転移先で頑張ります!~人違いで送られたんですけど?!~

桜月雪兎

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第一章

55、チーム結成⑦

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 一通りの記入欄は記入していまだにグランツさんの足を踏んづけているアキラさんにその書類を渡した。もちろん、何が起こっているのか気づかないふりをして。
 アキラさんはそれに目を通していった。
「ふむふむ……これでいいですね。備考欄にマコトさんのスキルのこと記入しておきますね」
「は~~い」
「そう言えば、『魔法マジック創作師クリエーター』のスキルを持っているんだよね?」
「ああ、チーム結成記念で何か作ろうと思うんだが何かタブーはあるのか?」
「うう~ん、特にないかなぁ。あ、でも、耳に何かつけるのはちょっと」
「ん?何かあるのか?」
 特にタブーはないが耳に何かつけるのは嫌がるようだ。
 つい反射で聞き返してしまった。
 だが、エドは嫌な顔せず、むしろ申し訳なさそうに教えてくれた。
「エルフやハイエルフは耳に何かを付けることを嫌うんだ。僕のかあさんがエルフ族でね、そういうのはやっぱり嫌がるから」
「分かった。ブレスレットとかブローチとかペンダントとかは大丈夫か?」
「そういうのなら大丈夫」
「分かった」
 そういうことなら何にしようかなぁ。
 お互いに剣を使うから指先に入るのはダメだ。手元が狂ってしまう可能性がある。ブローチやペンダントはどうだろう。何気に胸元に付けるものは分かりやすくていい。
 あとで要相談だな。
「では二人とも指輪をここに置いてください」
「「はい」」
 アキラさんは持ってきていた魔法盤に俺たちの指輪を置くように言った。
 俺たちはアキラさんの言葉に従って指輪を置くとアキラさんがいつものようにキーボードで作業を始めた。
 そこには書類に書いたことを入力していっている。
 しばらく、立つとアキラさんから指輪が返ってきた。
 俺はすぐにステータス画面を開いた。

【名前】 マコト・モモセ
【年齢】 28歳
【種族】 ヒューマン族
等級ランク】 E
【称号】 天狼の加護を受けし者、仔天狼の保護者、冒険者登録チーム『ブルーローズ』チームリーダー
【所属】 ギルド・グルーア

受注クエスト 0/5件 クエスト詳細
達成クエスト 53/53件
未達成クエスト 0/0件

 あ、称号にチームリーダーって書いてある。
 ついでに言うと『ブルーローズ』という枠が増えていた。
 そこを押すと現在のチーム名などが書かれていた。

【リーダー】 マコト・モモセ ランクE(パートナー:天狼のユキ)
【メンバー】 エドワード・グレイス ランクA

 うん、今はこれだけだ。
 ついでに名前を押すことも出来るようだ。
 ためしにエドの名前を押した。

【名前】 エドワード・グレイス
【年齢】 24歳
【種族】 ハーフエルフ族
等級ランク】 A
【称号】 氷炎の剣士、冒険者登録チーム『ブルーローズ』チームメンバー
【所属】 ギルド・グルーア

 あれ?称号はこれだけ?それより『氷炎の剣士』ってなに?
 俺がエドの方を向くとこっちを見ていた。
 うん、俺の手元の自分のデータを見てしまったようで顔が赤い。これは羞恥の赤さだ。
「あ、いや、僕の使える魔法がその~~」
「氷と炎なので周りから付けられたんですよ。本人の意志ではありませんよ」
 アキラさんが付け足してくれた。
 まぁ、自分からそう名乗る者は少ないだろうな。
「これでチーム結成はできました」
「ありがとうございます」
「ありがとう、ござい、ます」
 あ、エドが今になってグランツさんの状況に気付いて戸惑っている。実はずっとアキラさんはグランツさんの足を踏んでいる。
 でも、そろそろやめないとグランツさんの足が……なんて実は気にしていない。俺は実はそこまで優しくはない。仲間や家族には甘い自覚はあるが今回はグランツさんが悪いと思うし、俺はアキラさんの方に好感を持っているので何も言わなかった。反省して欲しいし。
 だけど、エドが戸惑っているんなら話は別。
「アキラさん、エドが戸惑っているのでもうやめてください」
「そうですね」
「っっ!マコトよぉ~、気付いていたんなら早く止めさせてくれ」
「いえ、今回は反省が必要かと」
「そういうことですよ」
 味方がいないと分かったグランツさんは拗ねた顔をした。
 いや、あんたがしても可愛くないからやめてくれ。
 この場でそれが似合うのはアキラさんとエドだから。
 おっさんのそれは見たくない。
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