転生貴族可愛い弟妹連れて開墾します!~弟妹は俺が育てる!~

桜月雪兎

文字の大きさ
39 / 64
第一章

38

しおりを挟む
最後に来たのは大きな建物だ。
ここに近づいた辺りからアースたちの機嫌が悪い。
仕方無いのだが、居心地も悪い。

「空気が重い」
『何故ここに来たのだ?』
『本当です。こんな所に何の用があると言うのですか?』
『この様な所に貸しがあると言うのか?』
『まさか、手を貸したのですか?』
「…………そんなことはしてない」

そう、アースたちがここまで機嫌を悪くし、言葉に棘があるのはこの商会が悪い方で有名だからだ。
ここはザンザビール商会、奴隷や魔獣に魔物等を売買している所だ。

俺がここに貸しがあるのは事実だ。
偶然、助けた相手がここの商会長だっただけだ。

ここは大手でもあるので貸しを全部返して貰っても危なくはない。
危ないのはファルス商会のような中堅辺りのところや中途半端なところだ。

いつまでも気にしても仕方ないので進むことにした。
店の中に入ると俺は受付に向かい、許可証を見せた。
受付の者はそれを確認するとすぐに商会長を呼んだ。

「これは、これは、旦那様。いらっしゃいませ」
「ああ」
「本日は商売ですね」
「ああ。見繕って欲しい人材がいる」
「はい、勿論です。こちらへどうぞ」

俺はザンザビール商会の商会長であるザマス・ザンザビールについて応接室に通された。
こことは早目に手を切っておかないとアースたちの心証がよくない。

「では、どのような人材を?」
「建築関係に強い者が数名欲しい。あと、聞いたぞ。亜人族を手にしたそうだな」
「はい。偶然、機会に恵まれまして」
「そちらも見せて欲しい」
「了解しました」

ザマスは常に笑顔を張り付けており、本心を見抜くことができない。
鉄壁過ぎるのだ。
しかし、それがどの客に対してもなのである意味公平なのだ。

ザマスが連れてきたのは体格の良い人族の男が二人、ドワーフ族の男が三人、獣人族の男が三人、エルフ族の男女が四人だ。

俺はピクッと眉が一瞬上がった。

人族の男たちは建築関係に強いのだろう、それは希望通りだ。
わりと希望の職業に関係した者がいることは少ない。
その場合は入り次第、連絡をくれたりもする。

次に亜人であるドワーフ族は建築に限らず生産系に強い、獣人族は人族より身体能力に優れているのである意味希望通りだ。

だが、ここで問題なのはエルフ族だ。
男二人に女が二人なのだが……いや、正確には男の子が二人に女の子が二人だ。

建築どころか違法性を感じる。
これは、エルフ族に関しての頼み事だな。

貸しを返してもらおうとしてるんだが、相変わらずザマスは俺との縁を切る気がなさそうだ。
俺としては早々に切りたいのに。

「これはどういうつもりだ?」
「おや?旦那様にしては珍しいご質問ですね」
「はぁ~。ザマス、どこで手にした」
「他の奴隷商会です」
「…………つまり、このエルフの子供たちを保護しろと言うことか?お前に対しての貸しが増えるだけだぞ?」
「ええ、分かっています。ですが、こればかりは信頼できる方でないと」
「俺は慈善事業をしているわけではないのだが?」
「そちらも重々理解しているつもりです」

ザマスは俺に頭を下げた。
ザマスは胡散臭い張り付けた笑顔を消した。
つまり、本当の交渉はこれからだ。

「エルフ族の彼らは見ての通り違法奴隷です。彼らを捕まえていた奴隷商は既に捕縛、罰しました」
「そうか」
「他の奴隷たちはうちをはじめとした各奴隷商会に振り分けています。各々適正価格に変更し、既に完済された者などは訓練所に入りました」
「なるほど」

完済された借金奴隷は今後のために訓練所に入ってある程度生活できるようにしてから表に戻すことになっている。
勿論、買われて行った先なら継続雇用か、購入者が世話をすることになっている。

しかし、ここにいるエルフ族の子たちは意味が違う。

彼らは不当に連れ去られ、奴隷にされた子たちだ。
この場合は住んでいた所に返すのだが、それすら分からなかったのだろう。
もしくは一部のエルフ族にある外部に出たら帰還することが許されない掟もある。

「彼らは以前暮らしていた場所が判明しませんでした。それに森の奥にいたらしく里にはもう帰れないと言っているのです」
「両方か。なら、無理に里を探しても駄目か」
「はい、その可能性が高いでしょう。彼らに関しての書類にはターバナル大森林と書かれていました」
「その森林に住むエルフ族は排他的だ。森から出たらいかなる理由でも里に戻ることが許されていない」

最近のエルフ族は他者も受け入れているので、街中でエルフ族を見ることも多い。
あまり血が近すぎると良くないことが判明しているからだ。

まぁ、排他的な里のエルフ族でも他里のエルフを数年に何回か迎える風習もあるからその辺の問題は少ないのかもしれないが。

「分かった、彼らは保護しよう」
「よろしくお願い致します」

とりあえず、アルフェルトとアナスタシアの遊び相手にでもするか。
その後はまた考えよう。



しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

竹桜
ファンタジー
 神社のお参り帰りに異世界召喚に巻き込まれた主人公。  巻き込まれただけなのに、狂った姿を見たい為に何も無い真っ白な空間で閉じ込められる。  千年間も。  それなのに主人公は鍛錬をする。  1つのことだけを。  やがて、真っ白な空間から異世界に戻るが、その時に至っていたのだ。  これは異世界で至った男が帰還した現実世界でファンタジーに巻き込まれていく物語だ。  そして、主人公は至った力を存分に振るう。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

処理中です...