3 / 5
3
しおりを挟む
アルティドール公爵たちが帰宅するとそこには使用人たちが並んでお出迎えをした。
しかし、その中にリリィシアの姿はなかった。
それも当然でリリィシアは人前に出ることすら許されていない。
常に人目に触れないように言いつけられていた。
誰もリリィシアの事を気にしない。
使用人たちがリリィシアの姿を見つければ仕事を押し付けられる。
しかし、アルティドール公爵は先程のパーティーで思い出したリリィシアの状態を確認しなければならなかった。
「お帰りなさいませ」
「ハンス、あれはどうしている?」
「あれでございますか?今は仕事を申し付けていますので」
「すぐに呼べ!」
「は、はい?いったい?」
「いいからすぐに呼び、連れてこい!いや、雑に扱うな。そして、屋敷の者を全員呼ぶのだ。私たちは大広間にいる」
「わ、わかりました」
執事であるハンスは公爵の慌てぶりに何かただ事でなはいものを感じ、すぐに行動を開始した。
他の侍女や従僕たちに他の者たちを大広間に集めさせた。
主人である公爵がリリィシアを雑に扱うなと言うため、ハンス自らリリィシアを呼びに向かった。
リリィシアは公爵たちが帰ってきたら湯殿に入るために湯を沸かしていた。
その後には皿洗い、明日の朝食の下準備、使い終わった湯殿の掃除が控えている。
それでも主人に呼ばれれば向かわなければならはい。
ハンスが向かうとリリィシアは風呂炊きの真っ最中だった。
「おい!」
「…(・_・?)」
「ご当主様のお呼びだ、すぐに来い」
「………(゜-゜)(。_。)」
リリィシアは頷いた。
しかし、風呂の火は消すわけにいかないので、リリィシアは目の前の鉄の扉を閉めた。
それだけでは火は消えず、薪へ燃えるのでそれで大丈夫だ。
リリィシアがハンスの方に向き直ったのを確認するとハンスは背を向けて歩き始めた。
それだけでリリィシアはあとをついていく。
大広間につくと全員がその場にいた。
ハンスの後ろをついてくるリリィシアを確認すると睨み付ける者もいた。
リリィシアはこのような集まりには呼ばれない上に誰よりも遅く来たのだ。
いくらハンスに連れられているとは言え、周りの者は気に食わなかった。
ハンス自身も主人の命令でなければ連れ立ちたくない。
しかし、誰よりもリリィシアがこの状況を理解できないでいた。
何よりリリィシアは関わりたくなかった。
この場で過ごすだけ時間が取られ、あとの仕事が長引いてしまう。
明日も夜も開けきらない時間から仕事が山積みなのだ。
正直に言えば、こんな集まりに参加せずに仕事を終わらせたかった。
そして、リリィシアははじめてまともにアルティドール公爵・夫人・妹と対面した。
==========================
R3.2.13
一部修正しました。
しかし、その中にリリィシアの姿はなかった。
それも当然でリリィシアは人前に出ることすら許されていない。
常に人目に触れないように言いつけられていた。
誰もリリィシアの事を気にしない。
使用人たちがリリィシアの姿を見つければ仕事を押し付けられる。
しかし、アルティドール公爵は先程のパーティーで思い出したリリィシアの状態を確認しなければならなかった。
「お帰りなさいませ」
「ハンス、あれはどうしている?」
「あれでございますか?今は仕事を申し付けていますので」
「すぐに呼べ!」
「は、はい?いったい?」
「いいからすぐに呼び、連れてこい!いや、雑に扱うな。そして、屋敷の者を全員呼ぶのだ。私たちは大広間にいる」
「わ、わかりました」
執事であるハンスは公爵の慌てぶりに何かただ事でなはいものを感じ、すぐに行動を開始した。
他の侍女や従僕たちに他の者たちを大広間に集めさせた。
主人である公爵がリリィシアを雑に扱うなと言うため、ハンス自らリリィシアを呼びに向かった。
リリィシアは公爵たちが帰ってきたら湯殿に入るために湯を沸かしていた。
その後には皿洗い、明日の朝食の下準備、使い終わった湯殿の掃除が控えている。
それでも主人に呼ばれれば向かわなければならはい。
ハンスが向かうとリリィシアは風呂炊きの真っ最中だった。
「おい!」
「…(・_・?)」
「ご当主様のお呼びだ、すぐに来い」
「………(゜-゜)(。_。)」
リリィシアは頷いた。
しかし、風呂の火は消すわけにいかないので、リリィシアは目の前の鉄の扉を閉めた。
それだけでは火は消えず、薪へ燃えるのでそれで大丈夫だ。
リリィシアがハンスの方に向き直ったのを確認するとハンスは背を向けて歩き始めた。
それだけでリリィシアはあとをついていく。
大広間につくと全員がその場にいた。
ハンスの後ろをついてくるリリィシアを確認すると睨み付ける者もいた。
リリィシアはこのような集まりには呼ばれない上に誰よりも遅く来たのだ。
いくらハンスに連れられているとは言え、周りの者は気に食わなかった。
ハンス自身も主人の命令でなければ連れ立ちたくない。
しかし、誰よりもリリィシアがこの状況を理解できないでいた。
何よりリリィシアは関わりたくなかった。
この場で過ごすだけ時間が取られ、あとの仕事が長引いてしまう。
明日も夜も開けきらない時間から仕事が山積みなのだ。
正直に言えば、こんな集まりに参加せずに仕事を終わらせたかった。
そして、リリィシアははじめてまともにアルティドール公爵・夫人・妹と対面した。
==========================
R3.2.13
一部修正しました。
0
お気に入りに追加
2,215
あなたにおすすめの小説
こんにちは、女嫌いの旦那様!……あれ?
夕立悠理
恋愛
リミカ・ブラウンは前世の記憶があること以外は、いたって普通の伯爵令嬢だ。そんな彼女はある日、超がつくほど女嫌いで有名なチェスター・ロペス公爵と結婚することになる。
しかし、女嫌いのはずのチェスターはリミカのことを溺愛し──!?
※小説家になろう様にも掲載しています
※主人公が肉食系かも?
ヤンデレお兄様から、逃げられません!
夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。
エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。
それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?
ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹
もうすぐ、お別れの時間です
夕立悠理
恋愛
──期限つきの恋だった。そんなの、わかってた、はずだったのに。
親友の代わりに、王太子の婚約者となった、レオーネ。けれど、親友の病は治り、婚約は解消される。その翌日、なぜか目覚めると、王太子が親友を見初めるパーティーの日まで、時間が巻き戻っていた。けれど、そのパーティーで、親友ではなくレオーネが見初められ──。王太子のことを信じたいけれど、信じられない。そんな想いにゆれるレオーネにずっと幼なじみだと思っていたアルロが告白し──!?
悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話
束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。
クライヴには想い人がいるという噂があった。
それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。
晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる