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第十四章 悪役令嬢
幻想の世界
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夢か現実か分からない感覚だった。
全体的にふわふわとしてて、その感覚が終わると私の肩に乗っているシーアさんの声がきこえた。
「やはりな。目を開けるんじゃ、……どうやら呼ばれているようじゃ」
「…………???」
私はゆっくりと目を開ける。
そこは、以前に夢で何回も見た空間に似ていた。
霧が濃くて、周りが見えずらい。
だけど、徐々に霧が晴れていき、視界がハッキリとしてきた。
「ここは……?」
「呪いをかけてる相手が作り出した幻想の世界じゃよ」
そこは、硝子の世界だった。
建物は一切なく、大きな硝子で出来た岩のようなものが所々にあるだけだった。
地面も硝子のようで歩くと割れるような音がするが、割れる気配はない。
「ワシが来た時はここまで入ることは出来なかったんじゃが、お主と関係がありそうじゃな」
「シーアさんはどうやってこの場所に?」
「世界樹の力を借りたのじゃ、ワシ一人ぐらいなら簡単に来れるんじゃが……、何らかの力が発揮されて強制的に帰らされてしまうんじゃ」
「あの、アレン様とノア先生はどうなってるんですか?」
詳細を聞かずによく分からないまま来てしまった。
「心配はいらん。今は、目の前のことに集中じゃ。お主を危険から守るためにワシがついて来た。あの王子にはノアがついとる。大事には至らんだろう」
「そう……ですか?」
それなら安心か。
「すまんな。説明する時間が惜しく、急いでしまった」
「いえ。少しでも早めに解決したいですし」
歩き出し、シーアさんと話しているとゾクッと寒気を感じた。
慌てて後ろを振り向くが誰もいない。
「どうしたんじゃ?」
「いや、さっき誰かがいたような……でも気のせいだったようです」
「ここら辺は憎悪が渦巻いておるからのぉ。誰かがいるという錯覚してもおかしくはない。奥に進むにつれて変な感覚が強まるじゃろう」
「……憎悪。この嫌な感覚が」
常に誰かに見られてる気がするし、更に変な感情と記憶が押し寄せてくる。
悪役令嬢の記憶と想いが映像として私の脳内に流れている。
シーアさんは何も言わないから、私だけが脳内に流れている状態なんだろう。
「えっ?? あれ、シーアさん!?」
何かを通った感覚がしたと思ったら、シーアさんが居なくなっていた。
「えっ……これ、どうすんの」
急に一人になってテンパってしまう。
元来た道を戻ろうとするが、奥の道が騒がしかった。
シーアさんを待った方がいいとは思うが、シーアさんの時間が惜しいという言葉が引っかかり、一人で行くことにした。
呪いが長引くと、取り返しがつかない何かがあるとでも言っているようだった。
奥に進むと、見覚えがある景色が見えてきた。
次の瞬間、眩い光に包まれ、光が落ち着くとゆっくりと目を開けた。
「……ソフィア・デメトリアス嬢。キミには失望したよ」
目の前にはアレン様とクロエ様。
アレン様は冷ややかな声で私を見ていた。その声をゲームでしか聞いてなかったので一体何が起こってるのか分からなかった。
アレン様の隣にいるクロエ様は女性の姿で涙目になって小さく震えていた。クロエ様のドレスが若干汚れていた。
ーーなんで?
確か、アレン様はノア先生と一緒にいるはずだ。クロエ様といるはずが無い。
それに周りもおかしい。これって……。
悪役令嬢の断罪シーンに似ているんだ。
全体的にふわふわとしてて、その感覚が終わると私の肩に乗っているシーアさんの声がきこえた。
「やはりな。目を開けるんじゃ、……どうやら呼ばれているようじゃ」
「…………???」
私はゆっくりと目を開ける。
そこは、以前に夢で何回も見た空間に似ていた。
霧が濃くて、周りが見えずらい。
だけど、徐々に霧が晴れていき、視界がハッキリとしてきた。
「ここは……?」
「呪いをかけてる相手が作り出した幻想の世界じゃよ」
そこは、硝子の世界だった。
建物は一切なく、大きな硝子で出来た岩のようなものが所々にあるだけだった。
地面も硝子のようで歩くと割れるような音がするが、割れる気配はない。
「ワシが来た時はここまで入ることは出来なかったんじゃが、お主と関係がありそうじゃな」
「シーアさんはどうやってこの場所に?」
「世界樹の力を借りたのじゃ、ワシ一人ぐらいなら簡単に来れるんじゃが……、何らかの力が発揮されて強制的に帰らされてしまうんじゃ」
「あの、アレン様とノア先生はどうなってるんですか?」
詳細を聞かずによく分からないまま来てしまった。
「心配はいらん。今は、目の前のことに集中じゃ。お主を危険から守るためにワシがついて来た。あの王子にはノアがついとる。大事には至らんだろう」
「そう……ですか?」
それなら安心か。
「すまんな。説明する時間が惜しく、急いでしまった」
「いえ。少しでも早めに解決したいですし」
歩き出し、シーアさんと話しているとゾクッと寒気を感じた。
慌てて後ろを振り向くが誰もいない。
「どうしたんじゃ?」
「いや、さっき誰かがいたような……でも気のせいだったようです」
「ここら辺は憎悪が渦巻いておるからのぉ。誰かがいるという錯覚してもおかしくはない。奥に進むにつれて変な感覚が強まるじゃろう」
「……憎悪。この嫌な感覚が」
常に誰かに見られてる気がするし、更に変な感情と記憶が押し寄せてくる。
悪役令嬢の記憶と想いが映像として私の脳内に流れている。
シーアさんは何も言わないから、私だけが脳内に流れている状態なんだろう。
「えっ?? あれ、シーアさん!?」
何かを通った感覚がしたと思ったら、シーアさんが居なくなっていた。
「えっ……これ、どうすんの」
急に一人になってテンパってしまう。
元来た道を戻ろうとするが、奥の道が騒がしかった。
シーアさんを待った方がいいとは思うが、シーアさんの時間が惜しいという言葉が引っかかり、一人で行くことにした。
呪いが長引くと、取り返しがつかない何かがあるとでも言っているようだった。
奥に進むと、見覚えがある景色が見えてきた。
次の瞬間、眩い光に包まれ、光が落ち着くとゆっくりと目を開けた。
「……ソフィア・デメトリアス嬢。キミには失望したよ」
目の前にはアレン様とクロエ様。
アレン様は冷ややかな声で私を見ていた。その声をゲームでしか聞いてなかったので一体何が起こってるのか分からなかった。
アレン様の隣にいるクロエ様は女性の姿で涙目になって小さく震えていた。クロエ様のドレスが若干汚れていた。
ーーなんで?
確か、アレン様はノア先生と一緒にいるはずだ。クロエ様といるはずが無い。
それに周りもおかしい。これって……。
悪役令嬢の断罪シーンに似ているんだ。
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