10 / 21
第一章
8
しおりを挟む
「さて、住む場所はどうにかなりましたが、これからどうされますか?」
「とりあえず、状況が変わったから物事の整理からかな。俺がこれから使う執務室を確認するついでにそこで話し合いかな」
「分かりました。一通り屋敷の中を確認してますので、こちらです」
「確認したんだ」
「はい」
ユキルディスは苦笑しながら案内をするサリバンに着いていった。
そして、着いた場所は確かに執務室だった。書類や本が多くあり、しっかりとした執務机やテーブルセットもあった。
ユキルディスは執務机の方に座り、サリバンとアルフォンスはその前に立った。
2人に座るように伝えても前に立ったままだった。
なので、ユキルディスは諦めて苦笑した。
「それじゃあ、始めようか」
「「はい」」
「本来はこの辺りを見まわって生態調査をしつつ、拠点を整えていく予定だったんだけど」
「ですが、精霊が多くいるので頼めば情報はすぐにでも入ってくると思いますよ」
「そうだね。現物も少しなら持ってきてくれるかな?」
「可能ですよ。場所も地図さえあれば記入できます」
「地図でしたらこちらに」
「用意周到だね!どこから手に入れたのさ、サリバン!!」
「もちろん、今後必要になるだろうと思いまして色々と手を……」
「うん!分かった!!分かりたくないけど、分かったから詳しくはいいよ!!」
「はい」
サリバンは手に入れた地図を3枚机の上に広げた。
普通に使われる地図は簡略しつつ、範囲もそんなに大きくないのだ。
本来、地図は軍事の際にも使われるので精密で領地全体を網羅したのは領主が1枚だけ持っているはずなのだ。
それが3枚も瞬時に出てくるのは本来はあり得ないのだ。
そういうこともあり、ユキルディスは呆れたように呟いた。
それに対してサリバンが当然というように答えようとしたので慌てて止めた。
詳しく知ってしまうとなんだか戻れなくなる気がしたからだ。
アルフォンスは相変わらずなサリバンに苦笑した。
「それじゃあ、とりあえず……アルフォンスは精霊たちにお願いして、この地図に生体情報を入れて行ってくれる?作物とかは見本として一つ持ってきて貰えるようにお願いしてもらえるかな?それで出来上がった時点でそれを確認しに行こうか」
「了解しました」
ユキルディスはそういうと地図を1枚アルフォンスに渡した。
そこにある程度書いてもらうことになった。
これは完全に生態調査用になった。
「この地図があるから水源の位置は分かるし、そこから考えて水の確保をしようか。地下水の位置もサリバンがいると把握できるから、井戸も制作できるか」
「はい。お任せください」
「うん。頼むよ」
「恵みの力がこれからめぐってくるから自然と土の改良はされるよなぁ。まぁ、先にちょっと魔法でやりやすいようにしとこう」
「そうですね。その辺は俺の『土属性魔法』でやっときましょうか?」
「任せても大丈夫?」
「もちろん、精霊たちと一緒に合わせて行いますので」
「あ、そっか~。恵みの力は精霊たちの方が把握できるから、連携できる方がいいもんね」
「はい」
「アルには負担をかけてしまうかもしれないけど、お願いね」
「もちろん、喜んで!」
「栽培等の作物の選定は精霊たちが見本を持ってきてくれたのを俺が鑑定しようか?」
「その方がよろしいかと」
「俺もその方がいいと思います」
「それじゃあ、そういう流れで」
「「はい」」
ほとんどの話がまとまり、ユキルディスの頭にあった計画とはだいぶ変わってしまった。
当初は数年かけて領主館を修繕しつつ、『鑑定EX』で生態調査を行いながら、『土属性魔法』で土の改良をして食べれる物を作っていくという計画だった。
でも、想定外に多くの精霊がいたことやユキルディスの実家の優秀執事が来てくれたことなどでだいぶ計画が前倒しになった。
本当なら自分たちの手でするはずだったから数年はかかると思っていた修繕がものの数分で終わってしまったし、精霊たちがおり、精霊たちの協力が得られたのも大きい。そこに来て聖樹の恵みの力、ひいては世界樹の力が手に入ったのもかなり大きい。
なので、計画自体が数年単位で前倒しになってしまった。それ自体は喜ばしいことなのだ。
「とりあえず、状況が変わったから物事の整理からかな。俺がこれから使う執務室を確認するついでにそこで話し合いかな」
「分かりました。一通り屋敷の中を確認してますので、こちらです」
「確認したんだ」
「はい」
ユキルディスは苦笑しながら案内をするサリバンに着いていった。
そして、着いた場所は確かに執務室だった。書類や本が多くあり、しっかりとした執務机やテーブルセットもあった。
ユキルディスは執務机の方に座り、サリバンとアルフォンスはその前に立った。
2人に座るように伝えても前に立ったままだった。
なので、ユキルディスは諦めて苦笑した。
「それじゃあ、始めようか」
「「はい」」
「本来はこの辺りを見まわって生態調査をしつつ、拠点を整えていく予定だったんだけど」
「ですが、精霊が多くいるので頼めば情報はすぐにでも入ってくると思いますよ」
「そうだね。現物も少しなら持ってきてくれるかな?」
「可能ですよ。場所も地図さえあれば記入できます」
「地図でしたらこちらに」
「用意周到だね!どこから手に入れたのさ、サリバン!!」
「もちろん、今後必要になるだろうと思いまして色々と手を……」
「うん!分かった!!分かりたくないけど、分かったから詳しくはいいよ!!」
「はい」
サリバンは手に入れた地図を3枚机の上に広げた。
普通に使われる地図は簡略しつつ、範囲もそんなに大きくないのだ。
本来、地図は軍事の際にも使われるので精密で領地全体を網羅したのは領主が1枚だけ持っているはずなのだ。
それが3枚も瞬時に出てくるのは本来はあり得ないのだ。
そういうこともあり、ユキルディスは呆れたように呟いた。
それに対してサリバンが当然というように答えようとしたので慌てて止めた。
詳しく知ってしまうとなんだか戻れなくなる気がしたからだ。
アルフォンスは相変わらずなサリバンに苦笑した。
「それじゃあ、とりあえず……アルフォンスは精霊たちにお願いして、この地図に生体情報を入れて行ってくれる?作物とかは見本として一つ持ってきて貰えるようにお願いしてもらえるかな?それで出来上がった時点でそれを確認しに行こうか」
「了解しました」
ユキルディスはそういうと地図を1枚アルフォンスに渡した。
そこにある程度書いてもらうことになった。
これは完全に生態調査用になった。
「この地図があるから水源の位置は分かるし、そこから考えて水の確保をしようか。地下水の位置もサリバンがいると把握できるから、井戸も制作できるか」
「はい。お任せください」
「うん。頼むよ」
「恵みの力がこれからめぐってくるから自然と土の改良はされるよなぁ。まぁ、先にちょっと魔法でやりやすいようにしとこう」
「そうですね。その辺は俺の『土属性魔法』でやっときましょうか?」
「任せても大丈夫?」
「もちろん、精霊たちと一緒に合わせて行いますので」
「あ、そっか~。恵みの力は精霊たちの方が把握できるから、連携できる方がいいもんね」
「はい」
「アルには負担をかけてしまうかもしれないけど、お願いね」
「もちろん、喜んで!」
「栽培等の作物の選定は精霊たちが見本を持ってきてくれたのを俺が鑑定しようか?」
「その方がよろしいかと」
「俺もその方がいいと思います」
「それじゃあ、そういう流れで」
「「はい」」
ほとんどの話がまとまり、ユキルディスの頭にあった計画とはだいぶ変わってしまった。
当初は数年かけて領主館を修繕しつつ、『鑑定EX』で生態調査を行いながら、『土属性魔法』で土の改良をして食べれる物を作っていくという計画だった。
でも、想定外に多くの精霊がいたことやユキルディスの実家の優秀執事が来てくれたことなどでだいぶ計画が前倒しになった。
本当なら自分たちの手でするはずだったから数年はかかると思っていた修繕がものの数分で終わってしまったし、精霊たちがおり、精霊たちの協力が得られたのも大きい。そこに来て聖樹の恵みの力、ひいては世界樹の力が手に入ったのもかなり大きい。
なので、計画自体が数年単位で前倒しになってしまった。それ自体は喜ばしいことなのだ。
8
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
秘宝を集めし領主~異世界から始める領地再建~
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とした平凡なサラリーマン・タカミが目を覚ますと、そこは荒廃した異世界リューザリアの小さな領地「アルテリア領」だった。突然、底辺貴族アルテリア家の跡取りとして転生した彼は、何もかもが荒れ果てた領地と困窮する領民たちを目の当たりにし、彼らのために立ち上がることを決意する。
頼れるのは前世で得た知識と、伝説の秘宝の力。仲間と共に試練を乗り越え、秘宝を集めながら荒廃した領地を再建していくタカミ。やがて貴族社会の権力争いにも巻き込まれ、孤立無援となりながらも、領主として成長し、リューザリアで成り上がりを目指す。新しい世界で、タカミは仲間と共に領地を守り抜き、繁栄を築けるのか?
異世界での冒険と成長が交錯するファンタジーストーリー、ここに開幕!
二度目の転生は傍若無人に~元勇者ですが二度目『も』クズ貴族に囲まれていてイラッとしたのでチート無双します~
K1-M
ファンタジー
元日本人の俺は転生勇者として異世界で魔王との戦闘の果てに仲間の裏切りにより命を落とす。
次に目を覚ますと再び赤ちゃんになり二度目の転生をしていた。
生まれた先は下級貴族の五男坊。周りは貴族至上主義、人間族至上主義のクズばかり。
…決めた。最悪、この国をぶっ壊す覚悟で元勇者の力を使おう…と。
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載しています。
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる