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第一章

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ランドロールの急な発言に驚き、アルバはランドロールを凝視した。
その視線に苦笑して、ランドロールは答えた。

「……貴方がアイリスお嬢様とマリア様のために大幅に入れ替えたクリムゾン伯爵家の使用人たちですよ。貴方は人を信じきれないのでしょう。彼らはそれに気付いてますよ」
「…………」
「そこにいる者たちとは違います。貴方がそういう環境だったことを知っている先々代伯爵に仕え、前代伯爵に不当解雇され、また貴方に能力を買われ雇われた使用人たちです」
「……あの者たちが?なぜ?」
「知っているからでしょう。知っていて、貴方の境遇に苦言を呈して解雇されたと聞いています、本人たちから……だから、今度こそ貴方・・やアイリスお嬢様、マリア様を守ろうと決めたと」
「……………………」
「早急に、クリムゾン伯爵家の使用人たちを連れて参れ」
「「「「はい」」」」
「彼らは王都のクリムゾン伯爵家で控えています。この裁判のために」
「そうか」
「はい」

アルバは理解できないでいた。
アルバは全てはマリアのためにしてきたことだ。
マリアが死の縁にアイリスのことを頼んだが、どうしてもとサイモンの影がちらつき、愛せなかった。

せめて出来ることを考えて、伯爵家を継がせ、よき伴侶を世話することだけだった。

相手も伯爵家を利用せず、アイリスを愛し、手を取り合いながら幸せな家庭を作れるような相手を。

しかし、現実は『番』である公爵令息のカイルをえた。
優秀なカイルならアイリスが継承するクリムゾン伯爵家も守ってくれる。

だから、アルバは全ての罪を償う覚悟を持てた。

しばらくして連れてこられたのは現在のクリムゾン伯爵家の執事であるオリバーと侍女長であるナタリーである。
二人は入場すると真っ先にアルバに視線をやった。
アルバも二人に視線を向けた。

「オリバー、ナタリー」
「アルバお坊っちゃま、ご立派になりまして、ナタリーは嬉しゅうございますよ」
「アルバお坊っちゃま、当時は守れず申し訳ありません。ハルバート様にお守りするように仰せつかっておりましたのに」
「…………とりあえず、お坊っちゃまはやめてくれ。もういい歳だ」

アルバは産まれた時から仕えてくれていた二人の発言に赤面した。
ナタリーはアルバの乳母でもあり、幼少期父親にナタリーが解雇されるまでは唯一の側仕えだった。

サイモンが産まれた時から暫くして先々代伯爵であるハルバートが亡くなり(普通に寿命)、更に暫くするとオリバーとナタリーが解雇された。
それからアルバは自身が語った人生を歩んだ。

オリバーとナタリーは苦笑した。
二人にとってはいつまでもアルバは仕えていたハルバート伯爵の孫なのだ。
大切な仕えるべき存在なのだ。

そして、オリバーとナタリーは国王たちの方を向いた。

「……もう良いかの?」
「はい。申し訳ありません、お時間を頂き」
「構わぬ。兵から直接申し出を聞き、許可を出したのはワシだ」
「ありがとうございます」

オリバーの言うように、オリバーとナタリーは迎えに来た兵に一言アルバに謝罪したいと国王側に申し出た。
アルバの人生を狂わせてしまった要因であるからと。
そして、国王はそれを許可した、それから二人は入場したのだ。

「それで、クリムゾン伯爵家はアルバ・ナーシェル子爵がアイリス嬢をクリムゾン伯爵家に送る手段を聞いていたのか?」
「はい。アイリスお嬢様をサマンサ夫人とアイリーン嬢から始末・・したと思い込ませ、極秘でクリムゾン伯爵家にお戻りいただくためにクリムゾン伯爵家領の森に荷物とアイリスお嬢様を送る事になっていました」
「荷物はカモフラージュですので、その場で燃やす事になっていました。後で確認に来られたときのためです。なので、荷物の中はガラクタばかりになっていたはずです」
「送り先も領地の森の奥、監視小屋となっていました。勿論、御者がちゃんとしなかった時のために捜索できる人数でお迎えに上がるはずでした」
「しかし、ランドロールからアイリスお嬢様がカイル・ヴァルファス公爵令息の『番』だったため、引き取られたと報告を受けました」
「そうか」

国王はずっと説明するオリバーとナタリーを見ていた。
二人に偽りがないかを見極めるために。

二人には偽りはなく、二人も国王をしっかりと見ていた。
そして、それに国王は頷いた。


==========================

すみません、裁判シーンもう暫く続きます。

おかしい。

予定では今回終わるはずだったのに(泣)




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