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第二章

6、契約魔獣④

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「いやぁ~、まさか全員から認められるとは思いませんでしたよ」
「あはは、この場合どうすれば?」
「彼ら自身が恨みっこなしで好きに選べって言っているからその通りでいいですよ。一応、契約書一枚につき3匹まで契約可能です」
 ヴァルビーノさんはいい笑顔に変わった。
 え?3匹まで可能なの?どうしよう、悩むわぁ~。
 俺はエドの方を見るとエドもちょっと困ったような、それ以上に期待しているような顔をしている。
 何?もしかして3匹選ぶ気?
 あれ?ユキもわくわくしている。ちょっと、色々考えないといけない問題もあるでしょ?
 もしかして、それは俺が担当するの?
 金銭的な問題は……うん、大丈夫だろうな。契約は3匹まで、どう選ぼう。
 俺が一人、そんなことを考えているとアキラさんからとんでもない提案が来た。
「いっそ、5匹とも連れて行けばどうですか?」
「「え?!」」
「それもいいんじゃないか?こんな機会めったにあるもんじゃないぞ」
「それはそうでしょうけど……」
「契約書をもう1枚書いて、それはマコトさんが主所有にすればいいんですよ」
「そうですね。そうすれば1匹だけが引くわけではないので何かあった時交代できますしね」
「ああ」
「そうですね」
「え、ええ~~」
 アキラさんとリュウイチさんとヴァルビーノさんの3人が話を進めている。
 ちょっと、ちょっと待って。色々待って。
 ユキもエドも期待するような瞳で見ないで。
 魔獣の5匹もいい案だっていうように頷きながら、期待した瞳で見ないで。
 すでに決定権は俺になっているけど、それはわかっているけど、考えて魔獣を1匹契約するのにどれだけのお金がかかるか分かって。
 魔獣にもランクがあって、それはE~Sまである。
 ユキも魔獣ランクで言うとAランクに値する。魔獣ランクは種としてのランクなので幼体でも成体でも変動はしない。実は今までユキのステータスに反映されていなかった。いや、反映されていなかったわけではなくユキの種族である『天狼』を見ていなかったからだ。
 ユキはユキだからと種族を調べなかった俺が悪いんだけど。
 話がそれた。
 つまり、ここにいる5匹は魔獣ランクA以上の上位種族になるのだ。
 ちなみにユニコーン族はSランク、火竜族はSランク、エンペストホーク族はAランク、ブラッディレオ族はAランク、シルバーウルフ族はAランクになる。
 そして契約は下位・中位・上位で値段が変わる。下位は1匹60000Mミール、中位は1匹100000Mミール、上位は140000Mミールになる。
 何が言いたいかと言うと上位種族を5匹も契約すると700000Mミール、つまり金貨7枚になる。
 普通の生活を送っていれば金貨を見ることはほとんどない。頑張っても銀貨を数枚見るぐらいだ。
 まぁ、冒険者であればクエストや売却アイテムによっては金貨も見ることもあるけど。だから、中位以上で金貨になるらしい。
 俺の最初の所持金もたいがいだけど、これが半分もなくなるんだよなぁ、怖い。
 俺一人が考え込んでいるのを見てアキラさんが首を傾げた。
「マコトさん、何か問題でもありますか?」
「いや、所持金との相談中です」
「あ、ああ。そうだな。上位種との契約はそれなりの金額になるもんな」
「後は馬車の為の購入金額を残しておきたいから」
「え?僕も出すよ?!だって、僕たちの仲間になるんだから」
「あ、うん」
「……僕が出さないと思ったの?」
「いや、エドの所持金が分からないから悩んでた。馬車もいるし、旅に出る、と言うより拠点に必要なものもあるし」
「拠点?」
「また何か作るんですか?」
「そのつもりです」
 うん、そうなんだよ。結成記念と言うかチームメイトを表す物も作りたいし、馬車に空間魔法を効かせて家のようにしたいし、そのために必要なものもあるので出費が気になるんだ。
 まぁ、俺としても5匹全員一緒にいてもらいたいんだけどな、頼りになりそうだし。
「僕はこれでもマコトより長く冒険者をしているんだよ。それなりに蓄えているよ。使う当てもないから貯金に回しているし」
「そうですね。エドワードさんのギルドの貯蓄金結構いってますので問題はないと思いますよ」
「え?ギルドで貯蓄できるの?」
「できますよ。マコトさんもしますか?冒険者欄に記入されるので、どこのギルドでも入出可能です」
「後でします」
 うん、なくす心配がないのは嬉しい。
 と言うことは5匹全員との契約可能と言うことか。
 なら、いいかな。みんなでワイワイと楽しみながらの冒険もいいだろうな。その方がエドの自信をつけるのにちょうどいいかも。

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