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国王陛下の許可も頂きましたので私は今までの事をお話ししました。

私が生まれてからのお話です。
私の記憶がない頃はクリスティーナがが説明しました。

私が生まれたのはお母様がアバント伯爵家に嫁いで一年後の事だったそうです。
つまり、嫁いですぐの初夜の時にできたという事らしいです。

お母様はそれで済んで喜んでいたそうです。
というのも、一人は子供が出来ないといけませんでしたし、お母様は商会のお仕事もありますから長引くのは嫌だったらしいのです。
クリスティーナたちにしてみれば、お母様が私を身籠って安定期に入った時にナディア様と婚姻をしたそうです。
その時にはサリフィア様がお生まれになっていたそうです。

それは少々問題が生じたそうですが、お母様が力技で押し切ったそうです。
もしかして、お母様は元アバント伯爵を受け入れる、もしくはアバント伯爵家にドラゴニス王国の血を入れる気
がなかったのかもしれません。
そう考えれば私以外の子供を儲けようとしなかったのも納得できます。

そして、私が物心ついた…というか、記憶がしっかりとあるのは三歳ぐらいですね。
その時のお母様は本当に忙しそうでした。

商会の仕事として多くの従業員とお話をされながら提携先の方々と駆け引きをされていました。
当時の私には難しい話ばかりでお側に居させて頂いてもおとなしくしている事しかできませんでした。
ですが、よく従業員の方々や提携先の方々が私にお土産としてお菓子や子供が気に入るような小物をくださいました。

よく頂いた小物としてはお母様とのお揃いの物が多かったと記憶しています。
たぶんですが、私がお母様とお揃いの物をとても喜んでいたのだと思います。
珍しいお菓子を頂いた時は王城に向かい、王妃陛下やアイザック様やフレデリック様と一緒にお茶会をして楽しんでいました。

元第一王子ですか?
あの方はお茶会に招待しましても来ませんでしたので知りません。

あの方との出会いもあまりよくはありませんでした。
それも三歳の頃でした。

お母様に連れられてきた王城の中庭でお会いしました。
元第一王子は王妃陛下、アイザック様とフレデリック様と一緒に来られました。
ご挨拶をして、王妃陛下から三人のご子息の自己紹介をしてくださいました。
今考えればおかしいですよね。
本来なら下の者から先に紹介を致しますので、それを考えてもお母様はやはりサルベージル王国より上のお国の方だったという事ですね。
しかも、婚姻をしてもその地位が確約されているという事でしょう。

「お久しぶりにございます、マリリン様」
「お久しぶりです、アマリリス様」
「こちらが我が息子たちで、右から長男である第一王子のバラモース、真ん中が次男で第二王子のアイザック、左が三男の第三王子のフレデリックですわ。婚約者は一応、第一王子のバラモースです」
「そうなんですね。この子が私の可愛い娘のエリアンティーヌですわ。今年で三歳になりますね」
「まぁ!でしたら、アイザックとフレデリックは同い年ですね。この子たちは双子なんです!バラモースは二つ上になりますね」
「そうなんですね。ふふふ、誰でも問題ない年齢ですね」
「そうですわね!場合によっては同じ年のアイザックやフレデリックでも良いですわね!!」

そんな風にお母様たちは楽しそうにされていたと記憶しています。

そんな中、元第一王子は私に近づき、とても偉そうに言われました。

「おまえがぼくのこんやくしゃか?」
「えっと、そうなるようですわね?」
「ふん!しろいろなんてへんなかみのいろをしているし、へいみんのははおやなんてほんとうならおうじのぼくのこんやくしゃにふさわしくないんだぞ!いいか、ぜったいにぼくにさからうなよ!おかあさまとおとうさまがいうからぼくはしかたなくおまえでがまんしてやるんだからな!ふん!!」
「…………」
「にいさま?!」
「なにいってるの?!!」
「えりあんてぃーぬさま!にいさまがごめんなさい!!」
「ごめんなさい!!」
「なんでおまえたちがでしゃばるんだ!こんなへいみんにあやまるひつようはない!!」
「あるに決まっているでしょう!!!」
「いたい!なんでなぐるのですか?!おかあさま」
「貴方が愚かで、無礼ですからよ!エリアンティーヌ嬢に謝りなさい!」
「いやだ!ぼくはわるくない!!」
「貴方が悪いに決まっているでしょう!!」

私はいきなりの暴言に呆然としていました。
アイザック様とフレデリック様はそんな元第一王子の言葉に驚きつつもすぐに私に謝って下さいました。
アイザック様とフレデリック様の様子からサルベージル王国側はこの段階で私とお母様の秘密をお話しされていたようですね。
そして、それを私の婚約者となった元第一王子だけが理解していなかったのですね。

実はこの段階から元第一王子の評価は下がっていったのでしょうね。
あ、元第一王子が私の婚約者から外れなかったのは私のせいです。

「ごめんなさいね、エリアンティーヌ嬢」
「いいえ、あいざっくさまとふれでりっくさまがあやまってくれましたので、だいじょうぶです」
「エリアンティーヌ嬢さえ良ければ婚約者はアイザックかフレデリックに変更してもいいのですよ?そうしますか?」
「まだ、あったばかりでわかりませんので……いっしょにいてだめだとおもったらそうしてもらってもいいですか?」
「え?え?……マリリン様ぁ~」
「まぁ、年頃の男の子には恥ずかしくてそうする場合もあるから、様子をみては?エリアンティーヌもそう言っているみたいですし…………あまり許したくはないですが、エリアンティーヌとアマリリス様に免じてね」
「ありがとうございます!!」

私はその時に初めてお母様の黒い笑顔を見ました。
すごく怖かったです。

それからもお茶会やパーティーで一緒にいても元第一王子は変わりませんでしたが、あの時のお母様が頭に浮かんでしまってお母様には何も言えませんでした。
それにその頃には仕事をしない元アバント伯爵の怠慢で王都でできる事と領地視察はお母様が、領地自体の経営をお祖父様が行うようになりましてとても忙しく、私は心配を掛けたくありませんで内緒にしていました。
それに悪いことばかりではありませんでした。
王妃陛下も気にしてくださり、元第一王子をお叱りくださっていましたし、国王陛下に知られた時は問答無用でサルベージル王国騎士団に放り込まれ、しごかれていましたね。
代わりに私の相手をアイザック様とフレデリック様が率先してしてくださっていましたので、お母様に話す内容には困りませんでした。
私が王城に参上する際はアイザック様とフレデリック様がすぐに来てくれたのです。
その時に一応、形式として元第一王子もいましたが、すぐに消えて私はアイザック様とフレデリック様と過ごすのです。
こうなると誰が婚約者か分からなくなりそうでした。

その頃はまだアバント伯爵家には元第一王子は来たことがありませんでした。
元第一王子がアバント伯爵家に来るようになったのはお母様が亡くなってからです。
というのも、お母様が生きている時に来てあのような対応をもう一度した時にはお母様が第一王子を殺してしまうのではないかと私が危惧していたからのと、お母様を失い、落ち込んで屋敷というか自室より出ていかなくなったのが原因です。

国王陛下と王妃陛下が心配して王家代表として婚約者という大義名分のある元第一王子をお使いに出したのでしょうが、ものの見事に失敗しましたね。
その時にサリフィア様と出会い、生粋の貴族(本当は私もあったのですが)だと分かり、元第一王子はすぐにそちらに傾倒しました。
お使いは一緒に来られていた従者の方が果たしていました。

私も少しずつ元気を出して、王城に再び参上できるようになりました。
勿論ですが、元第一王子とはすれ違いです。
代わりに私は王妃陛下から王子妃ひいては王妃教育をして頂き、勉強会としてアイザック様とフレデリック様と交流をしていました。
本当に誰が婚約者なのか分からなくなりますよね。













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