上 下
5 / 105
第一章

4、異世界転移④

しおりを挟む
「決まりましたか?」
「ああ、ここに書きだした」
「では、拝見させていただきます」
 そういうとイケメンは俺が書き出したメモに目を通した。
 そこには俺がこの辞典5冊を見て、選んだスキルや耐性等の名前が書かれている。
 俺が選んだのは『言語理解』、『身体能力向上』、『鑑定』、『魔法マジック創作師クリエーター』、『魔力上限上昇』、『身体異常耐性』、『双剣士』、『思考加速』、『体力向上』、『気配察知』の10個だ。
 俺のこのメモを見てイケメンは首を傾げた。
 おいおい、俺の会心の出来なんだが?
「いくつか質問を?」
「どうぞ」
「どれも最上スキルがありますがそっちでなくていいのですか?」
 おお、そういう引っ掛かりね。
 まぁ、イケメンの言う通りなんだよなぁ。
 スキルによっては最上のスキルというものがある。
 だが、それを取ってしまうと人でなくなるような感じがして嫌だったのだ。
「まぁ、なに。最上のってあれだろ『身体異常無効』とか、『魔力量無限』とかだろ」
「はい」
「そんなの取っちまったら人でするなくなる様な気がするわけよ」
「まぁ、異能者でしょうね」
「だろ、そんなの俺は望んでない。ちょっと人より丈夫って感じでいいんだ」
「なるほど」
「あと、どんな世界か分からない以上体力は必要だからな」
「分かりました。では、これであなたの向こうでのスキルを確立いたします」
「頼む」
 うん、イケメンも納得したようでスキル付与に移行してくれた。
 イケメンが俺の前に手をかざすとそこに水色の半透明の画面が出てきた。
 いわゆる、ステータス画面だ。
 そこに俺の望んだスキルを付けていってくれている。
「はい、これであなたが望んだスキルが付与されました」
「おお、ありがとう」
「いえ、こちらの不手際で申し訳ありません」
 このイケメンはどこまでも親切だなぁ。
 そういえば干渉しろって、何をすればいいんだ?
「そう言えば干渉って、主に何をすればいいんだ?」
「その説明もされていませんでしたか?」
「何も。干渉要因だから地球での存在は消滅して向こうに行って貰うってことしか言われなかったぜ。そのあと人違いって判明したしな」
「申し訳ありません。干渉ですが、特に何かをするというのは決まっていません」
「え?」
「本当に停滞していて、何も起こらない世界になってしまったんです」
「何も起こらない」
「魔物が一定数出現したり、国が滞りなく運営されてはいますが、それではこのまま怠惰な世界にになってしまい、世界自体の活動が停滞しかねないところまで来ているのです」
「なんか、思っていたより恐ろしい事態だなぁ」
「そこで別世界人を入れることで、波紋が広がり、物事が動き始めると予想しています」
「予想か」
 俺の言葉にイケメンは頷いた。
 予想だけで別世界の人間を入れるのは怖くないのか?
 俺がそんなことを思っていると、それを察したイケメンが苦笑した。
「全ては予想です。波紋は広がりますがそれ以上は向かった方の行動次第ですので」
「なるほど」
「国の活性でも、悪事の露見でも何でもいいんです。その世界が活性化すれば」
「国1つ滅んでもか?」
「そう言うのはどの世界でも起こっています。むしろそれすらも起こらなかったあの世界がおかしいのです」
 イケメンは神妙の面持ちでそう言った。
 要は俺が向こうに行って思うように行動すればいいってことだ。俺が行くことで広がる波紋をちゃんと力に出きれさえすれば。
 なんか普通に楽しそうじゃん。特に制限がないってのは、もしかしたらこれも手違いでのお詫びかもしれないが、気にしない。イケメンがそう公言しなかったんだ。
「それでは転移させて頂きますがよろしいでしょうか?」
「ああ」
「それでは御武運を」
 イケメンがそう言うと俺の足元に魔方陣が現れ、俺を包んだ。
 さぁ、これから俺は思うままに俺が行ったことで広がる波紋を広げていこう。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

放逐された転生貴族は、自由にやらせてもらいます

長尾 隆生
ファンタジー
旧題:放逐された転生貴族は冒険者として生きることにしました ★第2回次世代ファンタジーカップ『痛快大逆転賞』受賞★ ★現在三巻まで絶賛発売中!★ 「穀潰しをこのまま養う気は無い。お前には家名も名乗らせるつもりはない。とっとと出て行け!」 苦労の末、突然死の果てに異世界の貴族家に転生した山崎翔亜は、そこでも危険な辺境へ幼くして送られてしまう。それから十年。久しぶりに会った兄に貴族家を放逐されたトーアだったが、十年間の命をかけた修行によって誰にも負けない最強の力を手に入れていた。 トーアは貴族家に自分から三行半を突きつけると憧れの冒険者になるためギルドへ向かう。しかしそこで待ち受けていたのはギルドに潜む暗殺者たちだった。かるく暗殺者を一蹴したトーアは、その裏事情を知り更に貴族社会への失望を覚えることになる。そんな彼の前に冒険者ギルド会員試験の前に出会った少女ニッカが現れ、成り行きで彼女の親友を助けに新しく発見されたというダンジョンに向かうことになったのだが―― 俺に暗殺者なんて送っても意味ないよ? ※22/02/21 ファンタジーランキング1位 HOTランキング1位 ありがとうございます!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

処理中です...