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ルーカスが自身の土地となった場所をしっかりと認識し、ここで生きる覚悟をすると目の前に半透明の画面が現れた。

「何、これ?」
「ルーカス様?……これはステータス画面、ではないですね」
「たぶん、似たものだね。僕のスキルの名前があるから」
「そうですね」

ルーカスが言うように半透明の画面にはこう書かれている。

『スキル『箱庭』の発動条件を満たしました。スキルを発動しますか?  はい/いいえ』

ルーカスは戸惑いも、躊躇いもなく『はい』を押した。

すると大地が光だし、暫くするとその光も収まった。
すると、画面の文字が変わっていた。

『土地とスキルの同化が完了しました。離れている土地を呼び寄せますか?   はい/いいえ』

「土地を、呼び寄せる?」
「どう言うことでしょう?」
「分からない。現実問題として土地を呼び寄せるということは可能なんだろうか?」
「そうですね、こればかりはルーカス様のスキルの話ですので」
「ルーカス様のは新スキルですので判断できませんね」
「だよね。ん?説明ってのが出てきた」

ルーカスは画面の隅っこに出てきた『説明』という文字が出てきたのでそれを押した。

『説明:土地の呼び寄せとはスキル保有者所有の土地が点在している場合それをまとめることです。
    その際呼び寄せた土地は任意の場所に設定できます。
    末席に付けた場合はそこまでが所有者の土地となります。
    所有の土地内の場所に入れた場合はその分の土地が呼び寄せた方から増えます。
    総面積が変わることはありません。
    それは全ての国に強制的に作用します』

「「「強制的…」」」
「これは…強力な作用をしますね」
「全ての国ってなってるのが余計に怖いよね」
「ですね。ですが、これでルーカス様のスキルのすごさが分かりますね」
「……うん、僕自身も怖い…」

ルーカスたちはスキルの強制力に驚いていた。
確かに土地が離れていると統治もやりにくいが、領地には領民も家畜も建物も田畑もあるのだ。
それがどうなるか分からなければ、安易に選択は出来ない。

「これ、土地を呼び寄せるのはいいけどそこにあるモノはどうなるんだろ」
「そうですね。土地だけの移動か、土地にあるモノ全ての移動かにもよりますね」
「動かせるモノも任意で選べた方がいいですけど」
「そうだね。そんなところはどうなっているんだろう?」

ルーカスはアルフォートとサリバンと一緒に話していると画面に新たな文字が出た。

『移動する土地にあるモノは選択式となっています』

「スキルってこんな感じなの?」
「いえ、たぶんですがルーカス様のこのスキルが特別なのだと思います」
「そうなんだ。まぁ、いいや。考えたってどうしようもないし。それで領地の方はどうなっているの?」
「全員、指示があるまで待機しています」
「そう。なら全員建物の中にいるように伝達して。どんなふうに動くのか分からないから」
「了解しました」

アルフォートはルーカスの指示を聞いて『念話』スキル持ちの者を呼び寄せた。
アルフォートに呼ばれて一人の青年がやってきた。

「ルーカス様、呼びました?」
「メルト、領地のみんなにね、建物の中に避難してて欲しいって伝えて。僕のスキルが発動できるようになって土地ごと移動させることが出来るからそれをやるから安全のために」
「分かりました!」

メルトと呼ばれた青年は目を閉じて、じっとしているように見えるが『念話』を行っているのだ。
このスキル『念話』は所有者がスキルに登録している人物と会話できるスキルで、その人数は所有者のスキルの強さで変わる。

「ルーカス様、領民全員建物の中に避難完了しました。家畜も家畜小屋に入っています」
「分かった。それじゃあ、スキルを使うよ」
「「「「はい!」」」」

そう言うとルーカスは画面の『はい』を押した。

『土地の呼び寄せを行います。土地にあるモノも呼び寄せますか?   はい/いいえ』

「はいっと。あ、呼び寄せるモノはここで選ぶんだ」
「どんな感じですか?」

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