6 / 29
5
しおりを挟む
「失礼します、マンサール卿」
「はい?貴方は第二王子の」
「アイザック・ディル・サルベージルです。少々その怒気を和らげていただけませんか?」
「何を……」
「いえ、お怒りは承知していますが、エリアンティーヌ嬢には少々…いえ、大分辛いと思いますので。私と弟のフレデリックが盾になっていますが、庇えきれていませんので。申し訳ないですが」
「っ!……そうですね。エリアンティーヌ様に害があってはいけません。ご忠告、感謝します、アイザック殿。申し訳ありませんでした、エリアンティーヌ様」
「い、いえ」
私が震えているとアイザック様が進言してくださりました。
私の様子を見てマンサール様は慌てられ、深呼吸を数回されてから苦笑されました。
すると、先程まで感じていた悪寒や危機感や恐怖が収まりました。
あれはマンサール様の怒気だったのですね。
さすが軍事関係の、それも戦闘に出るような方から受けるものは段違いですね。
あれがアバント伯爵やナディア様やサリフィア様に第一王子様では何とも思いませんでした。
いえ、不快感はありましたがこんな風になることはありませんでした。
「エリアンティーヌ嬢、大丈夫ですか?」
「はい、もう大丈夫です。フォルクスは?」
「ぼ、僕も……大丈夫」
「フォルクス、怖くていい。それが普通だ」
「はい」
フォルクスはフレデリック様に言われて頷きました。
そうですよね、まだ10歳ですから怖くて良いんです。
これからフォルクスはこういうのにも耐性をつけていくのでしょうね、男の子ですから。
マンサール様は私が落ち着いたのを確認されると安堵されたようです。
何故、マンサール様は私を気にかけてくださるのでしょうか?
不思議です。
「失礼、エリアンティーヌ様は何も知らないのですか?」
「何も、と言うのが何を指すのか分かりません」
「そうですね。エリアンティーヌ様とこの国の第一王子との婚約やお母上がどうしてこの国に嫁がれたのか等ですね」
マンサール様が言われたのは私が知りたかったことです。
この方は全てを知っているのでしょう。
もしかしたら、教えていただけるのかもしれません、何も知らないと言いましたら。
私はしっかりとお母様の事も、私自身の事も知りたいです。
ですが、それは国王陛下や王妃陛下にアイザック様やフレデリック様にご迷惑をおかけするでしょう。
そうしてまで知る必要はあるのでしょうか?
私が悩んでいるとアイザック様に頭を撫でられました。
アイザック様を見ると苦笑されていました。
全く、相変わらず私を子供扱いしますね……気持ちいいので困りものです。
「父上、兄上はエリアンティーヌ嬢との婚約破棄を宣言されました。このようなパーティー会場でです。証人が多すぎますのでそのままお認めになるのがよろしいかと思います」
「アイザック」
「ザック?おい、そんな事……」
「王命違反は兄上です。エリアンティーヌ嬢には何の瑕疵はありません。それにここで話を濁せば王家にこれ以上の傷と恥が増えます。ご決断を」
「う、う~む、そうだな。アイザックの言うとおりだ。この場でバラモースの有責でエリアンティーヌ嬢との婚約を白紙に戻す!」
国王陛下はしばらく悩まれるとアイザック様の進言を受け入れました。
……ん?
婚約を白紙に戻すですか?
宣言されたのは婚約破棄でしたよね?
「婚約破棄ではエリアンティーヌ嬢にまでいらない傷ができますからね。白紙にするで最初からなかった事にします。勿論、理由が理由なので兄上の有責は変わりありませんがね」
「それはありがたいのですが」
「父上、王命での婚約が白紙に戻されたのですから密約の件もエリアンティーヌ嬢にお教えするべきです。彼女は密約が関係してご自身のお母上の事をあまり教えて貰えなかったのです。もう縛る必要はないかと」
「そうだな。本当に申し訳なかった、エリアンティーヌ嬢」
「そうですわ、エリアンティーヌ嬢。ごめんなさいね」
「そ、そんな?!私なら大丈夫ですから!」
どういうことでしょう、国王陛下と王妃陛下に謝られてしまいました。
それも多くの貴族たちの前で!
王家の沽券に関わります!
周りの貴族の方々も戸惑っています。
アバント伯爵とナディア様も困惑されています。
アイザック様やフレデリック様を見ますと苦笑され、軽く頭を下げられました。
ですから、王家の沽券に関わりますので、伯爵令嬢でしかない私に謝らないでください。
マンサール様はどこか納得されたようなお顔をされてますが、あなた様の中でこの状況は正しいのですか?!
そうしていると第一王子様が大きな声を出しました。
「お待ちください、父上!」
「バラモース」
「何故、俺の方が有責になるのですか?!悪いのはサリフィアに悪行を行っていたあの女です!」
「分からんか?」
「分かりません!あんな平民の女の娘より子爵令嬢の娘であるサリフィアの方が良いに決まっています!平民の血を王家に入れる等ありえません!」
「そうです!バラモース様の言うとおりですわ!」
「本当に、バラモース。貴方はなんと愚かで嘆かわしい限りですわ」
「は、母上…」
どうやら復活されたようですね。
最後まで静かでしたら良かったのですが。
第一王子様とサリフィア様の発言を聞いて王妃陛下が扇で口許を隠しながらも不快感を滲ませていらっしゃいました。
あのお優しい王妃陛下があのようなお顔をするなんて想像も出来ませんでした。
「貴方とエリアンティーヌ嬢の婚約は王命ですよ。それを何の相談も調査も審議もなく、破棄するなどありえません。貴方たちは国王の命令を無視したのですから国家反逆罪を問われても仕方がないことですよ!例え、父親であっても王命とは国のトップとして出した命令です。国民、貴族ましてや王子である貴方さえもそれを無視、反語にすることは許されないのです!」
「そう言うことですよ、兄上。本当にエリアンティーヌ嬢との婚約を破棄、白紙に戻したかったのなら国王である父上にその意思を提示し、然るべき調査のもとするのが普通です。それをせずにこのようなパーティー会場でエリアンティーヌ嬢の誇りに傷をつけるような行いは許されません」
「ましてや兄、上はエリアンティーヌ嬢に対して王子では許されていない権限を行使しようとした、越権行為も先程あったからな」
「それも罪に問われます。貴方はただ自身の我が儘を通そうとしているだけです。王族としても貴族としても許されないことです」
「全く、何故お前だけがそうなんだ」
「っっ!!」
何とも悔しそうですね、第一王子様は。
王妃陛下をはじめご家族全員から呆れられ、怒りを向けられているのです。
少々(?)プライド・自己顕示欲の強い方ですので、堪えているのでしょうね。
「バラモースとの婚約は白紙に戻ったのだ。全てを周知する必要があるようだ。エリアンティーヌ嬢自身も知りたかったであろう密命と王命とエリアンティーヌ嬢とマリリン夫人の事をこの場で話そう。よろしいかな、エリアンティーヌ嬢、マンサール卿」
「私はエリアンティーヌ様のお心のままに。こちらの事情に関しましては補足いたします」
「私は…」
この場で、国王陛下より教えていただけるのですね。
私が長年知りたかったことが。
と言うことは、もう、説明できない事情はなくなったのですね。
知りたいです、お母様の事も、私自身の事も。
「教えて下さい……お母様の事も全て」
「うむ」
「はい?貴方は第二王子の」
「アイザック・ディル・サルベージルです。少々その怒気を和らげていただけませんか?」
「何を……」
「いえ、お怒りは承知していますが、エリアンティーヌ嬢には少々…いえ、大分辛いと思いますので。私と弟のフレデリックが盾になっていますが、庇えきれていませんので。申し訳ないですが」
「っ!……そうですね。エリアンティーヌ様に害があってはいけません。ご忠告、感謝します、アイザック殿。申し訳ありませんでした、エリアンティーヌ様」
「い、いえ」
私が震えているとアイザック様が進言してくださりました。
私の様子を見てマンサール様は慌てられ、深呼吸を数回されてから苦笑されました。
すると、先程まで感じていた悪寒や危機感や恐怖が収まりました。
あれはマンサール様の怒気だったのですね。
さすが軍事関係の、それも戦闘に出るような方から受けるものは段違いですね。
あれがアバント伯爵やナディア様やサリフィア様に第一王子様では何とも思いませんでした。
いえ、不快感はありましたがこんな風になることはありませんでした。
「エリアンティーヌ嬢、大丈夫ですか?」
「はい、もう大丈夫です。フォルクスは?」
「ぼ、僕も……大丈夫」
「フォルクス、怖くていい。それが普通だ」
「はい」
フォルクスはフレデリック様に言われて頷きました。
そうですよね、まだ10歳ですから怖くて良いんです。
これからフォルクスはこういうのにも耐性をつけていくのでしょうね、男の子ですから。
マンサール様は私が落ち着いたのを確認されると安堵されたようです。
何故、マンサール様は私を気にかけてくださるのでしょうか?
不思議です。
「失礼、エリアンティーヌ様は何も知らないのですか?」
「何も、と言うのが何を指すのか分かりません」
「そうですね。エリアンティーヌ様とこの国の第一王子との婚約やお母上がどうしてこの国に嫁がれたのか等ですね」
マンサール様が言われたのは私が知りたかったことです。
この方は全てを知っているのでしょう。
もしかしたら、教えていただけるのかもしれません、何も知らないと言いましたら。
私はしっかりとお母様の事も、私自身の事も知りたいです。
ですが、それは国王陛下や王妃陛下にアイザック様やフレデリック様にご迷惑をおかけするでしょう。
そうしてまで知る必要はあるのでしょうか?
私が悩んでいるとアイザック様に頭を撫でられました。
アイザック様を見ると苦笑されていました。
全く、相変わらず私を子供扱いしますね……気持ちいいので困りものです。
「父上、兄上はエリアンティーヌ嬢との婚約破棄を宣言されました。このようなパーティー会場でです。証人が多すぎますのでそのままお認めになるのがよろしいかと思います」
「アイザック」
「ザック?おい、そんな事……」
「王命違反は兄上です。エリアンティーヌ嬢には何の瑕疵はありません。それにここで話を濁せば王家にこれ以上の傷と恥が増えます。ご決断を」
「う、う~む、そうだな。アイザックの言うとおりだ。この場でバラモースの有責でエリアンティーヌ嬢との婚約を白紙に戻す!」
国王陛下はしばらく悩まれるとアイザック様の進言を受け入れました。
……ん?
婚約を白紙に戻すですか?
宣言されたのは婚約破棄でしたよね?
「婚約破棄ではエリアンティーヌ嬢にまでいらない傷ができますからね。白紙にするで最初からなかった事にします。勿論、理由が理由なので兄上の有責は変わりありませんがね」
「それはありがたいのですが」
「父上、王命での婚約が白紙に戻されたのですから密約の件もエリアンティーヌ嬢にお教えするべきです。彼女は密約が関係してご自身のお母上の事をあまり教えて貰えなかったのです。もう縛る必要はないかと」
「そうだな。本当に申し訳なかった、エリアンティーヌ嬢」
「そうですわ、エリアンティーヌ嬢。ごめんなさいね」
「そ、そんな?!私なら大丈夫ですから!」
どういうことでしょう、国王陛下と王妃陛下に謝られてしまいました。
それも多くの貴族たちの前で!
王家の沽券に関わります!
周りの貴族の方々も戸惑っています。
アバント伯爵とナディア様も困惑されています。
アイザック様やフレデリック様を見ますと苦笑され、軽く頭を下げられました。
ですから、王家の沽券に関わりますので、伯爵令嬢でしかない私に謝らないでください。
マンサール様はどこか納得されたようなお顔をされてますが、あなた様の中でこの状況は正しいのですか?!
そうしていると第一王子様が大きな声を出しました。
「お待ちください、父上!」
「バラモース」
「何故、俺の方が有責になるのですか?!悪いのはサリフィアに悪行を行っていたあの女です!」
「分からんか?」
「分かりません!あんな平民の女の娘より子爵令嬢の娘であるサリフィアの方が良いに決まっています!平民の血を王家に入れる等ありえません!」
「そうです!バラモース様の言うとおりですわ!」
「本当に、バラモース。貴方はなんと愚かで嘆かわしい限りですわ」
「は、母上…」
どうやら復活されたようですね。
最後まで静かでしたら良かったのですが。
第一王子様とサリフィア様の発言を聞いて王妃陛下が扇で口許を隠しながらも不快感を滲ませていらっしゃいました。
あのお優しい王妃陛下があのようなお顔をするなんて想像も出来ませんでした。
「貴方とエリアンティーヌ嬢の婚約は王命ですよ。それを何の相談も調査も審議もなく、破棄するなどありえません。貴方たちは国王の命令を無視したのですから国家反逆罪を問われても仕方がないことですよ!例え、父親であっても王命とは国のトップとして出した命令です。国民、貴族ましてや王子である貴方さえもそれを無視、反語にすることは許されないのです!」
「そう言うことですよ、兄上。本当にエリアンティーヌ嬢との婚約を破棄、白紙に戻したかったのなら国王である父上にその意思を提示し、然るべき調査のもとするのが普通です。それをせずにこのようなパーティー会場でエリアンティーヌ嬢の誇りに傷をつけるような行いは許されません」
「ましてや兄、上はエリアンティーヌ嬢に対して王子では許されていない権限を行使しようとした、越権行為も先程あったからな」
「それも罪に問われます。貴方はただ自身の我が儘を通そうとしているだけです。王族としても貴族としても許されないことです」
「全く、何故お前だけがそうなんだ」
「っっ!!」
何とも悔しそうですね、第一王子様は。
王妃陛下をはじめご家族全員から呆れられ、怒りを向けられているのです。
少々(?)プライド・自己顕示欲の強い方ですので、堪えているのでしょうね。
「バラモースとの婚約は白紙に戻ったのだ。全てを周知する必要があるようだ。エリアンティーヌ嬢自身も知りたかったであろう密命と王命とエリアンティーヌ嬢とマリリン夫人の事をこの場で話そう。よろしいかな、エリアンティーヌ嬢、マンサール卿」
「私はエリアンティーヌ様のお心のままに。こちらの事情に関しましては補足いたします」
「私は…」
この場で、国王陛下より教えていただけるのですね。
私が長年知りたかったことが。
と言うことは、もう、説明できない事情はなくなったのですね。
知りたいです、お母様の事も、私自身の事も。
「教えて下さい……お母様の事も全て」
「うむ」
48
お気に入りに追加
6,053
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?
ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。
それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。
「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」
侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。
「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」
※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい……
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。

押し付けられた仕事は致しません。
章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。
書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。
『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

真実の愛に婚約破棄を叫ぶ王太子より更に凄い事を言い出した真実の愛の相手
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式が終わると突然王太子が婚約破棄を叫んだ。
反論する婚約者の侯爵令嬢。
そんな侯爵令嬢から王太子を守ろうと、自分が悪いと言い出す王太子の真実の愛のお相手の男爵令嬢は、さらにとんでもない事を口にする。
そこへ………
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。
◇なろうにも上げてます。

婚約破棄で落ちる者
志位斗 茂家波
ファンタジー
本日、どうやら私は婚約破棄されたようです、
王子には取りまきと、その愛するとか言う令嬢が。
けれども、本当に救いようのない方たちですね…‥‥自ら落ちてくれるとはね。
これは、婚約破棄の場を冷ややかに観察し、そしてその醜さを見た令嬢の話である。
―――――――
ちょっと息抜きに書いてみた婚約破棄物。
テンプレみたいなものですけど、ほぼヒロインも主人公も空気のような感じです。

姉妹差別の末路
京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します!
妹嫌悪。ゆるゆる設定
※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる