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第一章

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俺が自室に戻るとアースたちドラゴン衆が集まっていた。

「ただいま」
『お帰りなさいませ』
「クラウドが来てるが自力で起きるまで寝かしてやってくれ。かなり徹夜をしたみたいなんだ」
『了解しました』
「それで、何で集まっていたんだ?」
『なぜ、我らを喚ばなかったのですか?』
「ん?」
『喚んでくだされば、すぐにでも駆けつけ、敵を殲滅しましたのに』
『そうでなくても、スレイプニルたちが居たのです。彼らに命ぜれば……』
「無理だな」

どうやらアースたちは代表のようだ。
今回の一件で疑問があるのだろう。
無理もないな。

多分だが、クラウドもジャスティンお父様もアメリアお母様も疑問を持っているがあえて聞かなかった。
強力なペットたちでもどうにもならない事もある。

「まず、俺が戦えば良かったと言う意見もあるだろう。だが、俺が死んだ場合スレイプニルたちは弟妹と使用人たちを守ってくれるか?ずっとだ」
『『『『……………』』』』
「そう、その沈黙が答えだ。誰も助けはしない。むしろ、すぐに以前の住み処か新しい住み処を探しに行くだろう」
『…………ですね』

そう、俺と言う従魔術を使う主人がいなくなれば契約は解消される。
先にスレイプニルたちでみんなを逃がしても俺が死んでは意味がない。
あとは置き去りにされ、途方にくれるだろう。

そんな時、幼い弟妹をいつまでも主人のいなくなった使用人たちが無条件で命をはってまで守るかと言えばほぼないだろう。
そんな忠義のあつい者は我が家にはいない。
だから、俺は一緒に逃げるしかなかった。

「次にスレイプニルたちをけしかけるって話だが、これも無理だ」
『なぜだ?』
「あの子たちはほとんどが家族だ。メスと子どもを除いてみろ各種族数しかいない。あと、彼らをけしかけて俺たちの逃げるための足はどうなる?うちはあの子たちを迎えるために普通の馬を迎え入れない事が条件になっている」
『『『『あ!』』』』
「たく」

そうなのだ。
スレイプニルたちを我が家で飼うにはそれなりの条件を飲まなくてはいけなかったのだ。
その一つが普通の馬を迎え入れない事だ。
それが今回仇になった。
それ以外にもあるがここでは重要ではないので話はなしで。

「お前たちを喚ぶってことも不可能だ」
『そんなことは!』
「ある」
『『『『っ!』』』』
「距離の問題だ。俺の喚ぶ術内にいるのは魔の森の子たちだ。だが、魔の森の子たちは結界で出れない。唯一開けてある場所は俺の屋敷の数十mも上空、魔の森の子たちは飛べない子ばかりだから」
『『『『…………』』』』

何とも言えないよな。

確かに従魔を喚び寄せる術はある。
だけど、それは範囲が決まっている。
俺の従魔を喚び寄せる術の範囲は魔の森までだ。

だいたい、従魔は連れ立つのが一般的で遠くに棲んでいることは滅多にないのでそんな術はない。
あとは魔力量や魔力コントロール等の技量に左右されるが、ドラゴン衆など一匹でも現れたら災害級だと云われるのを早々近くにおくことを他の貴族・・が許すわけない。

まぁ、危険視するのはいつだって他の貴族だけなんだよな。
ジャスティンお父様やアメリアお母様は笑いながら容認してくれる。

いや、一国の王としてそれは大丈夫なのかとも思う。
だけど、さすがジャスティンお父様とアメリアお母様だ。
俺が周りの言うようにするわけないと分かっているし、ペットを増やすのをやめられないのもバレてる。
むしろ、ちゃんと管理しろよで終わらせるのだ。

器が大きいとか胆がすわっているとかのレベルではない。
本気で尊敬する。






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