる。
そして赤ちゃんは『何咥えさせてんだ?』とでも言うような、なにか訝しげに、横目で助産師さんを睨む。
「本当だねー、吸わないねー。」
と、助産師さんは言う。
でしょ?でしょ!?
と、私は心の中で思った。
『この助産師さんの指導でもダメなんだから、やっぱり私のせいじゃない。』
そう思った時、
助産師さんが、
「吸われ~。」
そう言って、赤ちゃんの目を見て、ほっぺたをチョンチョンとつついた。
その瞬間、
嘘みたいにアムアムしてOPを吸い始めたではありませんか!
何と言う事でしょう!!
まさか、まさか、ただチョンチョンと合図しただけで…。
一度吸い出すと、その後もちゃんと吸ってくれ、OPを左と右に交換しても大丈夫だった。
信じられない!
ちょっと感動しながら授乳を終えて、赤ちゃんの体重を計ってもらうと、僅かながら体重は増えている。
「この子は、すごく心配性なんだね。気が小さいというか。だから、なかなかOPを受け入れなかったんだと思うよ。
月齢も体格も、今は充分吸う力が備わってる。やっと今、って思うかもしれないけど、この子には丁度いい頃なんだよ。早産だから、他の子より時間かかるのはしょうがない。
このタイミングでここに来たのが良かったんだね。」
助産師さんはそう言った。
家に帰ってからまた直母をしてみる。
何回やってもちゃんと飲んでくれる。
嬉しい!
嬉しい!
やっと…やっと私も、
『おっぱいさん』になれたんだ!
ずっとなりたかった、羨ましいなと思ってた、あの憧れの『おっぱいさん』に!
直母が軌道に乗ると、私をずっと悩ませてせいた、
「私の赤ちゃん、返して!」
と、誰かが奪いに来るかもしれないという妄想不安も、一気に吹き飛んだ。
直母のおかげで、自信がついた。
『この子は私の子』
ちゃんと自覚できる。心から。
今やっと、自分が“母”になった気がする。思いっきり新米だけど。
ここからがスタートだ。
こんな日は、正直来ないかもと思っていた。
でも、私にもできたよ!
不安な事は他にもたくさんあるけど、とりあえず1つクリア。
余談ですが、その時までお世話になっていた“おしゃぶり”は、全く受け入れなくなりました。
私のCKBの方が良いということだろう、ふふ。
たった2ヶ月。
でも長かったー。
その後、またさらに月齢が進むと、夜まとめて寝るようになったので、夜中の授乳をしなくなった。
そしたら私のOPは、必要量の母乳を生産しなくなってしまった。
私が『おっぱいさん』である期間はとても短いものだったけど、十分満足してる。
その後の外出も、重いミルクセットを持ち歩いて、直母ママしかいない授乳スペースでミルクを飲ませていても、何も恥ずかしいなんて思わなくなった。
だって、私にだって出来たんだもの。
*
出産からずっと、今に至るまで、いろんな人と関わり、助けられながら、なんとか子育てができているのだと、常々思います。
早産だった赤ちゃんは、本当におかげ様で、健康に問題もなく、スクスクと大きく成長しています。
心より感謝致しております。
ただ一つ、どうしても分からないのが、他の人は夜間授乳が無くなっても、ずっと十分な母乳が出るということ。卒乳までずっと。
「普通にでるよ。」
と言われそうだけど、私はすぐ枯れちゃったので、
『こうしたら良かったんだよ。』
って、コツを知ってる人がいたら教えてください。
今の人も、これからの人も、このエッセイで少しでも参考になることが書けていたらいいのですが…。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました♪
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる