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第二章

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カイルのプロポーズを見守っていた独身組の使用人と護衛は別の意味で涙が出た。

カイルはアイリスを横抱きにしてルドルフとリリーシア夫人のいる所に向かった。
アイリスがカイルからプロポーズされ、受け入れたことを報告するとリリーシア夫人はアイリスを抱き締めて喜んだ。
ルドルフもカイルの肩を労うように叩いた。

こうして、ピクニックは和やかな雰囲気で終了した。

屋敷に戻り、片付けを終わらせ、独身組の彼らは仲良く夜の酒場に向かった。
お互いを慰め合う目的をもって。

「とりあえず」
「「「かんぱーい」」」

彼らはエールを飲んだ。

「はぁー、寂しいなぁ」
「だな」
「彼女欲しい」
「何だか、急に増えたよな。カップル」
「まぁ、カイル・・・に『番』が見つかったからな」
「俺も『番』と出逢いたい!」

ここにいる四人は全員、獣人だった。
護衛騎士は獅子のレオンハルトと黒豹のジャックで使用人は狐のフォルナーと羊のリントだ。
彼らは学生時代からの友人関係でカイルともその時からの友人である。

彼らはそれぞれ問題を抱えていて、カイルの好意でヴァルファス公爵家に仕えることになったのだ。
勿論、それだけの能力もあったからだ。

「うう~、カイルが羨ましい~」
「だな。あんなに可愛い『番』と出逢えたんだ。幸せだろうな」
「まぁ、大切な『番』だからな。全力で護りたいよな。実際に護ったし」
「「「だな」」」

四人はカイルの事が羨ましく思っているが、それ以上に嬉しかった。
友人が幸せになるのを喜ばないわけがなかった。

「『番』なぁ~」
「どうした?」
「『番』に限らないけど、この国は同性婚も認められてるよな」
「後継者問題にも養子縁組をすれば良いとされてるしな。まぁ、親族からになるがな。血の継承と言う意味で」
「ああ。だけど、なんでそんな話を?」
「いや、カイルは異性であるアイリス様だったが、僕たちの『番』が必ずしも異性である保証はないよなって思って」

リントの発言に四人の中で嫌な沈黙ができた。
リントも言ってからしまったと思い、申し訳なくなった。
しかし、その沈黙を破ったのはジャックだった。

「まぁ、俺は絶縁してるし、カイルに仕えてるだけだからな。問題はないな」
「まぁ、『番』はそういうのを簡単に飛び越えさせるよな。俺も実家とはもう関わることもないだろうからな」
「うちに至っては僕の存在自体忘れられてるだろうしね」
「それは僕もだろうね」

四人とも言っていて悲しくなった。
別に実家に対して何の思い入れもない四人だが、現実問題、現在が寂しいのである。

「カイル、匂いで分かったって言っていたね」
「ああ。やはり、匂いなんだな」
「出逢い、欲しいな」
「うん」

四人が寂しさのループに填まっているとある人物が現れた。

「やっぱり、ここにいたな」
「「「「カイル?!」」」」

四人は驚いた。
まさかアイリスを置いて夜の酒場にカイルが現れるとは思わなかったのだ。

それもそのはずで、カイルはアイリスと出会ってからずっとアイリスについていたのだ。
いくらアイリスが成長しているからと言って置いてくるとは思えなかったのだ。

「アイリス様は良いのか?」
「アイリスならもう眠ってるよ。それに父上や母上もいるしね」

カイルはそう言うと四人の席に自身も座り、酒を頼んだ。
四人はいまだに驚きがおさまらなかった。
そんな四人を見てカイルは肩をすくめた。

「昔から何かあればここに集まっていたから、いると思ったよ」

カイルは学生時代の時のように四人に接していた。




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