14 / 24
一章 終わりから始まりへ
オリビアが無実だと思っていますか?
しおりを挟む
ドワーフ族の長が一番欲しいもの。
それは、
「長、貴方に手土産があるのですが、必要ないでしょうか?」
ドワーフ族の長に荷物から取り出したアイテムを見せる。
それは、ドラゴンの鱗と牙。しかもかなり珍しいドラゴンのやつだ。
鱗と牙は私が死刑の日、瞬間移動する直前になんとか取れた品物。
私を喰おうとしたあのドラゴンのもの。
処刑としてドラゴンに喰われる直前に黒い穴とドラゴンに当たった物体はアルベイルの魔法。
ドワーフ族の長が処刑に使われるドラゴンの鱗と牙を欲しがっているのを知っていたから、事前にアルベイルに頼んでいた。
それを見るなりドワーフ族のわ長は目の色を変えた。
「こ、これは……どうやって!!!?」
「詮索は無しです。それよりもオリビア・ペレスに頼まれていたことがありますよね」
「あ、あんた……あの子の知り合いか? あんな良い子、滅多に居ないのに死刑にするなんて、王族は酷いことするもんだ」
ピクっとつい反応してしまったが、苦笑いを浮かべ頷いた。
ーーーーーーーー
場所を移し、くつろぎスペースのような部屋で待つこと三十分。
ドワーフ族の長が部屋に入ってきて「どうぞ」と言ってテーブルの上に物を置いた。
それは、スライムに似たゴーレムのようだ。
「こ、これは!!!」
『スライムに似た』ということはクリムが反応しそうだなと思ったら案の定、すぐに反応した。
まさに、期待を裏切らないということはこの事なのかな。
クリムが興味津々に『スライムに似た物』を見つめている。
私は咳払いをした。クリムに一々突っ込んでいたら日が暮れそうだと思ったから。
「オリビアちゃんに言われた物だ。使い方は簡単。この魔導具と連動してある。起動すれば、勝手に動いてくれる」
取り出したのは手のひらサイズで水色のキューブの見た目をしていた。
ドワーフ族の長は手を動かしながらも説明してくれた。
このスライムに似た物は日本でいうカメラのようなもの。そのキューブはカメラの映像を映し出し、更には人感センサーの機能もあり、人を感知すると追うように作られている。
後は街中等にその映像を流すのだが……。
「……その他にも頼んだものがあるはずなのですが」
「大丈夫。なんとか完成した! ワシは天才だからな。なにせ、ドワーフ族の長だ。このぐらいの無茶ぶりに応えられなくて、長など名乗れん」
鼻息を荒くして、乱暴にテーブルに置いた。
「ウサギ……?」
これも造り物だろう。
テーブルに置いた音がドカッっと、重いものでも置いたような鈍い音だった。
ウサギはピコピコっと髭を動かしてキョロキョロと周りを見渡す。
「オリビアちゃんに頼まれていた『人が見ても絶対に怪しまれない』物だ。ウサギの赤い瞳から映像を映し出すことが出来るし、声も届かせることが出来る」
「この短期間で凄いです! これならなんとか」
「あんたは、オリビアちゃんの変わりに無念を晴らすつもりか?」
私は手を胸の前で合わせて関心しているとドワーフ族の長が心配そうに聞いてきた。
「長は、わた……オリビアが無実だと思ってますか?」
「当然だ。あの子は人殺しなんか出来ない。優しい子だよ。ワシも出来ることなら協力する。いつでも頼ってくれ」
「……ありがとうございます」
フードを深く被り、顔を見られないようにして、声も若干低めにした。
そのおかげもあり、長は私がオリビア本人だと思っていない。
死を偽装したのに生きてるなんて知られたら、大変なことになるからね。
ドワーフ村は魔王城と離れてるし、万が一、外部に漏れたら計画が台無しになる。
だからこそ、味方だろうが生きてることを悟られないように気をつけなくちゃ。
それならば何故、ドワーフ族の長に私の話題を振ったのか。
忠誠を誓ってくれてるかどうかの確認だ。
アイテムを渡したのは口止め料。
ドラゴンの弁償の代わりにと渡したアイテムだけどドワーフ族の長はドラゴンの鱗と牙は珍しいので口止め料にもなるだろう。
と、考えていたけど……、思っていた通りね。ドラゴンの鱗と牙を見せたら目の色を変えた。
死んだはずのオリビアからの頼まれ事だと聞けば、感が働くと思ったのよ。
ハッキリと言葉にしなくても伝わってくれて良かった。
それは、
「長、貴方に手土産があるのですが、必要ないでしょうか?」
ドワーフ族の長に荷物から取り出したアイテムを見せる。
それは、ドラゴンの鱗と牙。しかもかなり珍しいドラゴンのやつだ。
鱗と牙は私が死刑の日、瞬間移動する直前になんとか取れた品物。
私を喰おうとしたあのドラゴンのもの。
処刑としてドラゴンに喰われる直前に黒い穴とドラゴンに当たった物体はアルベイルの魔法。
ドワーフ族の長が処刑に使われるドラゴンの鱗と牙を欲しがっているのを知っていたから、事前にアルベイルに頼んでいた。
それを見るなりドワーフ族のわ長は目の色を変えた。
「こ、これは……どうやって!!!?」
「詮索は無しです。それよりもオリビア・ペレスに頼まれていたことがありますよね」
「あ、あんた……あの子の知り合いか? あんな良い子、滅多に居ないのに死刑にするなんて、王族は酷いことするもんだ」
ピクっとつい反応してしまったが、苦笑いを浮かべ頷いた。
ーーーーーーーー
場所を移し、くつろぎスペースのような部屋で待つこと三十分。
ドワーフ族の長が部屋に入ってきて「どうぞ」と言ってテーブルの上に物を置いた。
それは、スライムに似たゴーレムのようだ。
「こ、これは!!!」
『スライムに似た』ということはクリムが反応しそうだなと思ったら案の定、すぐに反応した。
まさに、期待を裏切らないということはこの事なのかな。
クリムが興味津々に『スライムに似た物』を見つめている。
私は咳払いをした。クリムに一々突っ込んでいたら日が暮れそうだと思ったから。
「オリビアちゃんに言われた物だ。使い方は簡単。この魔導具と連動してある。起動すれば、勝手に動いてくれる」
取り出したのは手のひらサイズで水色のキューブの見た目をしていた。
ドワーフ族の長は手を動かしながらも説明してくれた。
このスライムに似た物は日本でいうカメラのようなもの。そのキューブはカメラの映像を映し出し、更には人感センサーの機能もあり、人を感知すると追うように作られている。
後は街中等にその映像を流すのだが……。
「……その他にも頼んだものがあるはずなのですが」
「大丈夫。なんとか完成した! ワシは天才だからな。なにせ、ドワーフ族の長だ。このぐらいの無茶ぶりに応えられなくて、長など名乗れん」
鼻息を荒くして、乱暴にテーブルに置いた。
「ウサギ……?」
これも造り物だろう。
テーブルに置いた音がドカッっと、重いものでも置いたような鈍い音だった。
ウサギはピコピコっと髭を動かしてキョロキョロと周りを見渡す。
「オリビアちゃんに頼まれていた『人が見ても絶対に怪しまれない』物だ。ウサギの赤い瞳から映像を映し出すことが出来るし、声も届かせることが出来る」
「この短期間で凄いです! これならなんとか」
「あんたは、オリビアちゃんの変わりに無念を晴らすつもりか?」
私は手を胸の前で合わせて関心しているとドワーフ族の長が心配そうに聞いてきた。
「長は、わた……オリビアが無実だと思ってますか?」
「当然だ。あの子は人殺しなんか出来ない。優しい子だよ。ワシも出来ることなら協力する。いつでも頼ってくれ」
「……ありがとうございます」
フードを深く被り、顔を見られないようにして、声も若干低めにした。
そのおかげもあり、長は私がオリビア本人だと思っていない。
死を偽装したのに生きてるなんて知られたら、大変なことになるからね。
ドワーフ村は魔王城と離れてるし、万が一、外部に漏れたら計画が台無しになる。
だからこそ、味方だろうが生きてることを悟られないように気をつけなくちゃ。
それならば何故、ドワーフ族の長に私の話題を振ったのか。
忠誠を誓ってくれてるかどうかの確認だ。
アイテムを渡したのは口止め料。
ドラゴンの弁償の代わりにと渡したアイテムだけどドワーフ族の長はドラゴンの鱗と牙は珍しいので口止め料にもなるだろう。
と、考えていたけど……、思っていた通りね。ドラゴンの鱗と牙を見せたら目の色を変えた。
死んだはずのオリビアからの頼まれ事だと聞けば、感が働くと思ったのよ。
ハッキリと言葉にしなくても伝わってくれて良かった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる