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しおりを挟むルーカスは一番前の馬車に執事のサリバンと近衛隊長のアルフォートと一緒に乗った。
使用人たちも残りの馬車や荷馬車に乗り込み、近衛たちの面々も各自馬に乗り、馬車や荷馬車を守るように配置して街の出入口の門に向かった。
まさかこれが追放される一団だとは誰も思えないほど、厳重だった。
貴族が避暑地に向かうと言われた方が納得する位だ。
門番に追放された事の証明書を見せて、門を出ようとしたのだが門番は何度も何度も書類と一団を見て困惑していた。
「おい、早くしてくれないか?」
「あ、ああ……ルーカス様……追放…」
「話は来ているだろ」
「ああ、来てはいるが……にわかに信じがたいと言うか、追放される一団?」
「そうだ。我らはルーカス様以外に仕えるにはないからな」
「そうか……そうだな、わかった。ほら、これで手続き完了だ」
「ああ」
門番は無理矢理納得しつつ、苦笑して手続きを行った。
こうして、ルーカスはグラディス王国を追放……いや、去っていった。
***
ルーカスたちは七日かけて追放先のナバラス平地に向かった。
道中何度も魔獣や賊に狙われたがそれはそれ、グラディス王国最強とされた蒼の騎士団が丸々いるのだ。
問題にもならなかった。
むしろ、魔獣等は食料や素材等になり、賊は賞金と変えられていた。
「アルフォートたちがいると安心だね」
「ありがとうございます」
「もう少ししたら着くかな、ナバラス平地」
「そうですね。先行した者が待っているはずです」
「そうだね」
ルーカスたちは数日前に斥候隊を出していた。
というより、元々の斥候隊の面々が自ら行くと言い出したので向かって貰っていたのだ。
ナバラス平地はなかなか広い平地なので、どの辺りまで向かうと話していた。
場所は名で記されていたが、どれ程の範囲なのか分からなかったので測量し地図にする為でもあり、住む場所を決めて貰う為だ。
出来れば中心に住むようにしたいと言うルーカスの願いのためにみんなが動いたのだ。
「あ、あそこにいますね」
「本当だ」
「「「ルーカス様ー」」」
「お疲れ様、ありがとうね」
「いえいえ、ルーカス様の為ならいくらでも」
「ですが、やはり枯れた土地ですね。草一つもまともにありませんでした」
「そっかぁ~」
彼らはすでにある程度は見て回っていた。
ルーカスたちが到着したら土地の生体調査をすることになるから先に行っていたのだ。
ルーカスは最初に渡された書類を再度確認した。
そこには追放先となった場所の近隣の国々の王たちの署名があった。
これらの土地を譲渡すると。
どこの国も、誰も、これらの土地を元々所有などしていない。
開拓しても実りにならないと調査され尽くしていたからどこの国も手を出さなかった土地たちなのだ。
なのに、書類には譲渡となっているのだから、おかしな話だ。
本来なら『所有を認める』等が妥当なのだ。
だが、この書類があるのでこれらの土地は正式にルーカスのモノなのだ。
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