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第一章
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ーーーここはマルテスト王国の王都。
今日、遠征に出ていた騎士団が帰還したのだ。
王都の城門を抜けると王城までの大通りを両サイドに分かれながらも大勢の町の人々で埋め尽くされていた。
人々は歓声をあげて騎士団の帰還を喜んでいた。
今回の遠征自体は魔獣の討伐だったが、その帰還した騎士団というのがマルテスト王国きっての精鋭たちで構成された蒼の騎士団なのだ。
蒼の騎士団はとても人気がある。
それ故に、このように帰還する度に歓声をあげて出迎えられる。
それがついさっきの出来事で現在、騎士団は王城にある騎士団の施設に帰還をすませた。
長期の遠征より全員が無事に帰還した事を上司は国王陛下へと報告に向かい、他の面々は装備を確認したり遠征で使ったものを片付けていた。
そんな中にユキルディスの義兄ジークフリードがいた。
「あ、いたいた。ジーク」
「ん?どうかしたか?アルフ」
「ああ。お前宛に手紙を預かっているぞ」
「はぁ~。どうせまた女どもだろ。必要ない、破棄してくれ」
「ああ~~。そうだよな。お前はそういうやつだよな。でもよ、この手紙は女でなくて、差出人がユキルディス・フォン・アルフレッドってなっているんだが、これも破棄するか?」
「っ!それを早く言え!!よこせ!!」
「うお?!」
ジークフリードは騎士としてもとても優秀で騎士団の中で1・2を争うほどの実力者のため人気があるがアルフレッド家の長男として次期アルフレッド家当主になると認識されているためその夫人の座を狙っている者ばかりなのだ。
ジークフリードからしたらそれは不快なだけだ。
ジークフリードは理解している、正式なアルフレッド家の後継者は三男であり、ジークフリードが愛してやまない弟のユキルディスただ一人なのだ。
そして、その愛しいユキルディスからの手紙が来たのだ。
ジークフリードは手紙を持ってきてくれた同僚であり、友人であるアルフからユキルディスの手紙を奪い取った。
しかし、その手紙が破損したり、折れたりしないように気を付けながら。
ジークフリードに手紙を渡す前に奪い取られたアルフは驚いた。
ジークフリードがこのような事をするのは初めての事だった。
ジークフリードはその手紙を大事そうに、綺麗に開封し、封筒でさえ汚れないように自身の懐に入れてから手紙を読み始めた。
最初こそ嬉しそうに読んでいたのだが最後の方は怒気が、負のオーラがあふれ出てきた。
それはこの場にいた全員が背中にいやな汗をかき、身動き一つできないほどだった。
まともに正面から受けてしまったアルフは鬼神や悪魔、魔王の如きジークフリードの形相までも見てしまったために震えが止まらず、微動だに出来なかった。
「あの屑共、俺の可愛くて目に入れても痛くない程に愛しいユキを…迫害しやがっただと……しかも…………あの土地に追いやったなんて、国王もどういうつもりだ。この遠征が終わったら、成人したユキを連れてお祝いをしようと思っていたのに…………これは、黙っていられないな!!」
「「「「「あ、あ…あ、あ…」」」」」
「うう……」
ジークフリードはそれだけつぶやくとどこかに走り去っていった。
それによって怒気も負のオーラも霧散し、その場にいた者たちは知らず知らずのうちに詰めていた息を、力を抜いた。
アルフも動けるように…というより、硬直が解けて膝をついた。
今日、遠征に出ていた騎士団が帰還したのだ。
王都の城門を抜けると王城までの大通りを両サイドに分かれながらも大勢の町の人々で埋め尽くされていた。
人々は歓声をあげて騎士団の帰還を喜んでいた。
今回の遠征自体は魔獣の討伐だったが、その帰還した騎士団というのがマルテスト王国きっての精鋭たちで構成された蒼の騎士団なのだ。
蒼の騎士団はとても人気がある。
それ故に、このように帰還する度に歓声をあげて出迎えられる。
それがついさっきの出来事で現在、騎士団は王城にある騎士団の施設に帰還をすませた。
長期の遠征より全員が無事に帰還した事を上司は国王陛下へと報告に向かい、他の面々は装備を確認したり遠征で使ったものを片付けていた。
そんな中にユキルディスの義兄ジークフリードがいた。
「あ、いたいた。ジーク」
「ん?どうかしたか?アルフ」
「ああ。お前宛に手紙を預かっているぞ」
「はぁ~。どうせまた女どもだろ。必要ない、破棄してくれ」
「ああ~~。そうだよな。お前はそういうやつだよな。でもよ、この手紙は女でなくて、差出人がユキルディス・フォン・アルフレッドってなっているんだが、これも破棄するか?」
「っ!それを早く言え!!よこせ!!」
「うお?!」
ジークフリードは騎士としてもとても優秀で騎士団の中で1・2を争うほどの実力者のため人気があるがアルフレッド家の長男として次期アルフレッド家当主になると認識されているためその夫人の座を狙っている者ばかりなのだ。
ジークフリードからしたらそれは不快なだけだ。
ジークフリードは理解している、正式なアルフレッド家の後継者は三男であり、ジークフリードが愛してやまない弟のユキルディスただ一人なのだ。
そして、その愛しいユキルディスからの手紙が来たのだ。
ジークフリードは手紙を持ってきてくれた同僚であり、友人であるアルフからユキルディスの手紙を奪い取った。
しかし、その手紙が破損したり、折れたりしないように気を付けながら。
ジークフリードに手紙を渡す前に奪い取られたアルフは驚いた。
ジークフリードがこのような事をするのは初めての事だった。
ジークフリードはその手紙を大事そうに、綺麗に開封し、封筒でさえ汚れないように自身の懐に入れてから手紙を読み始めた。
最初こそ嬉しそうに読んでいたのだが最後の方は怒気が、負のオーラがあふれ出てきた。
それはこの場にいた全員が背中にいやな汗をかき、身動き一つできないほどだった。
まともに正面から受けてしまったアルフは鬼神や悪魔、魔王の如きジークフリードの形相までも見てしまったために震えが止まらず、微動だに出来なかった。
「あの屑共、俺の可愛くて目に入れても痛くない程に愛しいユキを…迫害しやがっただと……しかも…………あの土地に追いやったなんて、国王もどういうつもりだ。この遠征が終わったら、成人したユキを連れてお祝いをしようと思っていたのに…………これは、黙っていられないな!!」
「「「「「あ、あ…あ、あ…」」」」」
「うう……」
ジークフリードはそれだけつぶやくとどこかに走り去っていった。
それによって怒気も負のオーラも霧散し、その場にいた者たちは知らず知らずのうちに詰めていた息を、力を抜いた。
アルフも動けるように…というより、硬直が解けて膝をついた。
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