3 / 11
3
しおりを挟む大きく開いた扉から蒼い騎士服を着た集団が入ってきた。
それはこの国最強とも言われる『蒼の騎士団』だ。
彼らはまっすぐにルーカスの前に行き、膝をついた。
「ルーカス様、ただいま戻りました」
「アルフォート、みんな、お帰り。無事?怪我はない?大丈夫だった?」
「はい。全て問題なく終わられました。怪我人もいません」
「そう、それはよかった」
「有り難き御言葉、嬉しゅうございます。そして、ルーカス様、ご成人おめでとうございます!」
「「「「「おめでとうございます!」」」」」
「ありがとう」
蒼の騎士団は嬉しそうにルーカスへ賛辞の言葉を告げた。
それに周りはざわめいた。
蒼の騎士団は国所有の騎士団だと誰もが思っているが、彼らは国にではなく、自分達を助けてくれたルーカス個人に仕えているのだ。
「蒼の騎士団よ、何故許可なく入って参った?それにまずは国王たるワシに挨拶と報告をせぬか!」
「我らはルーカス様の騎士団だ。国に仕えたつもりはない」
「「「なっ!?」」」
「それにルーカス様が望むから任務に向かっていただけの話だ。勘違いしないでくれ」
「「「っっ?!!」」」
蒼の騎士団が国の任務に向かっていたのはひとえに国民を案じるルーカスの為だ。
ただルーカスの思いが国王の命令と被っていたから受けていただけなのだ。
それにそうすればルーカスの地位向上にも繋がると思っていたのだ。
だが、これは叶わなかったが。
「アルフォート、お母様の遺言をさっき聞いたよ」
「なんと!それでどうなさるのですか?」
「僕は追放を受けるよ。全てを持っていく」
「追放……畏まりました。おい、屋敷と領地に連絡しろ」
「はい!」
アルフォートはルーカスの望みを叶えるために常に連れている連絡係の者に屋敷と領地に連絡させた。
その者はスキル『念話』を持っている。
そのスキルを使って早急に連絡をさせ、準備するようにしたのだ。
「国王、僕は全てを持っていく。僕は貴方たちを一度だって家族とは思っていない。蒼の騎士団も僕個人の近衛隊だ、彼らも連れていくよ」
「ルーカス!」
「貴方から親の情など感じたことない。僕の家族は誰にも渡さない!それにお母様にも全て持って行って良いと言われました」
「「「「「「「!!!」」」」」」」
「さようなら、僕の大嫌いな人たち」
ルーカスはそう言うと蒼の騎士団を連れて出ていった。
ルーカスはそのまま屋敷に戻った。
するとすでにそこには屋敷はなくなっていた。
あったのは敷地を囲む塀と土がむき出しの更地で二頭立ての馬車が三台、荷馬車が五台、その前に使用人たちがキレイに整列していた。
「みんな、早いね」
「勿論です。ルーカス様や私たちの持ち物は全て『マジックバック』に入っています」
「屋敷や植えていた植物は全てスキル『アイテムボックス』に入っています」
「食料も十二分に用意いたしました。領地の方もすでに準備できているとのことです」
「そう、分かった。それじゃあ、出発しよう!」
「「「「「はい!」」」」」
0
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件
桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。
神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。
しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。
ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。
ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】
雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。
そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!
気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?
するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。
だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──
でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる