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第一章
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ーーー話は戻って、ユンゲート領。
ユキルディスはサリバンと共に地図に載っている水場に向かっていた。
勿論、アルフォンスも来ようとしていたが唯一の精霊を確認し、会話できる存在なので拠点である屋敷に残してきた。
実際、サリバンはかなりの実力者だから護衛としても問題ない。
アルフォンスが来る前のユキルディスの護衛はサリバンが勤めていたほどだ。
「これは、綺麗な所だな」
「左様ですね。これだけの水場がありながら流れがないとは勿体のうございます」
「とりあえず、ここから水の流れを作ろう。街中を水が通るのは綺麗だろうなぁ」
「そうですね。水が流れましたら領主館にある井戸にも水が行くようにしましょう」
「だな。土の中だからアルと精霊に頼まないとな」
「そうですね」
水場は昔流れがあったような窪みがあるが、乾ききって今は全く機能していないことが分かる。
水場の近くには大概草などがあるはずだがそれもなかった。
しかし、水事態はとても綺麗だったのだ。
「この水が綺麗なことが恵みがある証拠なのかもな。そして、流れがないことと周りに草木がないことが恵みを止めている証拠なのかもしれないな」
「左様ですね。ここまで綺麗な水ですので恵みはあると思います。草木も流れもない水場は大概汚れていますから」
「だな。とりあえず、俺の土属性魔法で水の道を少し修繕しよう」
「はい」
ユキルディスとサリバンは水場とかつての水道との間に木を使って簡易的な栓をした。
水道を整える間に水が流れていかないようにするためだ。
それが終わるとユキルディスは土属性魔法でかつての水道だと思われる窪みを深くし、整えていった。
道を作っていくとその水道は領主街になる予定の場所であり、以前の領地の中を通っていた。
道が出来上がるのに時間がかかり、既に日は暮れ始めていた。
「道、出来たね」
「左様にございますね」
「これでこの栓を取れば水が流れるはずなんだ」
「では、取りますね」
「うん、頼むよ」
ユキルディスは土属性魔法を限界まで使ったのでもうフラフラで木に寄りかかっていた。
サリバンはそんなユキルディスを優しい眼差しで見ている。
動けないユキルディスの代わりにサリバンが水場と深くした水道を隔てていた栓を……砕いた。
そう、砕いたのだ、それも粉砕だ。
拳1つで。
砕かれた事で水は水道を流れ始めた。
水の勢いは最初は強かったがある程度流れると緩やかになっていった。
勿論、栓となっていた木々はサリバンの拳で粉砕されてしまったので一緒にも流れていった。
勢い良く。
しかし、これで水問題は解決した。
それを確認したサリバンはユキルディスの元に戻った。
そんなサリバンにユキルディスは苦笑した。
「相変わらず、デタラメだよね。栓を取るんじゃなくて、粉砕しているし」
「ふぉふぉふぉ、何を言いますか。もう、爺なので全盛期よりかなり衰えておりますよ」
「サリバンの全盛期なんて知りたくないよ」
「そうですか?まぁ、息子はまだまだ成長の余地がありますので頑張らせますが」
「マリモ、可哀想に」
「何を言いますか。あれはいずれ私の跡を継ぐのですから、あのようにヒヨッコのままではなりません」
「はははーーさすがサリバンだね」
「ありがとうございます」
ユキルディスはマリモに心の中で合掌した。
少し休んだことで動けるようになったユキルディスとサリバンはアルフォンスの待つ屋敷に戻った。
サリバンが扉を開けるとその玄関ホールにはアルフォンスが待っていた。
アルフォンスの姿を見たユキルディスは微笑んだ。
「ただいま、アル」
「お帰りなさい、ユキ様、サリバンさん」
「ただいま戻りました、アルフォンス君」
「とりあえず、当面の水は確保できたよ」
「お疲れ様です」
アルフォンスは満面の笑みでユキルディスとサリバンを労った。
==============================================
編集(R2/11/17)
栓に対してご指摘いただき、説明不足だったため追加しました。
ユキルディスはサリバンと共に地図に載っている水場に向かっていた。
勿論、アルフォンスも来ようとしていたが唯一の精霊を確認し、会話できる存在なので拠点である屋敷に残してきた。
実際、サリバンはかなりの実力者だから護衛としても問題ない。
アルフォンスが来る前のユキルディスの護衛はサリバンが勤めていたほどだ。
「これは、綺麗な所だな」
「左様ですね。これだけの水場がありながら流れがないとは勿体のうございます」
「とりあえず、ここから水の流れを作ろう。街中を水が通るのは綺麗だろうなぁ」
「そうですね。水が流れましたら領主館にある井戸にも水が行くようにしましょう」
「だな。土の中だからアルと精霊に頼まないとな」
「そうですね」
水場は昔流れがあったような窪みがあるが、乾ききって今は全く機能していないことが分かる。
水場の近くには大概草などがあるはずだがそれもなかった。
しかし、水事態はとても綺麗だったのだ。
「この水が綺麗なことが恵みがある証拠なのかもな。そして、流れがないことと周りに草木がないことが恵みを止めている証拠なのかもしれないな」
「左様ですね。ここまで綺麗な水ですので恵みはあると思います。草木も流れもない水場は大概汚れていますから」
「だな。とりあえず、俺の土属性魔法で水の道を少し修繕しよう」
「はい」
ユキルディスとサリバンは水場とかつての水道との間に木を使って簡易的な栓をした。
水道を整える間に水が流れていかないようにするためだ。
それが終わるとユキルディスは土属性魔法でかつての水道だと思われる窪みを深くし、整えていった。
道を作っていくとその水道は領主街になる予定の場所であり、以前の領地の中を通っていた。
道が出来上がるのに時間がかかり、既に日は暮れ始めていた。
「道、出来たね」
「左様にございますね」
「これでこの栓を取れば水が流れるはずなんだ」
「では、取りますね」
「うん、頼むよ」
ユキルディスは土属性魔法を限界まで使ったのでもうフラフラで木に寄りかかっていた。
サリバンはそんなユキルディスを優しい眼差しで見ている。
動けないユキルディスの代わりにサリバンが水場と深くした水道を隔てていた栓を……砕いた。
そう、砕いたのだ、それも粉砕だ。
拳1つで。
砕かれた事で水は水道を流れ始めた。
水の勢いは最初は強かったがある程度流れると緩やかになっていった。
勿論、栓となっていた木々はサリバンの拳で粉砕されてしまったので一緒にも流れていった。
勢い良く。
しかし、これで水問題は解決した。
それを確認したサリバンはユキルディスの元に戻った。
そんなサリバンにユキルディスは苦笑した。
「相変わらず、デタラメだよね。栓を取るんじゃなくて、粉砕しているし」
「ふぉふぉふぉ、何を言いますか。もう、爺なので全盛期よりかなり衰えておりますよ」
「サリバンの全盛期なんて知りたくないよ」
「そうですか?まぁ、息子はまだまだ成長の余地がありますので頑張らせますが」
「マリモ、可哀想に」
「何を言いますか。あれはいずれ私の跡を継ぐのですから、あのようにヒヨッコのままではなりません」
「はははーーさすがサリバンだね」
「ありがとうございます」
ユキルディスはマリモに心の中で合掌した。
少し休んだことで動けるようになったユキルディスとサリバンはアルフォンスの待つ屋敷に戻った。
サリバンが扉を開けるとその玄関ホールにはアルフォンスが待っていた。
アルフォンスの姿を見たユキルディスは微笑んだ。
「ただいま、アル」
「お帰りなさい、ユキ様、サリバンさん」
「ただいま戻りました、アルフォンス君」
「とりあえず、当面の水は確保できたよ」
「お疲れ様です」
アルフォンスは満面の笑みでユキルディスとサリバンを労った。
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編集(R2/11/17)
栓に対してご指摘いただき、説明不足だったため追加しました。
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