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第一章

49、チーム結成①

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 俺がやらかした事とはいえ、一人で考えていても何もいい考えが出なかった。仕方ないのでアキラさんやキルトさん、リュウイチさんたちの知恵を借りることにした。本当は一人でやらないといけないんだろうけど、先輩の知恵を借りよう。
「どうしようか?」
「さっきもアキラさんが言ったがチームに入ることだな」
「他にはチームを作ることだな」
「え?チームを?」
「そうですね。でも、マコトさんが信頼できる人でできればAランク冒険者がいいですね」
「は、はぁ~~」
 俺にはどうにもピンと来なかった。
 今まで街の人とは仲良くしてきたが、どうも他の冒険者との接触がなくて信頼できる存在っていないんだよなぁ。ましてや今の俺以上のランクの冒険者なんてどうやって出会えっていうんだ。
 今初めてリュウイチさんたちと知り合えたのに。
「その様子だと知り合いはいないようですね」
「今初めて、リュウイチさんたちと知り合えたぐらいですよ。どうも他の冒険者とは関わりがなくて」
「それはそうだろうな」
「なんじゃ?」
「マコトはランクは低いが冒険者としての腕はみんなが認めている」
「だから、周りは遠目に見ているんだよ。近寄りたいけど、きっかけが見つからないってな」
「遠巻きにされていたのか」
「そ、それはぁ~~」
「最悪、可能性があるとしたらもう一人ソロでやっているAランク冒険者だな」
「ああ」
「あやつか」
「誰?」
 全員が納得顔をしているが俺には分からなかった。
 いったい誰だよ。
 そう思っているとクライスさんが苦笑しながら教えてくれた。
「今は長期任務で外に出ている冒険者がいるんだよ。Aランク冒険者でな」
「長期任務?」
「はい、護衛任務でして、向こうが無理に指名してきたんです」
「無理に?」
「ああ、所属がここなのに王都の方からの依頼で」
「こっちが断ってもしつこく言ってくるので、彼自身が私たちに申し訳ないって行ってくれたんです」
「そういえば、もうすぐ帰ってくるんですよね」
「ええ」
 どうやら周りから信頼が厚いようだ。それに王都から無理矢理でも指名が入るほどらしいので腕の方も確かなのだろう。いや、それ以前にAランク冒険者であるのだから腕の方は疑う必要はないんだろうな。
 でも、問題がいくつかある。
 まず一つは俺たちをどう思うかだ。ユキにしかり、俺にしかり、会わなければ意味がない。別に守ってほしいわけでもないので、どうせチームを組むなら対等な関係が望ましい。
 その次にチームとしての考えだ。実際、俺はのんびりマイペースにやりたいんだ。それに合わせてくれるんならいいんだが。
 こういうと俺が合わせないのかっていう問題になりそうだが、ある程度はお互いに譲り合いってことでその兼ね合いな。もちろん、俺だっていい大人なんだから合わせるよ。
 あとは大前提で向こうもソロでしているんだからチームを組みたいかってことだよな。
 俺のことがあるからチームを無理に組むっていうのはちょっと、いや、だいぶ違うからそういうのは遠慮したい。
「まぁ、その人に会ってみないと分からないですよね」
「そうだな、いい奴なんだがどうもチームを組むに至らないんだよなぁ」
「本人が気にしていますからね」
「それは……」
「種族です。会って貰えたら分かると思いますが、彼の種族を気にする人がいるんですよ」
「チームにそういうのがいるとどうしてもチームメンバーにいたらないんだよなぁ」
「本当に腕も立つし、気さくでいい奴なんだけどなぁ」
「うちにもそういうのがいるから誘えなくてなぁ」
「つまり向こうはチームを組むというのが嫌ではないと」
「まったく、むしろ誰かと一緒に冒険したいって思っているような奴だ」
「冒険者って言ってもソロではやれることは限られているからな」
「たしかに」
 とりあえず、三つ目の条件はクリアしているようだ。
 あとはあってみないと分からないよなぁ。
 まぁ、一番確実な安全のとり方でもあるし、特に他が思いつかないからチームを組むっているのを検討してみよう。ユキも他に誰かいた方が楽しいかもしれないしな。
「アキラさん、その人が帰ってきたら合わせてください」
「はい、分かりました」
「組むかどうかは別として会ってみないと分かりませんので」
「そうですね。では、彼が戻ってきたら連絡します」
「はい」
 そういうことで俺はとりあえずチームを組む方向で話を持っていった。
 こうして対策会議は終了した。
 うん、もしかして誘導された?
 ま、いいか。
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