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16、太一side

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姉さんが自室に戻ろうと応接間を出ると普通に俺たちも追い出された、使用人たちに。
別に応接間に用はないけど、そんな風に追い出さなくても良いと思うんだ。

とりあえず、俺たちは両親の自室に向かった。
ここはこの屋敷で4番目・・・に広い部屋だ。

1番目は現在の当主夫妻の部屋。
俺は籍を入れているが孫とは認められていないので、祖父母とは呼ぶなと言われている。
そんな態度をこちらも呼ぶ気もないが。

2番目は亡くなった前妻であり、姉さんの母親の部屋だ。
すでに亡くなっているのにいつまでも生前のまま残されている。
意味がわからない。
それよりは片付けて両親に渡すべきだと俺は思うのだが、それは禁句だ。
そんな事を言えば何が起きるかわからない。
昔、まだ子どもの頃、勝手に入っただけで当主夫妻から使用人にまで怒られた。
前妻ならただの嫁・・・・だろうに。

3番目は姉さんの部屋だ。
長女と言うだけで優遇しすぎだと思うんだ。
当主夫妻にしてみればお気に入り・・・・・である前妻の娘、忘れ形見とでも言うようだ。
いや、愛娘の忘れ形見に近いのか?
いや、だって、父さんが跡継ぎの筈だ。
だから、俺が継ぐ権利だってある筈なんだ。
父さんも母さんも俺が西園寺家を継ぐのが正しいって言っているんだから。

現在の当主夫妻が姉さんの我が儘を許しているから姉さんが調子に乗っているんだ!
跡継ぎもお気に入り・・・・の前妻の娘である姉さんにしているのだっておかしいんだから。

まぁ、いいか。
それはこれから元に戻す・・・・んだから。

「とりあえず、第一段階は完了だな」
「ええ、武宮は我が家の使用人なんですから命令には背けませんわ」
「それにもし、我が家の使用人になっているのならそれこそ我々の言うことを聞く義務がある」
「そうですね」

そうだ。
武宮ってヤツは俺たちに従わないといけない。
それが本来の使用人の姿なんだからな。
ここの面子がおかしいんだ。

「裏切りなんて出来ませんわ、我が家で厳しく躾した・・・・・・のですから」
「そうだったな」
「ええ」

俺たちはやっと本来の地位に戻れるんだ。
これも百合のおかげだ。











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