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アルティドール公爵たちが帰宅するとそこには使用人たちが並んでお出迎えをした。 
しかし、その中にリリィシアの姿はなかった。

それも当然でリリィシアは人前に出ることすら許されていない。
常に人目に触れないように言いつけられていた。
誰もリリィシアの事を気にしない。
使用人たちがリリィシアの姿を見つければ仕事を押し付けられる。

しかし、アルティドール公爵は先程のパーティーで思い出したリリィシアの状態を確認しなければならなかった。

「お帰りなさいませ」
「ハンス、あれはどうしている?」
「あれでございますか?今は仕事を申し付けていますので」
「すぐに呼べ!」
「は、はい?いったい?」
「いいからすぐに呼び、連れてこい!いや、雑に扱うな。そして、屋敷の者を全員呼ぶのだ。私たちは大広間にいる」
「わ、わかりました」

執事であるハンスは公爵の慌てぶりに何かただ事でなはいものを感じ、すぐに行動を開始した。
他の侍女や従僕たちに他の者たちを大広間に集めさせた。

主人である公爵がリリィシアを雑に扱うなと言うため、ハンス自らリリィシアを呼びに向かった。

リリィシアは公爵たちが帰ってきたら湯殿に入るために湯を沸かしていた。
その後には皿洗い、明日の朝食の下準備、使い終わった湯殿の掃除が控えている。
それでも主人に呼ばれれば向かわなければならはい。

ハンスが向かうとリリィシアは風呂炊きの真っ最中だった。

「おい!」
「…(・_・?)」
「ご当主様のお呼びだ、すぐに来い」
「………(゜-゜)(。_。)」

リリィシアは頷いた。
しかし、風呂の火は消すわけにいかないので、リリィシアは目の前の鉄の扉を閉めた。
それだけでは火は消えず、薪へ燃えるのでそれで大丈夫だ。
リリィシアがハンスの方に向き直ったのを確認するとハンスは背を向けて歩き始めた。
それだけでリリィシアはあとをついていく。

大広間につくと全員がその場にいた。

ハンスの後ろをついてくるリリィシアを確認すると睨み付ける者もいた。
リリィシアはこのような集まりには呼ばれない上に誰よりも遅く来たのだ。

いくらハンスに連れられているとは言え、周りの者は気に食わなかった。
ハンス自身も主人の命令でなければ連れ立ちたくない。

しかし、誰よりもリリィシアがこの状況を理解できないでいた。
何よりリリィシアは関わりたくなかった。
この場で過ごすだけ時間が取られ、あとの仕事が長引いてしまう。

明日も夜も開けきらない時間から仕事が山積みなのだ。
正直に言えば、こんな集まりに参加せずに仕事を終わらせたかった。

そして、リリィシアははじめて・・・・まともにアルティドール公爵・夫人・妹と対面した。




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R3.2.13

一部修正しました。

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