18 / 24
二章 いよいよ、復讐生実況配信開始します。
私の心は黒く穢れてしまったのだから
しおりを挟む
時間を巻き戻しになる前、処刑される三ヶ月前の出来事。
私、オリビアは身に覚えのない疑いをかけられて非常に迷惑していた。
「わ、私が……聖女様に暴行を?」
「ああ、聖女様の召喚が成功したからお前をお咎めなしにしていたのに、それを仇で返すとはな」
召喚が成功したからお咎めなしというのは、聖女様であろうかすみ様に「本当に聖女様なのでしょうか」と言ってしまったことだ。
目の前にいる王子は、怒りに任せて睨んでくる。
「ま、まってください!! 私はそんなことしてません。それに成功っていってもあの方が本当に聖女様なのか分かりません。ちゃんと調べて」
聖女召喚した私は、聖女様の教育係として王族に仕えることになっている。勿論、強制的に。
王族の言い分はこうだ。聖女召喚したのだから、この世界の知識や常識を教えろとの事。
まぁ、聖女様は勉強がお嫌いだったらしく私を毛嫌いし、あることないこと周りに吹き込むようになり、そして今日は……。
指摘をしたらヒステリックを起こされた。「なんで私が!? こんなにも頑張っているのに」「自分が出来るからって物差しで言わないで」「頭おかしいんじゃないの。私の事、馬鹿にするのもいい加減にして」
と悲鳴をあげられ、すぐに駆けつけた王子に私が責められてるというわけだ。
そもそも、聖女の役割を話しただけでこの罵倒の数々はある意味凄いと思う。
王子も聖女の味方だったし……私の話を全く聞かなかった。
私が理由を説明したら「は? そんなの知らないから。お前は教育係だろ」と、バッサリと遠ざける言い方をされてしまった。
それからだ。他の人々が私に話しかけなくなり、王子から暴力を奮われ、聖女からは嫌がらせという名の虐めを受けることになった。
他の人々の中には冒険者として仲良くしていた友人もいたんだけど……。
その友人に、見事に裏切られた。
やられていた当時は私が悪い。教育方法を改めないと。なんて自分を責めて、色々と工夫してたんだよね。
ーーでも、それが間違いだったとは思ってはいない。
……ただ、クリムがそんな私の考えを変えさせてくれた。
時間が巻き戻しになってるのに気付いて、前とは違う行動したらクリムと出会ったんだよね。
出会ったからこそ、私は死を偽装という大胆な行動を取れたし、自分自身と見つめるキッカケにもなったんだよね。
私はこの命と引き換えに復讐を誓った。クリムと血の契約もした。
決して逃れることの出来ない約束事。
それでも良いと思った。それほどまでに私の心は黒く穢れてしまったのだから。
「あれ……」
ふっと目を覚ました私は視界がぼやけているのに気付き、目を擦る。
何してたんだっけ? と、ボーッとしながらも考えていると自分が過去のトラウマの夢を見ていて、それが原因で寝ながら泣いていたということを理解した。
ピトッとひんやりとする何かが頬に当たる。
心配そうに顔を覗き込むスライムがいた。
このスライムは怪我してたから手当てしただけなのに、何故か懐かれたんだよね。
私はスライムに手を伸ばし、頭を軽く撫でると、スライムは気持ち良さそうに目を細めていた。……ちょっと可愛い。
この世界のスライムは目がクリっとしていてとても愛くるしい見た目なのよね。
ベッドから起き上がり出ると、着ていたネグリジェを脱ぐ。
ソファーに畳んで置いといたドレスアーマーに着替えると鏡を確認し、髪の毛を整える。
髪を梳くと、水しぶきが舞う。濡れてた訳じゃない。私の髪が特殊なんだよね。
生まれつきなもので、なんでこんな特殊な髪質になったのかは謎。
この髪のせいで忌み嫌われていたのよね。
冒険者になってからも奇妙な目を向けられた時がたまにあった。
自分自身、髪が嫌いだった。でも、クリムと出会って、少しだけ好きになれたんだよね。
今から一ヶ月前……オリビア・ペレスとして大罪を犯したので死刑になった。でも私は生きている。
ドラゴンに喰われそうになる直前でクリムの魔法に寄って瞬間移動で魔王城に避難させてもらった。
そして、私はその魔王城、そしてダンジョンも復讐の道具にしようとしている。そのことは魔族全員知っている。
クリムを含め、全員が「好きにすればいい」という精神の持ち主ばかりで心配になるけど、私はその言葉に甘えることにした。
死を偽装してまで逃亡した手前、後戻りは出来ない。
被害を最小限に抑えて、必ず復讐を成功してみせると心に決める。
そんな私に魔族の皆は好意的なのよね。
その理由は私の復讐が終われば煮るなり焼くなり好きにできるから。
私は、そういう契約をした。
息を吐き、ペちっと頬を叩いて気持ちを切り替えてから部屋を出た。
出る間際、弓矢がキラッと水色に光ったのは気の所為だろう。
だって、弓矢を持ち帰ってから何も変化が無いのだから。
私、オリビアは身に覚えのない疑いをかけられて非常に迷惑していた。
「わ、私が……聖女様に暴行を?」
「ああ、聖女様の召喚が成功したからお前をお咎めなしにしていたのに、それを仇で返すとはな」
召喚が成功したからお咎めなしというのは、聖女様であろうかすみ様に「本当に聖女様なのでしょうか」と言ってしまったことだ。
目の前にいる王子は、怒りに任せて睨んでくる。
「ま、まってください!! 私はそんなことしてません。それに成功っていってもあの方が本当に聖女様なのか分かりません。ちゃんと調べて」
聖女召喚した私は、聖女様の教育係として王族に仕えることになっている。勿論、強制的に。
王族の言い分はこうだ。聖女召喚したのだから、この世界の知識や常識を教えろとの事。
まぁ、聖女様は勉強がお嫌いだったらしく私を毛嫌いし、あることないこと周りに吹き込むようになり、そして今日は……。
指摘をしたらヒステリックを起こされた。「なんで私が!? こんなにも頑張っているのに」「自分が出来るからって物差しで言わないで」「頭おかしいんじゃないの。私の事、馬鹿にするのもいい加減にして」
と悲鳴をあげられ、すぐに駆けつけた王子に私が責められてるというわけだ。
そもそも、聖女の役割を話しただけでこの罵倒の数々はある意味凄いと思う。
王子も聖女の味方だったし……私の話を全く聞かなかった。
私が理由を説明したら「は? そんなの知らないから。お前は教育係だろ」と、バッサリと遠ざける言い方をされてしまった。
それからだ。他の人々が私に話しかけなくなり、王子から暴力を奮われ、聖女からは嫌がらせという名の虐めを受けることになった。
他の人々の中には冒険者として仲良くしていた友人もいたんだけど……。
その友人に、見事に裏切られた。
やられていた当時は私が悪い。教育方法を改めないと。なんて自分を責めて、色々と工夫してたんだよね。
ーーでも、それが間違いだったとは思ってはいない。
……ただ、クリムがそんな私の考えを変えさせてくれた。
時間が巻き戻しになってるのに気付いて、前とは違う行動したらクリムと出会ったんだよね。
出会ったからこそ、私は死を偽装という大胆な行動を取れたし、自分自身と見つめるキッカケにもなったんだよね。
私はこの命と引き換えに復讐を誓った。クリムと血の契約もした。
決して逃れることの出来ない約束事。
それでも良いと思った。それほどまでに私の心は黒く穢れてしまったのだから。
「あれ……」
ふっと目を覚ました私は視界がぼやけているのに気付き、目を擦る。
何してたんだっけ? と、ボーッとしながらも考えていると自分が過去のトラウマの夢を見ていて、それが原因で寝ながら泣いていたということを理解した。
ピトッとひんやりとする何かが頬に当たる。
心配そうに顔を覗き込むスライムがいた。
このスライムは怪我してたから手当てしただけなのに、何故か懐かれたんだよね。
私はスライムに手を伸ばし、頭を軽く撫でると、スライムは気持ち良さそうに目を細めていた。……ちょっと可愛い。
この世界のスライムは目がクリっとしていてとても愛くるしい見た目なのよね。
ベッドから起き上がり出ると、着ていたネグリジェを脱ぐ。
ソファーに畳んで置いといたドレスアーマーに着替えると鏡を確認し、髪の毛を整える。
髪を梳くと、水しぶきが舞う。濡れてた訳じゃない。私の髪が特殊なんだよね。
生まれつきなもので、なんでこんな特殊な髪質になったのかは謎。
この髪のせいで忌み嫌われていたのよね。
冒険者になってからも奇妙な目を向けられた時がたまにあった。
自分自身、髪が嫌いだった。でも、クリムと出会って、少しだけ好きになれたんだよね。
今から一ヶ月前……オリビア・ペレスとして大罪を犯したので死刑になった。でも私は生きている。
ドラゴンに喰われそうになる直前でクリムの魔法に寄って瞬間移動で魔王城に避難させてもらった。
そして、私はその魔王城、そしてダンジョンも復讐の道具にしようとしている。そのことは魔族全員知っている。
クリムを含め、全員が「好きにすればいい」という精神の持ち主ばかりで心配になるけど、私はその言葉に甘えることにした。
死を偽装してまで逃亡した手前、後戻りは出来ない。
被害を最小限に抑えて、必ず復讐を成功してみせると心に決める。
そんな私に魔族の皆は好意的なのよね。
その理由は私の復讐が終われば煮るなり焼くなり好きにできるから。
私は、そういう契約をした。
息を吐き、ペちっと頬を叩いて気持ちを切り替えてから部屋を出た。
出る間際、弓矢がキラッと水色に光ったのは気の所為だろう。
だって、弓矢を持ち帰ってから何も変化が無いのだから。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる