妹の身代わりとされた姉は向かった先で大切にされる

桜月雪兎

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第二章

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カイルは国王様との会話を思い出した後、レオンハルトとジャックを見た。
自身の意見を変える気はないようだと長い付き合いのカイルにはよく分かった。

「カイルがそう言うってことは、もしかして国王様が絡んでる?」
「「「え?」」」

カイルたちの様子を観察していたリントが不意に言った。
その言葉にカイル以外の三人が驚いていた。

今回の調査では四人は入れてなかった。
だから、カイルが言ったのは噂話だろうと三人は思っていたのだ。
それとカイルのレオンハルトとジャックに対する二人の意思の確認だろうなと判断していたのだ。

しかし、ここで国王様が出てきたら意味が変わってくる。
噂話ではなく任務の報告で、国王様からの命令となるのが分かった。

レオンハルトとジャックは嫌そうな顔を強めた。
国王様からの命令では断ることはできない。
そして、それに伴い問題を起こした実家の立て直しをしなくてはいけなくなる。

他の貴族からは侮られ、蔑まれる。
立て直しするより潰してしまった方が早いくらいだ。

「いや、さすがに古くからある貴族家を潰すのはどうかと思ってね」
「だが、悪事が露呈すれば」
「それを変える手段はある。君たちが継ぐ意思があるならね」
「「どういうことだ?」」

カイルはこの先を本当に話していいのか分からなかった。
もちろん、この事は国王様からの命令でもある。
しかし、二人が継ぐ意思がないのであれば、要らない情報でもある。

カイルにはレオンハルトとジャックが継がないのであれば別の方法を取ることも考えている。
その提案ぐらいは許されるはずだとカイルは思っている。
何せ、容易な話じゃないのだ、古くからある貴族家の罪を隠して事件を解決させ、当主交代をするのは。

「……君たちの意思次第だよ、この先はね」
「「カイル」」
「「…………」」

リントとフォルナーはレオンハルトとジャックを心配そうに見ていた。
カイルは酒を一口飲み、好みのつまみを追加してゆっくりと楽しんでいた。

カイルにしてみればこれから先を決めるのはレオンハルトとジャックの二人だ。

カイルが横目に見ると二人とも真剣に悩んでいるようだ。
それもそうだろう、国王様が関わっている可能性がリントによって露見したのだ。
ここで何も考えずに答えを出す二人ではない。
だから、カイルは二人の答えを待つことにした。

(まぁ、王命である以上は最終的、レオとジャックの二人には頷いて貰わないといけないんだけどね。私の仕事が終わらないから)

カイルはそんなことを思いながらもとりあえず・・・・・は二人の意思に任せる事にしたのだ。

もちろん、二人が覚悟して継ぐ決意を持ってくれた場合も、継がないと言った場合もカイルは考えてある。

まぁ、最終的には継がせる方法も考えているのだが。
カイルとしては二人の意思で継いで貰いたいと思っている。

(その方がアイリスといれる時間が増えるしね)






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