101 / 118
第二章
40、婚約発表①
しおりを挟む
話し合いの閉会の言葉がないことに周りが不思議がっていると、アルシードが現当主に話しかけた。
「爺様、婆様」
「どうした、アルシード」
「俺はこの場を借りて話したいことがある」
「なんだ?」
「俺はここにいるリンと結婚しようと考えてる」
「「「ぶふっ!!」」」
アルシードはリンを側に引き寄せて宣言した。
これには事情を知っているマリアたちも吹いた。
知らない面々は目を白黒させている。
ジャックスは苦笑しており、当事者のリンは周りが可哀想に思うほど顔を真っ赤にしているが周りがそれに気づくこともなかったし、ちょっと嬉しそうでもあった。
「な、なんだって?」
「ど、どういう……」
「俺はリンに惚れている。生涯を共に歩みたいと思っているんだ」
「な、何をいってるんだ?!」
「馬鹿も休み休み言え!どこの馬の骨ともわからん…」
立ち直ったのは両親だった。
両親の疑問に何でもないことのようにアルシードが答えると今度は激昂し、我を忘れたように怒鳴った。
アルシードは呆れたようにため息をついた。
この両親は昔から気に入らないことがあれば怒鳴っていた。いつもの事だとアルシードは思っているが、初めて見た周りやリンは驚いている。
アリシアもルドワードについ抱きついた。
アリシアを抱き締めながらルドワードは両親の方を睨んだ。自国の王に睨まれて、グレイ家一族は一瞬息を飲んだ。
だが、まだ口を挟むときではないと思い、アルシードに目配せをした。
ルドワードの視線の意味をくんで説明した。
「身元はっきりしている。俺の上司でもあるジャック・ワイズ・クレメントの養女だ」
「ク、クレメント…」
「いや、しかし、養女だろ」
「黙らんか!竜王様たちの御前だぞ」
クレメント家という古参の上位貴族が出て来たことに周りが驚きながら口々に話している。
さすがにそのクレメント家当主であるジャックスとルドワードたちがいるのでまずいと思ったグレイ家の当主は一族を諌めた。
ルドワードは当主に気にしなくていいと告げた。
「構わん。どうだ?グレイ家当主、アルザス・グレイよ」
「どうと申されましても……竜王様の計らいですか?」
「いや、我が妃、アリシアの計らいだ」
「アリシア竜王妃様の?」
グレイ家はてっきりルドワードの策だと思っていたのでびっくりしてアリシアの方を見た。
アリシアは話の流れがこっちに向いてきたと思い、楽しそうに笑った。
その体をやっとルドワードから離して。
ルドワードはそれに苦笑していた。
「フフ、驚かせてすみません。ですが、当人たちが本気で想い合っているのです。手を貸したいではありませんか。リンは私の侍女ですし」
「クレメント家の養女であり、アリシア竜王妃様の侍女ですか。なるほど、我が孫はとんでもない相手を好いたものだ」
「当主!?」
「いくらなんでも、こんなこと…」
「黙らんか。アリシア竜王妃様、よろしいですか?」
「はい?」
周りの非難など一喝にて抑え、グレイ家当主ことアルザスは好好爺のような顔をアリシアに向けた。
「互いに想い合っているゆえに手を貸したとのことですが、それは養子縁組のことですか?」
「それに関しては私が話しましょう」
「クレメント公爵」
アルザスはジャックスの方を見た。
「爺様、婆様」
「どうした、アルシード」
「俺はこの場を借りて話したいことがある」
「なんだ?」
「俺はここにいるリンと結婚しようと考えてる」
「「「ぶふっ!!」」」
アルシードはリンを側に引き寄せて宣言した。
これには事情を知っているマリアたちも吹いた。
知らない面々は目を白黒させている。
ジャックスは苦笑しており、当事者のリンは周りが可哀想に思うほど顔を真っ赤にしているが周りがそれに気づくこともなかったし、ちょっと嬉しそうでもあった。
「な、なんだって?」
「ど、どういう……」
「俺はリンに惚れている。生涯を共に歩みたいと思っているんだ」
「な、何をいってるんだ?!」
「馬鹿も休み休み言え!どこの馬の骨ともわからん…」
立ち直ったのは両親だった。
両親の疑問に何でもないことのようにアルシードが答えると今度は激昂し、我を忘れたように怒鳴った。
アルシードは呆れたようにため息をついた。
この両親は昔から気に入らないことがあれば怒鳴っていた。いつもの事だとアルシードは思っているが、初めて見た周りやリンは驚いている。
アリシアもルドワードについ抱きついた。
アリシアを抱き締めながらルドワードは両親の方を睨んだ。自国の王に睨まれて、グレイ家一族は一瞬息を飲んだ。
だが、まだ口を挟むときではないと思い、アルシードに目配せをした。
ルドワードの視線の意味をくんで説明した。
「身元はっきりしている。俺の上司でもあるジャック・ワイズ・クレメントの養女だ」
「ク、クレメント…」
「いや、しかし、養女だろ」
「黙らんか!竜王様たちの御前だぞ」
クレメント家という古参の上位貴族が出て来たことに周りが驚きながら口々に話している。
さすがにそのクレメント家当主であるジャックスとルドワードたちがいるのでまずいと思ったグレイ家の当主は一族を諌めた。
ルドワードは当主に気にしなくていいと告げた。
「構わん。どうだ?グレイ家当主、アルザス・グレイよ」
「どうと申されましても……竜王様の計らいですか?」
「いや、我が妃、アリシアの計らいだ」
「アリシア竜王妃様の?」
グレイ家はてっきりルドワードの策だと思っていたのでびっくりしてアリシアの方を見た。
アリシアは話の流れがこっちに向いてきたと思い、楽しそうに笑った。
その体をやっとルドワードから離して。
ルドワードはそれに苦笑していた。
「フフ、驚かせてすみません。ですが、当人たちが本気で想い合っているのです。手を貸したいではありませんか。リンは私の侍女ですし」
「クレメント家の養女であり、アリシア竜王妃様の侍女ですか。なるほど、我が孫はとんでもない相手を好いたものだ」
「当主!?」
「いくらなんでも、こんなこと…」
「黙らんか。アリシア竜王妃様、よろしいですか?」
「はい?」
周りの非難など一喝にて抑え、グレイ家当主ことアルザスは好好爺のような顔をアリシアに向けた。
「互いに想い合っているゆえに手を貸したとのことですが、それは養子縁組のことですか?」
「それに関しては私が話しましょう」
「クレメント公爵」
アルザスはジャックスの方を見た。
1
お気に入りに追加
2,074
あなたにおすすめの小説
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
【完結】転生令嬢は推しキャラのために…!!
森ノ宮 明
恋愛
その日、貧乏子爵令嬢のセルディ(十二歳)は不思議な夢を見た。
人が殺される、悲しい悲しい物語。
その物語を映す不思議な絵を前に、涙する女性。
――もし、自分がこの世界に存在出来るのなら、こんな結末には絶対させない!!
そしてセルディは、夢で殺された男と出会う。
推しキャラと出会った事で、前世の記憶を垣間見たセルディは、自身の領地が戦火に巻き込まれる可能性があること、推しキャラがその戦いで死んでしまう事に気づいた。
動揺するセルディを前に、陛下に爵位を返上しようとする父。
セルディは思わず声を出した。
「私が領地を立て直します!!」
こうしてセルディは、推しキャラを助けるために、領地開拓から始めることにした。
※※※
ストーリー重視なので、恋愛要素は王都編まで薄いです
推しキャラは~は、ヒーロー側の話(重複は基本しません)
※マークのある場所は主人公が少し乱暴されるシーンがあります
苦手な方は嫌な予感がしたら読み飛ばして下さい
○小説家になろう、カクヨムにも掲載しています
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
王宮の片隅で、醜い王子と引きこもりライフ始めました(私にとってはイケメン)。
花野はる
恋愛
平凡で地味な暮らしをしている介護福祉士の鈴木美紅(20歳)は休日外出先で西洋風異世界へ転移した。
フィッティングルームから転移してしまったため、裸足だった美紅は、街中で親切そうなおばあさんに助けられる。しかしおばあさんの家でおじいさんに襲われそうになり、おばあさんに騙され王宮に売られてしまった。
王宮では乱暴な感じの宰相とゲスな王様にドン引き。
王妃様も優しそうなことを言っているが信用できない。
そんな中、奴隷同様な扱いで、誰もやりたがらない醜い第1王子の世話係をさせられる羽目に。
そして王宮の離れに連れて来られた。
そこにはコテージのような可愛らしい建物と専用の庭があり、美しい王子様がいた。
私はその専用スペースから出てはいけないと言われたが、元々仕事以外は引きこもりだったので、ゲスな人たちばかりの外よりここが断然良い!
そうして醜い王子と異世界からきた乙女の楽しい引きこもりライフが始まった。
ふたりのタイプが違う引きこもりが、一緒に暮らして傷を癒し、外に出て行く話にするつもりです。
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
【完結】指輪はまるで首輪のよう〜夫ではない男の子供を身籠もってしまいました〜
ひかり芽衣
恋愛
男爵令嬢のソフィアは、父親の命令で伯爵家へ嫁ぐこととなった。
父親からは高位貴族との繋がりを作る道具、嫁ぎ先の義母からは子供を産む道具、夫からは性欲処理の道具……
とにかく道具としか思われていない結婚にソフィアは絶望を抱くも、亡き母との約束を果たすために嫁ぐ覚悟を決める。
しかし最後のわがままで、ソフィアは嫁入りまでの2週間を家出することにする。
そして偶然知り合ったジャックに初恋をし、夢のように幸せな2週間を過ごしたのだった......
その幸せな思い出を胸に嫁いだソフィアだったが、ニヶ月後に妊娠が発覚する。
夫ジェームズとジャック、どちらの子かわからないままソフィアは出産するも、産まれて来た子はジャックと同じ珍しい赤い瞳の色をしていた。
そしてソフィアは、意外なところでジャックと再会を果たすのだった……ーーー
ソフィアと息子の人生、ソフィアとジャックの恋はいったいどうなるのか……!?
※毎朝6時更新
※毎日投稿&完結目指して頑張りますので、よろしくお願いします^ ^
※2024.1.31完結
ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて
木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。
前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる