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第一章

46、つけてくる者③

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 俺は誰も出ないことを願いながらかけたのだが、まぁ、そうだよな。日本と違うんだから出るよな。なにせ、常時誰かがいるギルドにかけて出ない方がおかしいよな。
 今回もアキラさんが出た。
「マコトさん?どうかされましたか?」
「いやぁ~~、さっきの話をキルトさんにしたら…」
「アキラ坊、今、マコト坊をつけているやつが店の前にいるから捕まえに来い」
「キ、キルトさん?!」
 俺は慌てた。
 キルトさんが画面前に来てさっさと言ってしまった。実は伏せておきたかったのに。
 キルトさんの話を聞いたアキラさんは渋い顔をしていた。
 うん、そうだよな。子ども扱いをされてはいやだろうに。
「マコトさん、また隠そうとしましたね」
「え?」
「ほら!なんですぐに頼ってくれないんですか!」
 俺は意外だった。アキラさんが渋い顔をしたのは子ども扱いをされたことだと思ったら、俺が隠そうとしたことだった。
 うん、なんで俺が隠そうとしたのがバレたんだろう。いや、それ以上になんでそのことで怒られているんだろう。解せぬ。
「ほれほれ、アキラ坊よ、マコト坊は1人でなんとかしたい年頃よ。そう責めるでないわ」
「そういうものでしょうか?」
「そういうものよ、人にはそれぞれそういう時期があるものよ」
「まぁ、私にもありましたけど」
「人が通る道だから仕方ないんだよ。通った者が忠告してもどうしようもないのだ、こればかりはな」
「はぁ、仕方ないですね」
 なぜだろう、2人からため息をつかれた。解せぬ。
 俺、そんなに若くないと思うんだけど?
 俺1人が困惑しているとアキラさんから返事がきた。
「とりあえず、今から向かいますので。せめて人数はわかりますか?」
「ええ、『気配察知』に引っかかるのは3人です」
「3人ですね。分かりました。とにかく、キルトさんのところにいてくださいね!」
 アキラさんはそういうと通信を切った。
 俺はキルトさんの方を見た。
 キルトさんは楽しそうだ、なにゆえ?
「キルトさん」
「良かったじゃないか」
「そういうことでは……」
「マコト坊は皆に好かれているんだから、気にする必要はない。皆がそうしたくてしているんだからな」
「キルトさんって……種族なんですか?長命種?」
「おう、ノーム族の1人よ。長命でな、俺はすでに150歳よ」
「ええ?!」
 俺は驚いた。今日は驚いてばかりだ。なんちゅう長命だ、見た目は五十代だよ。
 それはそうとノーム族ってどんな種族なんだろう?
 確か土の精霊・妖精だって向こうでは言われていたけど。
「ノームって土精霊の?」
「ああ、そうさ。精霊族は長命だ。俺もここに来て100年は経っているからなぁ」
「100年?!」
「おう、ここは変わらず平和よ。マコト坊はつまらんか?人族は生き急ぐ者が多い。アキラ坊もここに来た時はヤンチャだったなぁ。あれが職員になったのは2年前だが、ここに来たのは5年前だったなぁ」
「へぇ~~」
 アキラさんはもともとここの出身じゃなかったのか?まぁ、冒険者してたんだからどこの出身かなんて気にしても仕方ないか。
 それよりアキラさんはここを定住の地として決めたんだろうな。
 相変わらず外では俺を見張っている気配がある。
 ギルドから人が来るまでもう少し時間がかかりそうだから、キルトさんと話は続く。
 ユキはというと眠そうに俺の腕の中にいる。
 俺はキルトさんに椅子を借りて、そこにユキを下した。そうするとユキはまるまって眠り始めた。可愛いよなぁ、うちの子。
「天狼の子はおねむかい?」
「はい」
「まぁ、小さいうちはよく寝るものさ。無理に起こしておくのは良くないからな」
「そうですね」
 ギルドからの人が来るまでの間に俺はキルトさんの昔話を聞いた。
 いやぁ~、精霊族って本当に長命なんだね。いろんな話が次から次へと出てきて楽しいんだけど聞き疲れた。
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