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しおりを挟む大きく開いた扉から蒼い騎士服を着た集団が入ってきた。
それはこの国最強とも言われる『蒼の騎士団』だ。
彼らはまっすぐにルーカスの前に行き、膝をついた。
「ルーカス様、ただいま戻りました」
「アルフォート、みんな、お帰り。無事?怪我はない?大丈夫だった?」
「はい。全て問題なく終わられました。怪我人もいません」
「そう、それはよかった」
「有り難き御言葉、嬉しゅうございます。そして、ルーカス様、ご成人おめでとうございます!」
「「「「「おめでとうございます!」」」」」
「ありがとう」
蒼の騎士団は嬉しそうにルーカスへ賛辞の言葉を告げた。
それに周りはざわめいた。
蒼の騎士団は国所有の騎士団だと誰もが思っているが、彼らは国にではなく、自分達を助けてくれたルーカス個人に仕えているのだ。
「蒼の騎士団よ、何故許可なく入って参った?それにまずは国王たるワシに挨拶と報告をせぬか!」
「我らはルーカス様の騎士団だ。国に仕えたつもりはない」
「「「なっ!?」」」
「それにルーカス様が望むから任務に向かっていただけの話だ。勘違いしないでくれ」
「「「っっ?!!」」」
蒼の騎士団が国の任務に向かっていたのはひとえに国民を案じるルーカスの為だ。
ただルーカスの思いが国王の命令と被っていたから受けていただけなのだ。
それにそうすればルーカスの地位向上にも繋がると思っていたのだ。
だが、これは叶わなかったが。
「アルフォート、お母様の遺言をさっき聞いたよ」
「なんと!それでどうなさるのですか?」
「僕は追放を受けるよ。全てを持っていく」
「追放……畏まりました。おい、屋敷と領地に連絡しろ」
「はい!」
アルフォートはルーカスの望みを叶えるために常に連れている連絡係の者に屋敷と領地に連絡させた。
その者はスキル『念話』を持っている。
そのスキルを使って早急に連絡をさせ、準備するようにしたのだ。
「国王、僕は全てを持っていく。僕は貴方たちを一度だって家族とは思っていない。蒼の騎士団も僕個人の近衛隊だ、彼らも連れていくよ」
「ルーカス!」
「貴方から親の情など感じたことない。僕の家族は誰にも渡さない!それにお母様にも全て持って行って良いと言われました」
「「「「「「「!!!」」」」」」」
「さようなら、僕の大嫌いな人たち」
ルーカスはそう言うと蒼の騎士団を連れて出ていった。
ルーカスはそのまま屋敷に戻った。
するとすでにそこには屋敷はなくなっていた。
あったのは敷地を囲む塀と土がむき出しの更地で二頭立ての馬車が三台、荷馬車が五台、その前に使用人たちがキレイに整列していた。
「みんな、早いね」
「勿論です。ルーカス様や私たちの持ち物は全て『マジックバック』に入っています」
「屋敷や植えていた植物は全てスキル『アイテムボックス』に入っています」
「食料も十二分に用意いたしました。領地の方もすでに準備できているとのことです」
「そう、分かった。それじゃあ、出発しよう!」
「「「「「はい!」」」」」
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