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第一章
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しおりを挟む「で、最後に防護壁製作についてだけど……どうしようか」
「そうですね。本来なら街ごとに作るんですが、どの範囲までをそうするかですよね」
「ですね。なぜか以前の防護壁がまったくないのですから」
「まぁ、もう1つの地図によればそこまで広くなかったんだよな、この領地」
ユキルディスが言うもう1つの地図というのは3つあった地図のうちの1つだ。
実はこの3つの地図のうち2つはユキルディスが成人の儀の時に賜った領地が網羅されているで、1つ目はアルフォンスに生態調査のために渡した。2つ目は計画を話し合うために現在机に広げて見ている。
そして、3つ目は放置された当初の領地範囲の物だ。
それは本当に広くなかった。
「そうですね。ですが、隣接した他領地との間にある空白部分もまとめて、賜れたんですよね」
「そうなんだよね。どうにもできない範囲だからってことでね」
「ですが、それが功を奏しましたね。それが入ったことで世界樹の力の及ぶ範囲は完全にユンゲート領内です」
「あ、そうなんだ」
「はい。今、精霊たちが世界樹になった時の力の範囲を教えてくれましたので」
「今、精霊たちいるの?」
「いますね。どうやら、急に綺麗になった屋敷を見学しに来たみたいです」
「そうか。いつでも遊びに来てくれたらいいと伝えてあげて、いたずらだけは勘弁だけど」
「分かりました。伝えておきます」
アルフォンスが近くにいる精霊たちにユキルディスが言ったことを伝えた。
精霊たちは喜んでいた。
そして、アルフォンスが精霊たちから聞いた世界樹の力の及ぶ範囲を地図に記入した。
「これ以上範囲が広がることは?」
「ないそうですよ。ユキ様が望まない限り」
「俺?なんで?」
「精霊たちも、聖樹もこの領主となるユキ様の意に反することはしたくないそうです」
「あ、そうなんだ。うん、分かったよ」
「はい」
「さすが、ユキルディス様。精霊たちにも慕われるとは、このサリバン嬉しゅうございます」
「大げさだよ!!」
サリバンがハンカチで目元をぬぐうのを見て、ユキルディスは突っ込んだ。
アルフォンスはそれを苦笑してみている。
サリバンがこのような対応するのは本来の主であるユキルディスの血筋の人間だけだ。
「まぁ、そういうことなら街の建設計画は世界樹の力が及ぶ範囲までの所に防護壁を建てよう。そして、その内側で農業・酪農をしよう」
「そうですね。それ以外の場所は魔獣などもいるはずなのでその生活圏としましょう」
「それがいいね。発展していけば周辺にも村を作るかもしれないけどね。現在は俺たち3人しかいないから領地内の領主街を作って、基盤を固めないと」
「ですね」
こうして、大体の方針が決まった。
しかし、この時のユキルディスの予想・予定は大幅に狂うことになる。
恵みが解放されるとどうなるのかの読みが甘かったのだ。
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