64 / 105
第二章
3、契約魔獣①
しおりを挟む
「まぁ、その大バカたちは俺が報復するってことで。アキラさん」
「はい?」
「契約魔獣の話」
「あ!そうでしたね。すみません。書類を持ってきます。あとさっきの話も含めてギルマスに話を通しておきますね」
「はい」
「あと、契約魔獣に関してはギルド保証以外にも保証人が必要なのですが」
「俺が分かるのはリュウイチさんやビリーさんにクライスさんだけです」
「ガーディアンズのメンバーなら保証人としての信用もあるのでリュウイチさんに頼みましょう」
「お願いします」
「では、しばらく待っていてください」
そう言ってアキラさんは出て行った。
するとエドがアキラさんが出ていた時に切れた『遮音結界』を起動させて、俺に迫ってきた。
なんだ?
「な、なんで危ないことを!」
「エド?」
「相手はBランク冒険者たちだよ!いくらマコトが強くても危ないじゃないか!!」
「おい」
「僕なんかのために危ない橋わたる必要なんてないんだよ!」
「エド、なんかじゃない」
「え?」
俺の両肩を掴んで涙目で訴えてくるエドは正直綺麗だわ。でも、これは譲れない。エドは今までのことから自分が我慢すればすむと思っているし、自分自身を軽視・卑下している。そういうのはもう終わりなんだ。だって、俺とチームを組んだんだから。
「俺のチームメイトはなんかじゃない」
「マコト」
「エドはいい子だ。周りのために我慢できる。でもな、それと自分を卑下するのは違う」
「…………」
「もう、辛い思いを我慢する必要はないんだ。俺やユキがいるんだから」
「う、うわぁぁぁぁぁ!!」
うん、エドは思いっきり抱きつき、泣いている。
俺はそんなエドを抱きしめ返し、頭を撫ぜた。ユキも寄り添っている。
それでいいんだ。辛い思いを抱えるのはもう終わりなんだ。
エドが泣き疲れて眠ってしまったあたりで、アキラさんとグランツさんとリュウイチさんが入ってきた。
三人とも俺たちの状態を見て驚いている。
それはそうだろうな。なにせ、俺の腕の中で目元を紅くしたエドが眠っているし、ユキは俺とエドの間で丸くなって眠っている。
これを見て驚かない人を俺は知りたい。唯一起きている俺は苦笑しか出ない。
「何が?」
「あ、ああ。泣き疲れです。溜めていたものが溢れたようで」
「そうですね。では、一通りの説明だけしていきますね」
「ああ、そのまま寝かせてやったらいいと思う」
「はい」
三人とも優しい目をしている。
エド、分かるか?これだけ思ってくれている人がいるんだぞ。だから、お前はもっと自由でいいんだ。
エドとユキが眠っているので声は抑えての説明になった。
「こちらが契約魔獣購入の保証書です。ここにチームリーダーのマコトさんの名前を書いてください。そして、主な所有者の名前をここに。ギルマスとギルド職員の保証者名は既に記入しています。あとはここに同職で第三者の保証者名を書いてください」
「おう」
リュウイチさんが名前をすぐに書いてくれた。これで俺たち以外の名前が書かれた保証書の出来上がりだ。
俺が書けないので記入は保留で説明になった。
「今連絡しているのでギルドの裏側に正規の販売員がきます。そこで見てもらいますが、相手は魔獣ですのでお互いの相性もあります」
「はい」
「どのような相手を望むにしても魔獣は貴重な隣人です。そこを忘れないでください」
「はい」
「尊厳・保障なども国で認めれていることを覚えておいてください。また、魔獣の種類によっては戦闘ができない種もいます。その場合はしっかりと守ってください。怪我や病気は魔獣医師という医師もいますが、人間と同じでポーションなどでも回復はできます。食事は人と同じで大丈夫ですが好みがあるので聞いてあげてください」
「好みなんですね」
「はい。毒になるようなものは基本的にありません。動物と違いますので」
「あと言うと、種によっては擬人化できる者もいるぞ」
「すごいですね」
魔獣が隣人と言われるほどに尊重されているのは魔力を所有し、人と対話でき、知識深いかららしい。
だからこそ、相手にも気に入られないと契約はできない、お互いの了承のもとの契約になるのだ。
できれば戦闘もできる種がいいなぁ。そういう種は馬車も引いてくれるんだろうか?
「はい?」
「契約魔獣の話」
「あ!そうでしたね。すみません。書類を持ってきます。あとさっきの話も含めてギルマスに話を通しておきますね」
「はい」
「あと、契約魔獣に関してはギルド保証以外にも保証人が必要なのですが」
「俺が分かるのはリュウイチさんやビリーさんにクライスさんだけです」
「ガーディアンズのメンバーなら保証人としての信用もあるのでリュウイチさんに頼みましょう」
「お願いします」
「では、しばらく待っていてください」
そう言ってアキラさんは出て行った。
するとエドがアキラさんが出ていた時に切れた『遮音結界』を起動させて、俺に迫ってきた。
なんだ?
「な、なんで危ないことを!」
「エド?」
「相手はBランク冒険者たちだよ!いくらマコトが強くても危ないじゃないか!!」
「おい」
「僕なんかのために危ない橋わたる必要なんてないんだよ!」
「エド、なんかじゃない」
「え?」
俺の両肩を掴んで涙目で訴えてくるエドは正直綺麗だわ。でも、これは譲れない。エドは今までのことから自分が我慢すればすむと思っているし、自分自身を軽視・卑下している。そういうのはもう終わりなんだ。だって、俺とチームを組んだんだから。
「俺のチームメイトはなんかじゃない」
「マコト」
「エドはいい子だ。周りのために我慢できる。でもな、それと自分を卑下するのは違う」
「…………」
「もう、辛い思いを我慢する必要はないんだ。俺やユキがいるんだから」
「う、うわぁぁぁぁぁ!!」
うん、エドは思いっきり抱きつき、泣いている。
俺はそんなエドを抱きしめ返し、頭を撫ぜた。ユキも寄り添っている。
それでいいんだ。辛い思いを抱えるのはもう終わりなんだ。
エドが泣き疲れて眠ってしまったあたりで、アキラさんとグランツさんとリュウイチさんが入ってきた。
三人とも俺たちの状態を見て驚いている。
それはそうだろうな。なにせ、俺の腕の中で目元を紅くしたエドが眠っているし、ユキは俺とエドの間で丸くなって眠っている。
これを見て驚かない人を俺は知りたい。唯一起きている俺は苦笑しか出ない。
「何が?」
「あ、ああ。泣き疲れです。溜めていたものが溢れたようで」
「そうですね。では、一通りの説明だけしていきますね」
「ああ、そのまま寝かせてやったらいいと思う」
「はい」
三人とも優しい目をしている。
エド、分かるか?これだけ思ってくれている人がいるんだぞ。だから、お前はもっと自由でいいんだ。
エドとユキが眠っているので声は抑えての説明になった。
「こちらが契約魔獣購入の保証書です。ここにチームリーダーのマコトさんの名前を書いてください。そして、主な所有者の名前をここに。ギルマスとギルド職員の保証者名は既に記入しています。あとはここに同職で第三者の保証者名を書いてください」
「おう」
リュウイチさんが名前をすぐに書いてくれた。これで俺たち以外の名前が書かれた保証書の出来上がりだ。
俺が書けないので記入は保留で説明になった。
「今連絡しているのでギルドの裏側に正規の販売員がきます。そこで見てもらいますが、相手は魔獣ですのでお互いの相性もあります」
「はい」
「どのような相手を望むにしても魔獣は貴重な隣人です。そこを忘れないでください」
「はい」
「尊厳・保障なども国で認めれていることを覚えておいてください。また、魔獣の種類によっては戦闘ができない種もいます。その場合はしっかりと守ってください。怪我や病気は魔獣医師という医師もいますが、人間と同じでポーションなどでも回復はできます。食事は人と同じで大丈夫ですが好みがあるので聞いてあげてください」
「好みなんですね」
「はい。毒になるようなものは基本的にありません。動物と違いますので」
「あと言うと、種によっては擬人化できる者もいるぞ」
「すごいですね」
魔獣が隣人と言われるほどに尊重されているのは魔力を所有し、人と対話でき、知識深いかららしい。
だからこそ、相手にも気に入られないと契約はできない、お互いの了承のもとの契約になるのだ。
できれば戦闘もできる種がいいなぁ。そういう種は馬車も引いてくれるんだろうか?
11
お気に入りに追加
1,344
あなたにおすすめの小説

スキル『箱庭』で国造り~母国を追放されまして~
桜月雪兎
ファンタジー
グラディス王国第2王子として産まれたルーカス・グラディスが13歳で受けた成人の儀式で判明したのはスキル『箱庭』と言うものだった。
しかしスキルは発動せず、役立たずのレッテルを張られたルーカスはどこの国も見捨てた枯れた土地に追放され……そうになったが、ある出来事により、自ら進んでその土地に向かった。
ルーカスはその土地に着くとスキルが発動した。
ルーカスはその土地に国を作ることにした。
これはルーカスの国造りの話。


夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
異世界じゃスローライフはままならない~聖獣の主人は島育ち~
夏柿シン
ファンタジー
新作≪最弱な彼らに祝福を〜不遇職で導く精霊のリヴァイバル〜≫がwebにて連載開始
【小説第1〜5巻/コミックス第3巻発売中】
海外よりも遠いと言われる日本の小さな離島。
そんな島で愛犬と静かに暮らしていた青年は事故で命を落としてしまう。
死後に彼の前に現れた神様はこう告げた。
「ごめん! 手違いで地球に生まれちゃってた!」
彼は元々異世界で輪廻する魂だった。
異世界でもスローライフ満喫予定の彼の元に現れたのは聖獣になった愛犬。
彼の規格外の力を世界はほっといてくれなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる