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13、聖人side

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百合お嬢様たちが俺を沙織嬢につけることに成功したと喜んでいた。
どうやら、沙織嬢の方に何か思惑がありそうな感じだったが気づいていない様子だ。
本当に深く考えない辺りはどうしようもないと思う。
こんなのだから未だに部長とまりなんだろうな。

しかし、沙織嬢はどうするつもりで俺を側に置くことを許可したんだ?
どんな思惑があるというのだろう?
すでに東城家が傾いているのなんて知られているはずだ。
しかもそれが誰のせいか何てこともバレているはずだ。

そんな東城家の俺を見定める必要なんてないだろう。
使用人が良くても雇用主が悪ければ傾くものは傾くし、活用できなければ意味がない。
そんな事は沙織嬢の方が知っているはずだから。

そうこうしているとこの西園寺家の執事である朝桐さんが俺を呼びに来た。
沙織嬢が呼んでいるとの事だ。

俺は頷いて朝桐さんに着いていった。
なぜか呼ばれていなかった百合お嬢様たちも着いてきた。
朝桐さんは無視することにしたようだ。

通されたのは応接間だった。
沙織嬢も着いてきた面々に関しては無視することにしたようだ。
ここまで来ると歯牙にも掛けられていないと言うことなんだろう。
まぁ、良いか。
呼ばれた内容は昼食でのことだろうから。

「お呼びですか?」
「ええ、先程、東城家に届けた書類がサインをされて戻ってきました。これで貴方は私の専属の執事です」

沙織嬢はそう言いながら俺に書類を渡した。
それはコピーだった。
確認用ということだ。

俺はその書類のコピーを確認すると驚いた。
この内容では俺は東城家から西園寺家に引き抜きされたと言うことになる。
しかも雇用主が沙織嬢本人なので、太一さんやそのご両親ですら俺をどうにも出来ないようになっている。

つまり、彼らの思惑は実らない。
俺の雇用主が沙織嬢本人なので、その人の不利になるようなことは誰にも言うことはない。

業務上の守秘義務と言うヤツに入る。
それどころか、俺の生活自体が沙織嬢の管理下に入った。

つまり、今までの東城家でのこともバレているのだろう。
俺に対する彼らの行いが。
いや、バレてないわけないか。
昨日の段階で把握されているだろうから。

本来、生活が管理下に入るのは危ういことだが、この場合は最低限の生活と治療が保証されたと言うことだろう。

幸太郎さまの時だってそうだった。
書類上はこういう書き方であったが、保証されていた。
むしろ、体調不良とかを隠すなと言う意味合いが強かった。
この沙織嬢もそういう類いの方だと分かる。

だが、これで良いのだろうか?

俺は何度も書類と沙織嬢を見た。
沙織嬢は俺が内容の意味を理解していることに満足しているようだ。

横から百合お嬢様が書類を奪って太一さんやそのご両親と一緒に確認しているが内容の意味までは理解していないようだ。
つまり、東城家の面々も内容の意味までは理解せずにサインをしたということだな。

これは沙織嬢……いや、沙織お嬢様の思惑通りと言うことだ。
この企ては結局、沙織お嬢様の勝ちだ。





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