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第一章
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しおりを挟むサリバンは早速行動に出た。
サリバンは水属性魔法である『水鏡』を出した。
この『水鏡』は特定の相手と通信する魔法だ。
勿論、相手は息子であるマリモだ。
暫くするとマリモが『水鏡』に写った。
「父さん、どうかしたのか?」
「マリモ、迅速且つ内密に人材の派遣をして貰いたい」
「人材?どの役職を何人いるんだ?」
「執事が1人、侍従・侍女が4~8人、従者が4~8人、料理長が1人、副執事が4~8人、従僕長が1人、侍女が4~8人、メイド長が1人、調理人が4~8人、庭師長が1人、御者が2~4人、従僕が4~8人、副御者が4~8人、馬丁が8~10人、庭師が8~10人、ボーイ・メイドが10~20人、パーラーメイドが4~8人は最小人数ですが必要ですね。それ以上でも良いですし。あと見習いなど……」
「イヤイヤ!そんなに多く面倒見切れないよ!まだ何の基盤もないのに!」
「ですが、いずれ必要になりますよ?」
「家令であるサリバンがそう思うならそうかもしれないけど、今はとりあえずの人数でいいから!」
「そうですか?これでも必要…」
「……つまり、ユキ様的には執事が1人、侍従が2人、従者が2人、料理長が1人、副執事が2人、従僕長が1人、メイド長が1人、料理人が2人、庭師長が1人、御者が2人、従僕が2人、副御者が2人、馬丁が2人、庭師が2人、ボーイ・メイドが4人ですね」
マリモは『水鏡』先で行われているサリバンとユキルディスの会話からある程度のことを把握して最低限の人数を提示した。
ユキルディスはそれを頭の中で計算しながらもこれ以上削れないのかと考えていた。
「そうだね。やっぱり、それぐらいはいるよね」
「そうですね。最低限ですが、それだけの役職は持っていないと立場的に問題が出ます」
「分かったよ。とりあえず、頼めるかな?でも、現状給金を払えないんだけどね」
「勿論です、ユキ様。それにユキ様について行きたかった者は沢山いますので、すぐに人材は集まりますよ」
「それなら良いんだけど」
「はい。すぐに選定を終えて送ります。それまでお待ち下さい」
「うん、頼んだよ。マリモ」
サリバンは『水鏡』を切った。
ユキルディスはホッと一息ついた。
あのままサリバンに任せていれば抱えきれない人数をマリモに無理矢理探させて、送らせようとしていたとユキルディスは思ったからだ。
そんなユキルディスの姿にアルフォンスは苦笑し、サリバンは少々納得出来ないでいた。
サリバンからしてみればその人材を集めることも探し出すことも容易だと思っている。
ユキルディスと共に行きたかった者は大勢いたし、少々早めに退職した者も今回の事を聞いてユキルディスと共に向かおうとしていた者も大勢いる。
その者たちに声をかければ良い。
彼らはユキルディスといれるなら給金など気にしない者ばかりなのだ。
元々、ユキルディスの実家であるアルフレッド家に仕えていた面々はユキルディスがユンゲート領を賜れ、ユンゲート領に向かうとすぐに殆どの者が辞めようと計画していた。
それを止めたのがサリバンだった。
勿論、それには意味がある。
バルトたちがアルフレッド家を運営できないのが証明されれば直系のユキルディスにアルフレッド家が戻る。
本来、アルフレッド家を継げるのはユキルディスのみでバルトたちにはアルフレッド家をどうにも出来ない。
それを瑕疵領地であるユンゲート領をユキルディスが賜ることでそちらに専念させる、その間にアルフレッド家の相続を書き換えると乗っ取り完了だ。
それがサリバンたちが認識している事だが、ユキルディスには別の思いがある。
と言うのもユキルディスはバルトたちはユキルディスがユンゲートを名乗り、そちらに行けばアルフレッド家を名乗るのは自分たちなのでそれで乗っ取りが完了したと思っていると考えている。
そして、ユキルディスの考えは正しい。
ユキルディスはユンゲート領を賜ったがアルフレッド家の嫡男である事もまた事実であり、ユキルディスはアルフレッド家を捨てたわけではない。
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