三度目の人生、魔王様の協力の元に死を偽装&逃亡しましたが、私自身ではなく、私の『髪』を溺愛していて困ってます

藤原 柚月

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二章 いよいよ、復讐生実況配信開始します。

私の心は黒く穢れてしまったのだから

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 時間を巻き戻しになる前、処刑される三ヶ月前の出来事。

 私、オリビアは身に覚えのない疑いをかけられて非常に迷惑していた。

「わ、私が……聖女様に暴行を?」
「ああ、聖女様の召喚が成功したからお前をお咎めなしにしていたのに、それを仇で返すとはな」

 というのは、聖女様であろうかすみ様に「本当に聖女様なのでしょうか」と言ってしまったことだ。

 目の前にいる王子は、怒りに任せて睨んでくる。

「ま、まってください!! 私はそんなことしてません。それに成功っていってもあの方が本当に聖女様なのか分かりません。ちゃんと調べて」

 聖女召喚した私は、聖女様の教育係として王族に仕えることになっている。勿論、強制的に。

 王族の言い分はこうだ。聖女召喚したのだから、この世界の知識や常識を教えろとの事。

 まぁ、聖女様は勉強がお嫌いだったらしく私を毛嫌いし、あることないこと周りに吹き込むようになり、そして今日は……。

 指摘をしたらヒステリックを起こされた。「なんで私が!? こんなにも頑張っているのに」「自分が出来るからって物差しで言わないで」「頭おかしいんじゃないの。私の事、馬鹿にするのもいい加減にして」

 と悲鳴をあげられ、すぐに駆けつけた王子に私が責められてるというわけだ。

 そもそも、聖女の役割を話しただけでこの罵倒の数々はある意味凄いと思う。

 王子も聖女の味方だったし……私の話を全く聞かなかった。

 私が理由を説明したら「は? そんなの知らないから。お前は教育係だろ」と、バッサリと遠ざける言い方をされてしまった。

 それからだ。他の人々が私に話しかけなくなり、王子から暴力を奮われ、聖女からは嫌がらせという名の虐めを受けることになった。

 他の人々の中には冒険者として仲良くしていた友人もいたんだけど……。

 その友人に、見事に裏切られた。

 やられていた当時は私が悪い。教育方法を改めないと。なんて自分を責めて、色々と工夫してたんだよね。

 ーーでも、それが間違いだったとは思ってはいない。

 ……ただ、クリムがそんな私の考えを変えさせてくれた。

 時間が巻き戻しになってるのに気付いて、前とは違う行動したらクリムと出会ったんだよね。

 出会ったからこそ、私は死を偽装という大胆な行動を取れたし、自分自身と見つめるキッカケにもなったんだよね。

 私はこの命と引き換えに復讐を誓った。クリムと血の契約もした。

 決して逃れることの出来ない

 それでも良いと思った。それほどまでに私の心は黒く穢れてしまったのだから。

「あれ……」

 ふっと目を覚ました私は視界がぼやけているのに気付き、目を擦る。

 何してたんだっけ? と、ボーッとしながらも考えていると自分が過去のトラウマの夢を見ていて、それが原因で寝ながら泣いていたということを理解した。

 ピトッとひんやりとする何かが頬に当たる。
 心配そうに顔を覗き込むスライムがいた。

 このスライムは怪我してたから手当てしただけなのに、何故か懐かれたんだよね。

 私はスライムに手を伸ばし、頭を軽く撫でると、スライムは気持ち良さそうに目を細めていた。……ちょっと可愛い。

 この世界のスライムは目がクリっとしていてとても愛くるしい見た目なのよね。

 ベッドから起き上がり出ると、着ていたネグリジェを脱ぐ。

 ソファーに畳んで置いといたドレスアーマーに着替えると鏡を確認し、髪の毛を整える。

 髪を梳くと、水しぶきが舞う。濡れてた訳じゃない。私の髪が特殊なんだよね。

 生まれつきなもので、なんでこんな特殊な髪質になったのかは謎。

 この髪のせいで忌み嫌われていたのよね。

 冒険者になってからも奇妙な目を向けられた時がたまにあった。

 自分自身、髪が嫌いだった。でも、クリムと出会って、少しだけ好きになれたんだよね。




 今から一ヶ月前……オリビア・ペレスとして大罪を犯したので死刑になった。でも私は生きている。

 ドラゴンに喰われそうになる直前でクリムの魔法に寄って瞬間移動で魔王城に避難させてもらった。

 そして、私はその魔王城、そしてダンジョンも復讐の道具にしようとしている。そのことは魔族全員知っている。

 クリムを含め、全員が「好きにすればいい」という精神の持ち主ばかりで心配になるけど、私はその言葉に甘えることにした。

 死を偽装してまで逃亡した手前、後戻りは出来ない。

 被害を最小限に抑えて、必ず復讐を成功してみせると心に決める。

 そんな私に魔族の皆は好意的なのよね。

 その理由は私の復讐が終われば煮るなり焼くなり好きにできるから。

 私は、そういう契約をした。

 息を吐き、ペちっと頬を叩いて気持ちを切り替えてから部屋を出た。

 出る間際、弓矢がキラッと水色に光ったのは気の所為だろう。

 だって、弓矢を持ち帰ってから何も変化が無いのだから。




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