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第一章
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しおりを挟む3人が玄関ホールで話しているとアルフォンスにある声が聞こえた。
「『水、流したの?』」
「『ああ、水がないと人も動物も植物も、全ての生き物が生きていけないから』」
「『そうだね、そうだね。水が流れたから』」
「『眠っていた植物たちが目覚めるね』」
「『離れていた動物たちも帰ってくるね』」
「『帰ってきてくれるかな』」
「『帰ってくるよ』」
「『みんな、ここが好きだったから』」
「『それは嬉しいなぁ』」
精霊たちが遊びにきた。
アルフォンスが精霊たちと話しているのをユキルディスとサリバンは見ていた。
「ユキ様」
「精霊たちがいるんだね」
「はい。水が流れたことで植物が目覚めると精霊たちが言っています。それに伴って動物も戻ってくると」
「そうか、それは良いことだね」
「左様ですね」
3人が良い報せに微笑んでいるとその周りを精霊たちは嬉しそうに飛び回っていた。
それが見えているのはアルフォンスだけの筈だった。
そう、筈だったのだがユキルディスとサリバンにも飛び回る様々な色の光の球が見えたのだ。
ユキルディスとサリバンはその事に気付いて驚いた。
驚いている2人に気付いたアルフォンスは首を傾げた。
「ユキ様、サリバンさん。どうかしたのですか?」
「アル、この光の球は、何?」
「え?ああ、精霊ですね。光の球として見えるのですか?」
「うん、色んな色がいるよ」
「私もそうですね、そう見えます」
「ここが聖樹の結界で覆われ始めたのですね。聖域になり始めているので見えるようになったようですね。ですが、本来の精霊は光の球ではないのですが」
「なら、これは、一般人が聖域で精霊を見ることが出来た仮の姿と言うことだね」
「そうなりますね」
ユキルディスとサリバンは安心した。
自分たちがおかしくなった訳でも、変なものが入り込んだ訳でもないと言うことに。
そして、ユキルディスはあることに気付いた。
持ってきた食糧の残りが危ういと言う状況に。
「ねぇ、恐ろしいことに気付いたんだけど」
「ユキ様?」
「恐ろしいことですか?」
「現在、持ってきた食糧が残り少ない」
「「!!」」
「準備の時間が少なくて用意出来なかったんだよね」
「盲点でした」
「参りましたね」
「あと、作れるの俺しか居ないんだよね」
「そうでしたね」
「ユキ様にずっと御作り頂く訳にもいきませんし、身の回りのこともありますので、早急に使用人たちを集めます」
「集まるかな?当面の給金がまともに払えないと思うんだけど」
「集まりますよ。それにユキ様に仕えられるなら給金など要らないと言う者たちがいますから」
「いるの!?そんな奇特な人?!!」
「はい」
「いますよ」
ユキルディスは驚きで開いた口が塞がらなくなった。
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