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目を覚ますと、見知らぬ天井がカロクの視界に飛び込んだ。鈍い頭では自分の部屋のものではない事しか分からない。
ゆっくりとまつ毛をはためかせると、首元にモゾりと何かが擦り寄った。カロクは鈍い動きでそれを確認する。
仄かに暖かく、燃え盛る炎のように鮮やかな赤色を持つ小さなトカゲ。カロクはその姿に思わず笑み崩れた。
「‥‥蘇芳。」
すると蘇芳はそのまま伸びあがって、まるで猫のようにカロクの頬へその頭を擦り寄せた。
よくよく見れば、他の光達もカロクに擦り寄るようにそばに浮かんでいるのが見える。まだ日も高いと言うのに。
「‥‥ありがとう。」
カロクが目覚めるまで、そばにいてくれたのだろう。窓から差し込む柔らかな日差しに、溶けてしまいそうになりながら。
しかし、トカゲの姿を持つ蘇芳はその日差しの中でもしっかりと形を保っていた。それどころか、擦り寄ったその感触から実態を持っている事が分かる。
そういえば、その口から火を吐いていたような‥。
そこでようやくカロクは何が起きたのかを思い出す。
思わずガバリと起き上がり、自身の身を確認する。既にその身は清められ、少しサイズの大きい服を纏っていた。その服の手触りから、質のいいものだとわかる。
カロクは恐る恐る、服をめくった。
そこにあの生々しい口紅の跡はない。
だが、夢ではないのだろうと蘇芳を見て確信する。あの日カロクは乳母に襲われたのだ。
「‥‥っ」
カロクはゾッとしてその身を抱いた。
夢現ながら、その身を苛む生々しい感触を思い出し体が震えた。
コンコン。
その時、ノックの音が響いた。
乳母、ではないだろう。彼女はノックもせずに部屋へと入ってくるから。
ならば。
「‥‥!!」
カチャリと控え目な音を立てて入室してきたのはローレンスだった。驚きに息を飲むカロクを見つけると、ローレンスは柔らかく微笑んだ。
「お目覚めでしたか。」
そう言ってローレンスはベッド脇へと移動する。その手には小さな桶に入った水、そして白いタオルがかかっている。
ローレンスはそれらをベッド脇のチェストに置くと、スっと手袋を脱いでカロクの額へと手を当てる。
「‥‥良かった、熱は下がりましたね。」
そう言ってローレンスは微笑む。
「熱‥‥?」
「はい。カロク様はあの後、熱を出されて寝込んでおられたのですよ。」
そう言ってローレンスは困ったように眉尻を下げた。
「余程ショックだったのでしょう‥。」
「‥‥っ」
その言葉に、グッとカロクの喉が鳴った。
そういえば、爆発が起こったのだった。そしてそこにローレンスと兵達が‥。
カロクの瞳にじわりと涙が滲んだ。
「もう、大丈夫ですよ。あの女は解雇しましたから。」
「じぃ‥‥っ」
カロクはローレンスの胸に飛び込み、声を殺して泣いた。
ゆっくりとまつ毛をはためかせると、首元にモゾりと何かが擦り寄った。カロクは鈍い動きでそれを確認する。
仄かに暖かく、燃え盛る炎のように鮮やかな赤色を持つ小さなトカゲ。カロクはその姿に思わず笑み崩れた。
「‥‥蘇芳。」
すると蘇芳はそのまま伸びあがって、まるで猫のようにカロクの頬へその頭を擦り寄せた。
よくよく見れば、他の光達もカロクに擦り寄るようにそばに浮かんでいるのが見える。まだ日も高いと言うのに。
「‥‥ありがとう。」
カロクが目覚めるまで、そばにいてくれたのだろう。窓から差し込む柔らかな日差しに、溶けてしまいそうになりながら。
しかし、トカゲの姿を持つ蘇芳はその日差しの中でもしっかりと形を保っていた。それどころか、擦り寄ったその感触から実態を持っている事が分かる。
そういえば、その口から火を吐いていたような‥。
そこでようやくカロクは何が起きたのかを思い出す。
思わずガバリと起き上がり、自身の身を確認する。既にその身は清められ、少しサイズの大きい服を纏っていた。その服の手触りから、質のいいものだとわかる。
カロクは恐る恐る、服をめくった。
そこにあの生々しい口紅の跡はない。
だが、夢ではないのだろうと蘇芳を見て確信する。あの日カロクは乳母に襲われたのだ。
「‥‥っ」
カロクはゾッとしてその身を抱いた。
夢現ながら、その身を苛む生々しい感触を思い出し体が震えた。
コンコン。
その時、ノックの音が響いた。
乳母、ではないだろう。彼女はノックもせずに部屋へと入ってくるから。
ならば。
「‥‥!!」
カチャリと控え目な音を立てて入室してきたのはローレンスだった。驚きに息を飲むカロクを見つけると、ローレンスは柔らかく微笑んだ。
「お目覚めでしたか。」
そう言ってローレンスはベッド脇へと移動する。その手には小さな桶に入った水、そして白いタオルがかかっている。
ローレンスはそれらをベッド脇のチェストに置くと、スっと手袋を脱いでカロクの額へと手を当てる。
「‥‥良かった、熱は下がりましたね。」
そう言ってローレンスは微笑む。
「熱‥‥?」
「はい。カロク様はあの後、熱を出されて寝込んでおられたのですよ。」
そう言ってローレンスは困ったように眉尻を下げた。
「余程ショックだったのでしょう‥。」
「‥‥っ」
その言葉に、グッとカロクの喉が鳴った。
そういえば、爆発が起こったのだった。そしてそこにローレンスと兵達が‥。
カロクの瞳にじわりと涙が滲んだ。
「もう、大丈夫ですよ。あの女は解雇しましたから。」
「じぃ‥‥っ」
カロクはローレンスの胸に飛び込み、声を殺して泣いた。
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