転移先で頑張ります!~人違いで送られたんですけど?!~

桜月雪兎

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第二章

3、契約魔獣①

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「まぁ、その大バカたちは俺が報復するってことで。アキラさん」
「はい?」
「契約魔獣の話」
「あ!そうでしたね。すみません。書類を持ってきます。あとさっきの話も含めてギルマスに話を通しておきますね」
「はい」
「あと、契約魔獣に関してはギルド保証以外にも保証人が必要なのですが」
「俺が分かるのはリュウイチさんやビリーさんにクライスさんだけです」
「ガーディアンズのメンバーなら保証人としての信用もあるのでリュウイチさんに頼みましょう」
「お願いします」
「では、しばらく待っていてください」
 そう言ってアキラさんは出て行った。
 するとエドがアキラさんが出ていた時に切れた『遮音サイレント結界シールド』を起動させて、俺に迫ってきた。
 なんだ?
「な、なんで危ないことを!」
「エド?」
「相手はBランク冒険者たちだよ!いくらマコトが強くても危ないじゃないか!!」
「おい」
「僕なんかのために危ない橋わたる必要なんてないんだよ!」
「エド、なんかじゃない」
「え?」
 俺の両肩を掴んで涙目で訴えてくるエドは正直綺麗だわ。でも、これは譲れない。エドは今までのことから自分が我慢すればすむと思っているし、自分自身を軽視・卑下している。そういうのはもう終わりなんだ。だって、俺とチームを組んだんだから。
「俺のチームメイトはなんかじゃない」
「マコト」
「エドはいい子だ。周りのために我慢できる。でもな、それと自分を卑下するのは違う」
「…………」
「もう、辛い思いを我慢する必要はないんだ。俺やユキがいるんだから」
「う、うわぁぁぁぁぁ!!」
 うん、エドは思いっきり抱きつき、泣いている。
 俺はそんなエドを抱きしめ返し、頭を撫ぜた。ユキも寄り添っている。
 それでいいんだ。辛い思いを抱えるのはもう終わりなんだ。
 エドが泣き疲れて眠ってしまったあたりで、アキラさんとグランツさんとリュウイチさんが入ってきた。
 三人とも俺たちの状態を見て驚いている。
 それはそうだろうな。なにせ、俺の腕の中で目元を紅くしたエドが眠っているし、ユキは俺とエドの間で丸くなって眠っている。
 これを見て驚かない人を俺は知りたい。唯一起きている俺は苦笑しか出ない。
「何が?」
「あ、ああ。泣き疲れです。溜めていたものが溢れたようで」
「そうですね。では、一通りの説明だけしていきますね」
「ああ、そのまま寝かせてやったらいいと思う」
「はい」
 三人とも優しい目をしている。
 エド、分かるか?これだけ思ってくれている人がいるんだぞ。だから、お前はもっと自由でいいんだ。
 エドとユキが眠っているので声は抑えての説明になった。
「こちらが契約魔獣購入の保証書です。ここにチームリーダーのマコトさんの名前を書いてください。そして、主な所有者の名前をここに。ギルマスとギルド職員の保証者名は既に記入しています。あとはここに同職で第三者の保証者名を書いてください」
「おう」
 リュウイチさんが名前をすぐに書いてくれた。これで俺たち以外の名前が書かれた保証書の出来上がりだ。
 俺が書けないので記入は保留で説明になった。
「今連絡しているのでギルドの裏側に正規の販売員がきます。そこで見てもらいますが、相手は魔獣ですのでお互いの相性もあります」
「はい」
「どのような相手を望むにしても魔獣は貴重な隣人です。そこを忘れないでください」
「はい」
「尊厳・保障なども国で認めれていることを覚えておいてください。また、魔獣の種類によっては戦闘ができない種もいます。その場合はしっかりと守ってください。怪我や病気は魔獣医師という医師もいますが、人間と同じでポーションなどでも回復はできます。食事は人と同じで大丈夫ですが好みがあるので聞いてあげてください」
「好みなんですね」
「はい。毒になるようなものは基本的にありません。動物と違いますので」
「あと言うと、種によっては擬人化できる者もいるぞ」
「すごいですね」
 魔獣が隣人と言われるほどに尊重されているのは魔力を所有し、人と対話でき、知識深いかららしい。
 だからこそ、相手にも気に入られないと契約はできない、お互いの了承のもとの契約になるのだ。
 できれば戦闘もできる種がいいなぁ。そういう種は馬車も引いてくれるんだろうか?
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