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「ですが、マリリン様にも誤算があったようですね。第二夫人を認めたのですから夫人として仕事を二分できる筈だったのに偽りとはいえ、自身より身分が低いのにと第二夫人は婚姻を許されたことを、我が子と一緒に居れることを感謝せずにマリリン様に嫌がらせを始めたのです。アバント伯爵と共に!」
「「っっ!」」

ああ、そうでしたわね。
アバント伯爵は第一夫人であるお母様を疎ましく思っているようで何かとナディア様と一緒にやっていたらしいですね。

「伯爵位を継いだのにその務めもせず、領地の事も領地に戻ったお父上に任せっきり。領地の視察もマリリン様に任せ、ご自身はナディア様と遊び放題、お金を使い放題」
「商会の仕事に、王都の方でできる領地経営の仕事、領地のお義父上との連携、領地の視察、伯爵夫人としてのお茶会、伯爵家第一夫人として出席しなければならない各パーティーへの出席、エリアンティーヌ様が王家に嫁ぐためのお勉強の準備や根回しなどをしていました。エリアンティーヌ様との時間を犠牲にしたくないと必ず時間を設けるようにもしていましたね」
「そうですわね、お母様はどんなに忙しくても会ってくださいました」
「王城へも会いに来てくれていたわ。そんなに忙しかったのね」
「全くだ。爵位を継承しておきながら務めを怠るなど許されない!貴族を何と心得るか!!」
「っっ!」
「そうですわ。それに第二夫人は第一夫人が許さなければただの浮気相手です。それも子供を取り上げられることなど多々あると聞きます。何せ、爵位を継承できる他人の子など何処の夫人が生かしておくと思うのですか?」
「「っっ?!」」

当たり前ですわね。
誰だって我が子が跡継ぎであって欲しいものです。
令嬢ならより良い婚約を、より良い家との繋がりを求めるものでしょうね。
この国では女性でも爵位は継げますし。

「それに第二夫人は第一夫人を助けるのが役目、遊んで暮らして良いなどあり得ませんよ!貴女も貴族令嬢だったのなら分かっている筈ですよね?」
「っ!…………は、はい」
「その務めを、役目を、果たさずに第一夫人に嫌がらせをするなど言語道断ですわ!第一夫人が商会の娘で自身が貴族令嬢だったのなら何をしても許されるとでも思ったのですか?」
「っっ!!」
「自身より身分の低い第一夫人など認めないと考えたのでしょうが、逆ですよ。貴女は第一夫人に許可されて嫁いだのですから。ましてや、貴女のご息女はご子息が産まれ、手続きをするまでは後継ぎでしたのに」
「っっ!!」
「え?」

ナディア様、王妃陛下の言葉に何も言えてませんね。
ですが、それもそうですわね。

私は産まれた瞬間から王命で王家に嫁ぐことが決まっているので、自然とナディア様がお産みになったサリフィア様がアバント伯爵家の次期当主有力候補です。
フォルクスが産まれた際にフォルクスに後を継がせると手続きをしていましたが、それまではサリフィア様でした。

なのに、何故このようなことをしたのでしょうか?
私の王命はナディア様も知っていた筈ですのに。
それより、サリフィア様が驚いていますが、何も知らなかったのでしょうか?

「アバント伯爵、ナディア様、サリフィア様」
「な、なんだ?」
「「な、何よ」」
「いえ、産まれる前から王命で私の人生はほぼ決まっていました。ですのに、何故このような事を?」
「「「っっ!」」」

あら?
何故悔しそうなのでしょうか?
普通に尋ねただけですのに?

まさか…………王命を理解されていなかったのでしょうか?
そんなことありませんよね?
いくらなんでもあり得ませんよね?

いえ、そういえば、王家側で第一王子様がそうでしたわね。
やはり、似た者同士、同じなのでしょうか?
お祖父様や他の皆さんも私と同じ思いに行き着いたようです。
お祖父様のお顔が本当に悪いですわ、大丈夫かしら?

「まさか…………お前は、マリリン様の事はちゃんと説明したのに聞いてなかったのか?マリリン様は偽りの身分で嫁いでこられるが本当は高貴なお方で、発覚したナディアの事を子供共々受け入れられると説明しただろう!」
「っ!」
「「え?」」
「ご自身がちゃんと把握していないから、ナディア様とサリフィア様に説明できなかったのですね。そして、私の婚姻も王命であるのにも関わらず、それを理解せずにサリフィア様の方を嫁がせたくて第一王子様に近づけさせたのですね」
「「「っっ!」」」
「「「「「「「「なっ?!」」」」」」」」
「そして、第一王子様はそのハニートラップにはまってしまったのですね。しかもアバント伯爵やナディア様やサリフィア様と同様に王命の意味を理解もせずに」
「「「「っっ!」」」」

どうやら、正解のようですね。
嘆かわしい限りです。
ですが、この段階で第一王子様のハニートラップにかかりやすいことや話をちゃんと聞かないことが判明しましたのである意味では救われましたわ。

まぁ、国王陛下や王妃陛下をはじめとしたサルベージル王国側も、マンサール様やクリスティーナをはじめとしたドラゴニス王国側の方々も怒りに震えているようですわ。

「何と言うことだ……」
「国王陛下、マンサール様、この度は本当に申し訳ございません。私の教育が行き届いていなかったばかりに」
「それはバラモースでも同じですわ。頑張って厳しく教育してきたつもりでしたが、足りませんでしたね。私もバラモースがもっとしっかりとしてくれればと思っていました。いくらバラモースが長男でも同い年のアイザックかフレデリックをエリアンティーヌ嬢の相手にすれば良かったと何度思ったことか」
「ちょっと待ってください!母上!!」
「あら、本当のことでしょう?こんなことになったのは誰のせいですか?」
「うぐっ!」
「なんとも情けない。今回の一件、簡単には終わらせれん」
「そうですね、こちらとしても厳罰を望みます。それで今回のすべてを終わりにしましょう…………それでよろしいですか?エリアンティーヌ様」
「私は構いませんが、私にもそれなりに希望がありますのでそれを聞いて頂きたく思います」
「うむ。ワシ等としても被害者であるエリアンティーヌ嬢の望みは可能な範囲で聞くつもりだ」
「エリアンティーヌ様が望まれる事はできる範囲叶えるつもりです」
「では、お願いします。まずはこの方々の罰を決めてから口出しさせてください。国王陛下やマンサール様がどう判断されているかを先に知りたいので、お願いします」
「うむ」
「はい」

これで皆さんの罪が決まりますね。
実はこの話をしている間から私はあることを考えておりました。
それを認めていただきたいのですよね。

その為にはまず第一王子様やアバント伯爵やナディア様やサリフィア様の罪を決定していただかないといけませんので。








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