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 痩せてるとかなりの美形になるんだけど、それは私の心の中にだけ留めておこう。

 国外追放されたら平民として生き、住み込みでカフェで働く手筈は整っていた。

 前世で果たせなかった野望が、今世で果たせると思ったというのに……。

 私の野望は、パティシエになって多くの人に感動と美味しさを届けたかった。それは前世のことで今世は諦めようと思ったけど……、やっぱり諦めきれなかった。

 辛いことが多いけど、ほんの一粒の楽しさがあれば、それは大きな至福の時間になるのを私は知っている。

 なんとかして、国外追放をされなくては。でもどうする。

 この王子様は何を言っても話を聞いてくれそうにない。

「お待ちください。王太子殿下」

 その声の主は攻略対象者の一人、エリオス・クロフォード。伯爵子息だ。

 黒縁眼鏡がとても良く似合う。黒髪と黒目だから余計にそう思うだけかもしれないけど。

 でも変なのよね。元々、黒縁眼鏡は魔法研究の時にしか使用しないはずなのに……私が思ったことを話したらそれからずっと黒縁眼鏡をかけている。

 大した事じゃない。ーー(普段)眼鏡をかけてない人がかけてると印象は違っていて、面白いですわね。とても素敵です。

 なんて、ギャップ萌えしていたことを話してしまってからはずっと眼鏡をかけてくれてるんだよね。

 たまにで良かったのに。
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