転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件

桜月雪兎

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第一章

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最初に、シュヴァルツ王太子にラインと呼ばれていた……ラインことラインハルトは今回の成人の儀にて執り行われた声明を保管している部署に向かった。
王太子であるシュヴァルツからの緊急の仕事だと言うとすぐに関係資料を持ってきてくれた。
そこにはユキルディスの成人の儀での出来事と国王が発した声明や決まり事が書かれた。

そして、ラインハルトは一息をついた。
その資料にはこう書かれていた。

【ユキルディス・フォン・アルフレッドの成人の儀により確約された事

①ユキルディス・フォン・アルフレッドはこの成人の儀完了後一成人として扱われる。
②ユキルディス・フォン・アルフレッドは成人したことにより国よりユンゲート領を拝領される。
③ユキルディス・フォン・アルフレッドはユンゲート領の領主となり、開拓することを命ずる。
④ユンゲート領開拓期間中はユンゲート姓を名乗ることを命ずる事とし、ユキルディス・フォン・ユンゲートとなる。
⑤ユンゲート領は不毛の土地とされているため、半年以上植物も水源も確保できない場合はその時点で開拓中止とすることを許可する。
⑥ユンゲート領の開拓中止となった場合ユキルディス・フォンユンゲートはユキルディス・フォン・アルフレッドに戻り、アルフレッド領に戻ることを認める。


マルテスト王国国王フォルグレット・ディル・マルテスト】

これにはユキルディスが『アルフレッド家からの除籍』という最悪の言葉は一切ない。
むしろ、開拓の余地なしとなればアルフレッド家に戻ることを認められているのだ。

ただ、開拓成功時の話が一切ないので、これは失敗するのが当たり前と認識された声明だ。
そのため、成功時の話がない。
しかし、これでは問題になる。
もし、ユンゲート領の開拓が成功したらどうなるのか、いくつかの考えが上がる。

①ユキルディスがユンゲート領のみの当主として君臨し、爵位を賜り、新たな貴族家となる。その場合はアルフレッド家は現在のアルフレッド家の別の者が当主となる。
②ユキルディスがアルフレッド家の直系の血筋であるためアルフレッド領のみの当主として君臨し、ユンゲート領はアルフレッド家の別の者が当主となる。
③ユキルディスがアルフレッド家の直系の血筋であるためアルフレッド領のみの当主として君臨し、ユンゲート領はユキルディスと関わりのない者が統治する。
④ユキルディスがアルフレッド家の直系の血筋であるため、ユキルディスを頂点としてアルフレッド領とユンゲート領を統合するも国境の領地であることを考慮せず、爵位の変更なし。
⑤ユキルディスがアルフレッド家の直系の血筋であるため、ユキルディスを頂点としてアルフレッド領とユンゲート領を統合、ユンゲート領が国境の領地であることを考慮し、爵位を辺境伯爵として陞爵される。

ここまでならまだジークフリードに許される範囲内にある。
と言うのも、この五つはユキルディスが領主として存在するので貴族家の当主となる。
①はともかく②と④と⑤ならジークフリードも許してくれる範囲内となるだろうが、最も望ましいのは⑤である。
これなら今回の件があったとしてもジークフリードが喜んでくれると判断できる内容だ。

最悪、①の場合はアルフレッド家をジークフリードが継いで、後はユキルディスに渡すか、ユキルディスの子供が継ぐという取り決めをしておけば良いのだから、まだ妥協範囲内であると予想される。
②の場合もユキルディスが育てたユンゲート領をジークフリードが継げば良い。
その後は①同様ユキルディスに渡すか、ユキルディスの子供が継げば良いのだから。
しかし、③はユキルディスと関係のない者が統治することになるので場合によってはジークフリードの怒りに触れる可能性があるがそれでもマシな方ではある。





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