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序章
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私、沢口香織が目を覚ますと光源が蝋燭の灯りのみの石造りで床に何かの紋様が描かれた場所にいた。
この場所の壁側にはフードで顔を、ローブで全身を隠した集団がいる。
私の隣には私同様困惑した感じの少女がいた。
「ここは?」
「ようこそいらっしゃいました、聖女様」
「「はい?」」
私と少女は集団から前に出てきた1人の言葉に頭を傾げた。
声からして男性のようだけど、聖女とはどういう事だろう。
私も少女も身に覚えがない呼ばれ方をした。
男性の方は私たちを見て固まっている。
「聖女様が二人?そんなはずは」
「1人は聖女様ではないのでは?」
「確認してみよ」
「はい」
急に不穏な感じになったので私は少女を背に庇った。
見た感じ私の方が年上みたいだからね、守ってあげないと。
すでに少女は泣きそうだし。
集団は私たちに聞こえないように話し合いをしてから最初に前に出てきた男性が再度私たちに近づいてきた。
「な、なに?」
「お前ではない。お前の後ろにいる聖女様に我らは用があるのだ」
「わ、私ですか?」
「ええ、貴女をお待ちしておりました、聖女様」
「私は聖女なんかでは、ないです」
「いいえ、貴女は聖女様です。判断がつかなかったので勝手にステータスを見させて頂きました」
「「ステータス?」」
私たちが呟くと目の前に半透明の画面が現れた。
名 前:カオリ・サワグチ
種 族:人族
性 別:女
年 齢:20
職 業:
状 態:健康
レベル:1
H P:380/380
M P:490/490
力 :95
耐 久:60
俊 敏:70
運 :80
固有スキル:【ネットショップ】
一般スキル:【料理】【裁縫】【言語理解】【算術】
戦闘スキル:【剣術】
称 号:
私のステータスと言うのはこんな感じだった。
小説やゲームのようだと私は思った。
少女は自分のステータスを見て驚いていた。
「私が…聖女?」
「はい。どうぞ、こちらへ」
「で、でも」
「大丈夫です。私たちは貴女を待っていました。手荒なことはしません」
「あ、はい。でも」
「彼女の事も私たちが対応しますので」
「はい」
どうやら少女と男性の方で話が着いたみたいだね。
少女は男性の手を取り、唯一の扉から出ていった。
男性は出ていく前に近くにいた人に小声で何かを伝えていた。
集団の大半は一緒に出ていったが私と声をかけられた人だけが残った。
「来い」
「痛い!」
声をかけられた人は私に近寄り急に私の腕を力の加減もなく掴み、無理やり引っ張った。
声をかけられた人は私の事など全く気にしていないらしく、どんなに抗議しても離してくれなかった。
訳の分からないまま連れていかれたのは月明かりしかない夜の森の中だった。
投げ捨てるように腕を離されて私は地面にうつ伏せに転がった。
声をかけられた人は私を仰向けにすると私の口を片手で覆った。
「聖女ではないお前は不要だ」
「っ!っっ!!」
「残念だったな」
「っ!っっーーーーーー!!」
声をかけられた人は月明かりで光輝く短剣を私の胸、心臓に突き刺した。
訳のわからない場所で、訳のわからないまま、私は激痛の中、困惑したままその一生を終えた。
この場所の壁側にはフードで顔を、ローブで全身を隠した集団がいる。
私の隣には私同様困惑した感じの少女がいた。
「ここは?」
「ようこそいらっしゃいました、聖女様」
「「はい?」」
私と少女は集団から前に出てきた1人の言葉に頭を傾げた。
声からして男性のようだけど、聖女とはどういう事だろう。
私も少女も身に覚えがない呼ばれ方をした。
男性の方は私たちを見て固まっている。
「聖女様が二人?そんなはずは」
「1人は聖女様ではないのでは?」
「確認してみよ」
「はい」
急に不穏な感じになったので私は少女を背に庇った。
見た感じ私の方が年上みたいだからね、守ってあげないと。
すでに少女は泣きそうだし。
集団は私たちに聞こえないように話し合いをしてから最初に前に出てきた男性が再度私たちに近づいてきた。
「な、なに?」
「お前ではない。お前の後ろにいる聖女様に我らは用があるのだ」
「わ、私ですか?」
「ええ、貴女をお待ちしておりました、聖女様」
「私は聖女なんかでは、ないです」
「いいえ、貴女は聖女様です。判断がつかなかったので勝手にステータスを見させて頂きました」
「「ステータス?」」
私たちが呟くと目の前に半透明の画面が現れた。
名 前:カオリ・サワグチ
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年 齢:20
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一般スキル:【料理】【裁縫】【言語理解】【算術】
戦闘スキル:【剣術】
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私のステータスと言うのはこんな感じだった。
小説やゲームのようだと私は思った。
少女は自分のステータスを見て驚いていた。
「私が…聖女?」
「はい。どうぞ、こちらへ」
「で、でも」
「大丈夫です。私たちは貴女を待っていました。手荒なことはしません」
「あ、はい。でも」
「彼女の事も私たちが対応しますので」
「はい」
どうやら少女と男性の方で話が着いたみたいだね。
少女は男性の手を取り、唯一の扉から出ていった。
男性は出ていく前に近くにいた人に小声で何かを伝えていた。
集団の大半は一緒に出ていったが私と声をかけられた人だけが残った。
「来い」
「痛い!」
声をかけられた人は私に近寄り急に私の腕を力の加減もなく掴み、無理やり引っ張った。
声をかけられた人は私の事など全く気にしていないらしく、どんなに抗議しても離してくれなかった。
訳の分からないまま連れていかれたのは月明かりしかない夜の森の中だった。
投げ捨てるように腕を離されて私は地面にうつ伏せに転がった。
声をかけられた人は私を仰向けにすると私の口を片手で覆った。
「聖女ではないお前は不要だ」
「っ!っっ!!」
「残念だったな」
「っ!っっーーーーーー!!」
声をかけられた人は月明かりで光輝く短剣を私の胸、心臓に突き刺した。
訳のわからない場所で、訳のわからないまま、私は激痛の中、困惑したままその一生を終えた。
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