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第二章
4、シリウスとアリシア①
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翌日、アリシアはベッドの上でゆっくりすることになった。それは燃え上がった代償のようなものだ。
ルドワードはいまだ改装の終わらない部屋ではなく、シリウスたちが泊まっている客室のほうで話をしている。リリアたちから身の回りのことをするのでしばらく部屋を出るようにお願いされたからだ。
「で、前回と打って変わってご機嫌だな」
「まぁな」
「これ以上は言わないけど、顔緩みすぎ」
「こればっかりは仕方ない」
ルドワードも相談はしたが自身の表情などでばれているので深くは何も言わない。それに夫婦間の濃密な話をされても困るというものだ。ただの惚気を聞かされるだけで済めばいいが……いや、それも嫌だろうが、深くは知りたくない。
もちろんルドワードもそんなことを言うつもりもない。なので早々に次の話になった。
「まぁ、夫婦間の話は別にいい」
「そうだね、それはそうとうちの貴族連中がうるさかったよ」
「ああ、そうだな」
「何かあったのか?」
それは現在滞在しているユーザリア大国の貴族連中の話だ。
結婚式から数日が経っているが現在も多くのユーザリア大国の貴族は滞在している。披露宴パーティーから交流が芽生えたらしく、文化交流となって視察を兼ねて両国の貴族は王都を一緒に回っている。
見られて困るようなところもないし、護衛もつけているので今の所大きな問題になっていない。
その護衛もユーザリア大国の兵と第二以下の近衛隊を合わせてつけている。そのため兵士たちも交流が行われ、互いの武術等の話をしたり、教え合ったりしている。
貴族より意外と兵士の方が同じ志を持っているためかスムーズかつ円満に仲を深めている。
その現状で何か問題が起きたのかとルドワードは国をまとめる者として心配した。そんなルドワードを見てシリウスは苦笑しながら両国の問題ではないと告げた。
「簡単な話だ。最高魔力所有者であるアリシア嬢を嫁がせたことに対しての話だ」
「何か問題でも?」
「いや、なぜその事実を公表しなかったのかという話だ」
シリウスはあえてなにも公表しなかった。リーナばかりに目を向けている貴族たちにわざわざ教えてアリシアが幸せになるチャンスを潰させる気はシリウスにはなかった。
それでも何も隠さなかった、疑問に思い調べてくる面々がいればそれに対処した。それに何を言われてもアリシアのためにも嫁がせる気でいたので現状何も変わりはない。
「アリシア嬢の重要性を誰も気付かなかった、今までリーナ嬢しか目を向けていなかったくせに発覚すればつっついくる。面倒だよ」
「アリシア嬢のことは隠していない。だから調べようと思えば調べられたはずだ」
「そうか。でもよかったのか?」
「なにがだ?」
それでもルドワードは気になった。
国境近くの領をまとめるのは大切な役割だ。それを担うはずだったアリシアを自分の所に嫁がせて本当に良かったのかと気になったのだ。
もちろんルドワードはアリシアを本当に愛しているので文句どころか、返せと言われても返す気は全くなかった。それでも気になるものは気になるので尋ねた。
「シアを嫁がせてだ。もちろん、俺はシアで良かったと思っているし、今ではシア以外を娶る気はない」
「だろう」
「それでもシアは領主となるはずだったんだろ?国境近くの」
「いや、その可能性は低かった」
「ああ、遺言書に従弟でとなっているし、血的にも問題はないしね」
「アリシア嬢は幸せになってしかるべきなんだ」
「そうだね、あの方は幸せになってもらわないと」
「どういうことだ?」
ルドワードがアリシアしか娶る気はないと言うとシリウスは当たり前だと自信満々だ。そこに少しルドワードは疑問に思い、ルークはため息をついた。
それでもルドワードが今聞きたいことを優先して尋ねるとルークがその質問に答えた。
そして二人ともがアリシアを幸せにしたいと思っている、今度こそルドワードは尋ねた。
ルドワードはいまだ改装の終わらない部屋ではなく、シリウスたちが泊まっている客室のほうで話をしている。リリアたちから身の回りのことをするのでしばらく部屋を出るようにお願いされたからだ。
「で、前回と打って変わってご機嫌だな」
「まぁな」
「これ以上は言わないけど、顔緩みすぎ」
「こればっかりは仕方ない」
ルドワードも相談はしたが自身の表情などでばれているので深くは何も言わない。それに夫婦間の濃密な話をされても困るというものだ。ただの惚気を聞かされるだけで済めばいいが……いや、それも嫌だろうが、深くは知りたくない。
もちろんルドワードもそんなことを言うつもりもない。なので早々に次の話になった。
「まぁ、夫婦間の話は別にいい」
「そうだね、それはそうとうちの貴族連中がうるさかったよ」
「ああ、そうだな」
「何かあったのか?」
それは現在滞在しているユーザリア大国の貴族連中の話だ。
結婚式から数日が経っているが現在も多くのユーザリア大国の貴族は滞在している。披露宴パーティーから交流が芽生えたらしく、文化交流となって視察を兼ねて両国の貴族は王都を一緒に回っている。
見られて困るようなところもないし、護衛もつけているので今の所大きな問題になっていない。
その護衛もユーザリア大国の兵と第二以下の近衛隊を合わせてつけている。そのため兵士たちも交流が行われ、互いの武術等の話をしたり、教え合ったりしている。
貴族より意外と兵士の方が同じ志を持っているためかスムーズかつ円満に仲を深めている。
その現状で何か問題が起きたのかとルドワードは国をまとめる者として心配した。そんなルドワードを見てシリウスは苦笑しながら両国の問題ではないと告げた。
「簡単な話だ。最高魔力所有者であるアリシア嬢を嫁がせたことに対しての話だ」
「何か問題でも?」
「いや、なぜその事実を公表しなかったのかという話だ」
シリウスはあえてなにも公表しなかった。リーナばかりに目を向けている貴族たちにわざわざ教えてアリシアが幸せになるチャンスを潰させる気はシリウスにはなかった。
それでも何も隠さなかった、疑問に思い調べてくる面々がいればそれに対処した。それに何を言われてもアリシアのためにも嫁がせる気でいたので現状何も変わりはない。
「アリシア嬢の重要性を誰も気付かなかった、今までリーナ嬢しか目を向けていなかったくせに発覚すればつっついくる。面倒だよ」
「アリシア嬢のことは隠していない。だから調べようと思えば調べられたはずだ」
「そうか。でもよかったのか?」
「なにがだ?」
それでもルドワードは気になった。
国境近くの領をまとめるのは大切な役割だ。それを担うはずだったアリシアを自分の所に嫁がせて本当に良かったのかと気になったのだ。
もちろんルドワードはアリシアを本当に愛しているので文句どころか、返せと言われても返す気は全くなかった。それでも気になるものは気になるので尋ねた。
「シアを嫁がせてだ。もちろん、俺はシアで良かったと思っているし、今ではシア以外を娶る気はない」
「だろう」
「それでもシアは領主となるはずだったんだろ?国境近くの」
「いや、その可能性は低かった」
「ああ、遺言書に従弟でとなっているし、血的にも問題はないしね」
「アリシア嬢は幸せになってしかるべきなんだ」
「そうだね、あの方は幸せになってもらわないと」
「どういうことだ?」
ルドワードがアリシアしか娶る気はないと言うとシリウスは当たり前だと自信満々だ。そこに少しルドワードは疑問に思い、ルークはため息をついた。
それでもルドワードが今聞きたいことを優先して尋ねるとルークがその質問に答えた。
そして二人ともがアリシアを幸せにしたいと思っている、今度こそルドワードは尋ねた。
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