16 / 64
第一章
15
しおりを挟む
「とりあえず、俺は王城に向かう。みんなにはここを守って欲しい。ここには俺の可愛い弟妹と大切な使用人たちがいる。今回の件で疲れて眠っているから起こさないようにな」
『『『『『『はい』』』』』』
うん、いい返事だ。
俺は王城にとぶ魔方陣の方に向かった。
奥の一角の扉に入るとそこは床に幾何学模様の魔方陣が設置されているだけの部屋だ。
この魔方陣に乗り、魔力を流すと決められた場所にとぶ。
この魔方陣はクラウドの部屋に繋がっている。
「……いってらっしゃいませ、主人よ」
「ラルク、すぐに戻るからあとは任せたぞ……頼りにしている」
「っ!はい!」
俺を見送りに来たラルクは不満そうな顔をしている。
俺は苦笑してラルクに後の事を任せた。
俺が頼りにしているのを知ると嬉しそうに破顔する。
顔が良いので華がある。
俺は苦笑しながら、クラウドの部屋にとんだ。
俺がクラウドの部屋にある魔方陣につくとちょうど顔を上げたクラウドと目があった。
クラウドは俺だと分かると破顔した。
クラウドの笑顔より俺は目元が気になって仕方無かった。
クラウドの目の下に隈が出来ていたのだ。
また、懲りずに何徹もしやがったな、このバカ王子は!
俺は大股でクラウドの元に向かった。
「カイト、こんな時間に会いに…」
「何徹目だ」
「え?」
「その目の下の隈。少なく見積もっても三日、四日は寝てないな」
「カ、カイト?」
「そんなに徹夜しないといけないぐらい忙しかったのか?それとも逃げ回っていたのか?」
「……逃げました」
「はぁ~~~」
「うっ」
俺がため息をつくとクラウドは怒られた子どものように身を縮めた。
俺にバレれば怒られるのが分かっている筈なのにクラウドは仕事から逃げようとする。
別に仕事が出来ないわけでも、嫌いなわけでもない。
やる意味も知っているし、誰のためになるかも分かっている。
なのにだ。
なのに、何で逃げるのか俺には分からない。
分からないがクラウドは根詰めてでも最後にはやるのだから、俺はため息しかでない。
本題を忘れるところだった。
「仕事は手伝えないが出来たら構ってやるから頑張れ」
「っ!ああ!!」
「それと、緊急事態なので国王様や王妃様に謁見を頼めないか?」
「ん?お前ならこんな時間でも快く会ってくれるだろ?」
「緊急事態だって言っただろ。それに俺個人の問題じゃない」
「分かった。すぐに取り付ける」
クラウドは俺が真剣と言うか神妙な顔をしているのに気付いて、すぐに行動してくれた。
こう、察しも良いのだ、クラウドは。
深夜の連絡にも関わらず国王様と王妃様はすぐに会ってくれることになった。
場所は二人の部屋だったが、これだって気を使ってくれたからだろう。
あの二人は良く俺たちを自身の部屋に招待する。
それが深夜でもだ。
それだけ仲が良いと証明されている。
王城の面々は俺がこんな時間にいても不思議に思わないし、微笑ましく見られる。
今回はこれがありがたい。
要らない詮索をされないからな。
『『『『『『はい』』』』』』
うん、いい返事だ。
俺は王城にとぶ魔方陣の方に向かった。
奥の一角の扉に入るとそこは床に幾何学模様の魔方陣が設置されているだけの部屋だ。
この魔方陣に乗り、魔力を流すと決められた場所にとぶ。
この魔方陣はクラウドの部屋に繋がっている。
「……いってらっしゃいませ、主人よ」
「ラルク、すぐに戻るからあとは任せたぞ……頼りにしている」
「っ!はい!」
俺を見送りに来たラルクは不満そうな顔をしている。
俺は苦笑してラルクに後の事を任せた。
俺が頼りにしているのを知ると嬉しそうに破顔する。
顔が良いので華がある。
俺は苦笑しながら、クラウドの部屋にとんだ。
俺がクラウドの部屋にある魔方陣につくとちょうど顔を上げたクラウドと目があった。
クラウドは俺だと分かると破顔した。
クラウドの笑顔より俺は目元が気になって仕方無かった。
クラウドの目の下に隈が出来ていたのだ。
また、懲りずに何徹もしやがったな、このバカ王子は!
俺は大股でクラウドの元に向かった。
「カイト、こんな時間に会いに…」
「何徹目だ」
「え?」
「その目の下の隈。少なく見積もっても三日、四日は寝てないな」
「カ、カイト?」
「そんなに徹夜しないといけないぐらい忙しかったのか?それとも逃げ回っていたのか?」
「……逃げました」
「はぁ~~~」
「うっ」
俺がため息をつくとクラウドは怒られた子どものように身を縮めた。
俺にバレれば怒られるのが分かっている筈なのにクラウドは仕事から逃げようとする。
別に仕事が出来ないわけでも、嫌いなわけでもない。
やる意味も知っているし、誰のためになるかも分かっている。
なのにだ。
なのに、何で逃げるのか俺には分からない。
分からないがクラウドは根詰めてでも最後にはやるのだから、俺はため息しかでない。
本題を忘れるところだった。
「仕事は手伝えないが出来たら構ってやるから頑張れ」
「っ!ああ!!」
「それと、緊急事態なので国王様や王妃様に謁見を頼めないか?」
「ん?お前ならこんな時間でも快く会ってくれるだろ?」
「緊急事態だって言っただろ。それに俺個人の問題じゃない」
「分かった。すぐに取り付ける」
クラウドは俺が真剣と言うか神妙な顔をしているのに気付いて、すぐに行動してくれた。
こう、察しも良いのだ、クラウドは。
深夜の連絡にも関わらず国王様と王妃様はすぐに会ってくれることになった。
場所は二人の部屋だったが、これだって気を使ってくれたからだろう。
あの二人は良く俺たちを自身の部屋に招待する。
それが深夜でもだ。
それだけ仲が良いと証明されている。
王城の面々は俺がこんな時間にいても不思議に思わないし、微笑ましく見られる。
今回はこれがありがたい。
要らない詮索をされないからな。
43
お気に入りに追加
4,687
あなたにおすすめの小説
ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました
竹桜
ファンタジー
いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。
だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。
そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。
これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる