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「ルーカス様の、スキルは……『箱庭』です」
「は、『箱庭』?」
「はい。新種のスキルです」
この時よりルーカスの人生は変わった。
ルーカスはここグラディス王国の第2王子として産まれた。
唯一の正妃の子供として。
しかし、ルーカスの立場は弱かった。
ルーカスが幼い時に正妃は崩御しており、現国王でありルーカスの父親は側妃に寵愛をそそいでいた。
故に側妃の子供である第1王子と第3王子のみを大切にしている。
その為、ルーカスを御輿にする貴族はいなかった。
話を戻そう、この国は13歳で成人の儀式をする。
その際に固有スキルを神官より発表される。
それは貴賤関係無く行われる儀式だ。
ルーカスは王族籍にあるので儀式は厳かで、多くの貴族や友好国の主賓も招待されており、進行役も神官長が行っている。
国王はルーカスに尋ねた。
「新種のスキルと言うことだが、どのような効果がある?ルーカスよ、発動して見せよ」
「……申し訳ありません。発動条件が整っていないようで発動できません」
「なんと情けない!名からしてもろくなスキルではなさそうだ。まったく、お前はどこまで期待外れなのだ」
「…………(期待などしてないくせに。ただ僕が邪魔なだけだろ)」
ルーカスをゴミのように見て罵る国王からは情など一切感じない。
むしろ、王子の成人の儀式として集められた者たちにルーカスがどれ程役立たずかを、邪魔な存在かをしらしめる行為でしかなかった。
「ルーカスよ、これまではお前のスキルが有用である可能性もあった故に我が国においておいたがその可能性も失せた。今これよりお前を王族籍より除名し、追放処分とする」
「っ!?成人の儀式中に言いますか」
「成人の儀式中だからこそだ。これほど大勢の貴族や来賓の前で判明したのだ、当り前であろう。安心せよ。すでにお前の追放先は決まっておる。これがお前の追放先だ」
国王がルーカスに投げ渡したのは書類だった。
そこには多くの友好国の名前が入っていた。
つまり、全ての国がそこに追放するのを許可していた。
それは枯れた土地と言われているナバラス平地を含めた人が生きるのに向かない場所だった。
ナバラス平地、風の渓谷、死の森、命の泉とされていた。
それを見てルーカスは心に黒いものがたまるのを感じた。
そんなルーカスを見て国王はほくそ笑み、神官長に儀式の終了させた。
「神官長よ、儀式終了の合図をせよ」
「は、はい!では、これにてルーカス様の成人の儀式を終了します」
「ふむ」
「それに伴いまして、故・アイリン正妃様の遺言を発表いたします」
「「「「な、な、な、何?!」」」」
「どういうことだ?!」
国王を始めとした全員が戸惑った。
ルーカスの母親であるアイリン正妃はルーカスが10歳になる前に亡くなっている。
確かに当時より遺言があることを告げられ、アイリン正妃の財産は遺言が発表されるまで誰も手を付けられないようになっていた。
それは国王でも覆らせることはできなかった。
唯一、王都の貴族街にある屋敷は管理が必要とのことでルーカスが住んで管理していた。
そのアイリン正妃の遺言が発表されることになったのだ。
全員が固唾をのんで待った。
別の待機していた神官が神官長のもとに透明な球体を持ってきた。
「は、『箱庭』?」
「はい。新種のスキルです」
この時よりルーカスの人生は変わった。
ルーカスはここグラディス王国の第2王子として産まれた。
唯一の正妃の子供として。
しかし、ルーカスの立場は弱かった。
ルーカスが幼い時に正妃は崩御しており、現国王でありルーカスの父親は側妃に寵愛をそそいでいた。
故に側妃の子供である第1王子と第3王子のみを大切にしている。
その為、ルーカスを御輿にする貴族はいなかった。
話を戻そう、この国は13歳で成人の儀式をする。
その際に固有スキルを神官より発表される。
それは貴賤関係無く行われる儀式だ。
ルーカスは王族籍にあるので儀式は厳かで、多くの貴族や友好国の主賓も招待されており、進行役も神官長が行っている。
国王はルーカスに尋ねた。
「新種のスキルと言うことだが、どのような効果がある?ルーカスよ、発動して見せよ」
「……申し訳ありません。発動条件が整っていないようで発動できません」
「なんと情けない!名からしてもろくなスキルではなさそうだ。まったく、お前はどこまで期待外れなのだ」
「…………(期待などしてないくせに。ただ僕が邪魔なだけだろ)」
ルーカスをゴミのように見て罵る国王からは情など一切感じない。
むしろ、王子の成人の儀式として集められた者たちにルーカスがどれ程役立たずかを、邪魔な存在かをしらしめる行為でしかなかった。
「ルーカスよ、これまではお前のスキルが有用である可能性もあった故に我が国においておいたがその可能性も失せた。今これよりお前を王族籍より除名し、追放処分とする」
「っ!?成人の儀式中に言いますか」
「成人の儀式中だからこそだ。これほど大勢の貴族や来賓の前で判明したのだ、当り前であろう。安心せよ。すでにお前の追放先は決まっておる。これがお前の追放先だ」
国王がルーカスに投げ渡したのは書類だった。
そこには多くの友好国の名前が入っていた。
つまり、全ての国がそこに追放するのを許可していた。
それは枯れた土地と言われているナバラス平地を含めた人が生きるのに向かない場所だった。
ナバラス平地、風の渓谷、死の森、命の泉とされていた。
それを見てルーカスは心に黒いものがたまるのを感じた。
そんなルーカスを見て国王はほくそ笑み、神官長に儀式の終了させた。
「神官長よ、儀式終了の合図をせよ」
「は、はい!では、これにてルーカス様の成人の儀式を終了します」
「ふむ」
「それに伴いまして、故・アイリン正妃様の遺言を発表いたします」
「「「「な、な、な、何?!」」」」
「どういうことだ?!」
国王を始めとした全員が戸惑った。
ルーカスの母親であるアイリン正妃はルーカスが10歳になる前に亡くなっている。
確かに当時より遺言があることを告げられ、アイリン正妃の財産は遺言が発表されるまで誰も手を付けられないようになっていた。
それは国王でも覆らせることはできなかった。
唯一、王都の貴族街にある屋敷は管理が必要とのことでルーカスが住んで管理していた。
そのアイリン正妃の遺言が発表されることになったのだ。
全員が固唾をのんで待った。
別の待機していた神官が神官長のもとに透明な球体を持ってきた。
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