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第二章 『魔力』が無いと勝手に思い込んでいました
めんどくさい設定をすっかりと忘れていた
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「神に愛されて」というロマンス小説に貴重な属性を持って生まれた人物が登場してくる。
普通に物語として読んでいたから疑問に思わなかった。
架空の人物、世界観だから気にもしなかった。
た。
魔術士や魔導士の設定は少し違う。魔術士は魔導士とは違い、得意な属性がある。一般的なのは火、水、風、土の四種類。ごく稀に光や闇、無の属性を得意とする者がいる。それは魔術士の子供も同じ。
ただ一つ、魔術士は『生まれ持った属性』を活かすために『聖なる乙女』の加護を受けなければ魔法が使えない。
自然と魔導具に頼ることになるんだけど……そこで注意しなくてはならないのが自分と同じ属性の魔導具でなくてはならないということ。
自分の属性とは違う魔導具を使ってしまったら、怪我だけじゃ済まされない。最悪、死ぬことだってある。
それは魔術士の子供も同じだ。
ーーという、めんどくさい設定を私は今の今まですっかり忘れていた。
今回のことで思い出して良かった。取り返しのつかない場面で思い出していても状況によっては何の役にも立たない。
ちなみに魔導士は魔導具によって属性が変わる。ようするに、魔導具そのものが属性ってことだ。
例えば焚き火をしたいとする。その時に火の魔法を自由に出せる魔導具があれば、すぐに火が出せる。
魔導士は気に入った属性の魔導具を身に付けるが、それを上手く使いこなせるかは自分次第。
『生まれ持った属性』があるのが魔術士で『属性がない』人が魔導士。
『聖なる乙女の加護』によって魔法が使えるのが魔術士。それはその子供も同じ。
魔導具があれば色んな属性の魔法を使えるのが魔導士だ。
魔法は奥が深いとつくづく思う。自分には魔力がないと思ってたから、あんまり興味を持っていなかったというのもあるけれど。
さて、話が脱線したような気がするけど『神に愛されて』というロマンス小説に、私が気になっている属性。あの小説の物語の中に少しだけ登場してくる科学者の属性が『無』だった。
この魔法は、魔法を無効化する。という、とてもシンプルな魔法。
それが私の属性なんじゃないかなって思う。それなら魔力がないのも納得がいく。
無属性は魔力を感じられにくい。そのため、魔力なしと判断される魔法だから。
でも、ゲームの人物紹介でソフィアには魔法のことは一切書かれていなかった。
それどころか、属性枠にも点線だった。
だから私はてっきり魔力がなく、魔法を使えないのだとばかり思っていたけど……違うようね。
実際に転生したら魔力がないと自分で実感してはいたし、ノア先生も魔力がないと言っていた。
だからこそ、余計に魔力がないと自分の中で決めつけていた。
両親が大魔術士なのに魔力なしなんて変だと思ってはいたけど、まさかの無属性。
それはつまり、『裏設定』というやつだろう。
でも、無属性だと決めつけるのはまだ早い。
あぁ、もう。なんで私は全部のエンディングを見る前に死んだのよ!
私の馬鹿!!
脳内で前世の自分を罵倒していたが、終わってしまったことはいくら後悔しても始まらない。
荒ぶる気持ちを落ち着かせていたら、属性のことが詳しく書いてあったものを見たことがあるのを思い出した。
確か、両親が遺してくれた日記に。
実際は日記というよりも古い本のような見た目をしている。
ん?古い本……。
確か、ノア先生に渡した日記も古い本のような見た目だった。
私は、今すぐ日記の中身を確認したいところだけど、アイリスを待たせてるからすぐには確認出来そうにない。
一向に動こうとしない私をアイリスは心配そうに困ったように見つめている。
それは、困っていて当たり前だ。呼びに来たのに、本人が無言で動かなかったら不安にもなる。
申し訳なくなって私は立ち上がり、背筋を伸ばして歩き出した。
今日は正直疲れた。疲れで目がぼやけてる。
この様子だと、調べものは明日になるわね。
これから食事して、お風呂に入ってマッサージしてもらって。
その他に調べものをすれば徹夜にだってなりかねない。
そうなってはお義母さまに怒られてしまう。
「如何なる時も美容を怠ってはいけません」
それがお義母さまの口癖。
美は女性の最大の防御というけれど……。
あれ? 攻撃だっけ?
どちらにしろ、大切ってことよね。多分
正直、美容に興味はないけど居候という立場もあるから無下には出来ない。
お義母さまが言うには、日頃から美容を心掛けしていると異性からのアプローチも増えるらしい。
一方で同性側はお茶会やパーティで自分よりも綺麗な人にたいし、モテるために美容をしていると嫉みで声を潜めて言うらしい。
美容を頑張る人はそれぞれいろんな理由があるだろうに。
自分のルックスに自信がなかったり、素顔をメイクで隠して新しい自分を見つけたい。そんな思いから美容を始める人だって居ると私は思ってる。
なんで頑張った美容を何も知らない赤の他人に馬鹿にされなきゃいけないのか、私には一生わかりたくない。というか、知りたくもない。
ん? あれ……。
異性にモテる。
そうよ! なんで気付かなかったのかしら。
なんだ、簡単なことじゃない。
属性のことで忘れそうになっていたけどアレン王太子殿下に嫌われる方法、わかったかも知れないわ。
それは、とにかくアレをすることよ!
そうと決まれば、今日の夜……は、止めといて、明日から実行しないと。
それが成功すればドン引きした殿下は自然と距離を取る。死亡フラグを回避できる!
こんなに幸せなことってないわ!!
普通に物語として読んでいたから疑問に思わなかった。
架空の人物、世界観だから気にもしなかった。
た。
魔術士や魔導士の設定は少し違う。魔術士は魔導士とは違い、得意な属性がある。一般的なのは火、水、風、土の四種類。ごく稀に光や闇、無の属性を得意とする者がいる。それは魔術士の子供も同じ。
ただ一つ、魔術士は『生まれ持った属性』を活かすために『聖なる乙女』の加護を受けなければ魔法が使えない。
自然と魔導具に頼ることになるんだけど……そこで注意しなくてはならないのが自分と同じ属性の魔導具でなくてはならないということ。
自分の属性とは違う魔導具を使ってしまったら、怪我だけじゃ済まされない。最悪、死ぬことだってある。
それは魔術士の子供も同じだ。
ーーという、めんどくさい設定を私は今の今まですっかり忘れていた。
今回のことで思い出して良かった。取り返しのつかない場面で思い出していても状況によっては何の役にも立たない。
ちなみに魔導士は魔導具によって属性が変わる。ようするに、魔導具そのものが属性ってことだ。
例えば焚き火をしたいとする。その時に火の魔法を自由に出せる魔導具があれば、すぐに火が出せる。
魔導士は気に入った属性の魔導具を身に付けるが、それを上手く使いこなせるかは自分次第。
『生まれ持った属性』があるのが魔術士で『属性がない』人が魔導士。
『聖なる乙女の加護』によって魔法が使えるのが魔術士。それはその子供も同じ。
魔導具があれば色んな属性の魔法を使えるのが魔導士だ。
魔法は奥が深いとつくづく思う。自分には魔力がないと思ってたから、あんまり興味を持っていなかったというのもあるけれど。
さて、話が脱線したような気がするけど『神に愛されて』というロマンス小説に、私が気になっている属性。あの小説の物語の中に少しだけ登場してくる科学者の属性が『無』だった。
この魔法は、魔法を無効化する。という、とてもシンプルな魔法。
それが私の属性なんじゃないかなって思う。それなら魔力がないのも納得がいく。
無属性は魔力を感じられにくい。そのため、魔力なしと判断される魔法だから。
でも、ゲームの人物紹介でソフィアには魔法のことは一切書かれていなかった。
それどころか、属性枠にも点線だった。
だから私はてっきり魔力がなく、魔法を使えないのだとばかり思っていたけど……違うようね。
実際に転生したら魔力がないと自分で実感してはいたし、ノア先生も魔力がないと言っていた。
だからこそ、余計に魔力がないと自分の中で決めつけていた。
両親が大魔術士なのに魔力なしなんて変だと思ってはいたけど、まさかの無属性。
それはつまり、『裏設定』というやつだろう。
でも、無属性だと決めつけるのはまだ早い。
あぁ、もう。なんで私は全部のエンディングを見る前に死んだのよ!
私の馬鹿!!
脳内で前世の自分を罵倒していたが、終わってしまったことはいくら後悔しても始まらない。
荒ぶる気持ちを落ち着かせていたら、属性のことが詳しく書いてあったものを見たことがあるのを思い出した。
確か、両親が遺してくれた日記に。
実際は日記というよりも古い本のような見た目をしている。
ん?古い本……。
確か、ノア先生に渡した日記も古い本のような見た目だった。
私は、今すぐ日記の中身を確認したいところだけど、アイリスを待たせてるからすぐには確認出来そうにない。
一向に動こうとしない私をアイリスは心配そうに困ったように見つめている。
それは、困っていて当たり前だ。呼びに来たのに、本人が無言で動かなかったら不安にもなる。
申し訳なくなって私は立ち上がり、背筋を伸ばして歩き出した。
今日は正直疲れた。疲れで目がぼやけてる。
この様子だと、調べものは明日になるわね。
これから食事して、お風呂に入ってマッサージしてもらって。
その他に調べものをすれば徹夜にだってなりかねない。
そうなってはお義母さまに怒られてしまう。
「如何なる時も美容を怠ってはいけません」
それがお義母さまの口癖。
美は女性の最大の防御というけれど……。
あれ? 攻撃だっけ?
どちらにしろ、大切ってことよね。多分
正直、美容に興味はないけど居候という立場もあるから無下には出来ない。
お義母さまが言うには、日頃から美容を心掛けしていると異性からのアプローチも増えるらしい。
一方で同性側はお茶会やパーティで自分よりも綺麗な人にたいし、モテるために美容をしていると嫉みで声を潜めて言うらしい。
美容を頑張る人はそれぞれいろんな理由があるだろうに。
自分のルックスに自信がなかったり、素顔をメイクで隠して新しい自分を見つけたい。そんな思いから美容を始める人だって居ると私は思ってる。
なんで頑張った美容を何も知らない赤の他人に馬鹿にされなきゃいけないのか、私には一生わかりたくない。というか、知りたくもない。
ん? あれ……。
異性にモテる。
そうよ! なんで気付かなかったのかしら。
なんだ、簡単なことじゃない。
属性のことで忘れそうになっていたけどアレン王太子殿下に嫌われる方法、わかったかも知れないわ。
それは、とにかくアレをすることよ!
そうと決まれば、今日の夜……は、止めといて、明日から実行しないと。
それが成功すればドン引きした殿下は自然と距離を取る。死亡フラグを回避できる!
こんなに幸せなことってないわ!!
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