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第一章
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しおりを挟む「さて、結希君が受け入れてくれたところで、加護やスキルの話をしようかのぅ」
「あ!は、はい」
結希は自分がはしゃいでいたのを自覚して照れた。
グラノウスは本当に孫を見るお爺さんのようだった。
「まずはわしの加護について話そうかのぅ」
「はい」
「わしの加護は成長促進機能と言うべきかのぅ」
「成長促進ですか?」
「うむ。わしの世界ではステータスと言うものがあり、様々なものが数値化して見えるのじゃ」
「成る程」
「レベルが上がるとステータスの数値も上がる、そこでわしの加護は加護を受けている者の獲得経験値5倍にするのじゃ」
「か、獲得経験値が5倍?!」
結希は驚いた。
獲得経験値が5倍と言うことは確かに成長促進と言える。
レベルが上がれば上がる程次のレベルが上がるまでに必要な経験値はかなり多くなる。つまり上がり難くなる。それがレベル上げのある物の常識である。
ここでこの加護があれば他の人より成長し易くなる。
結希の驚きに気を良くしたグラノウスは微笑みながら続きを話した。
「そうじゃよ。じゃが、これで終わらんのが創造神たるわしの加護じゃ」
「え?」
「加護を受けている者と真に繋がっている者にも恩恵がある。加護を受けし者と真に繋がりし者に対して獲得経験値を2倍にするのじゃ」
「真に繋がりし者?」
「うむ。結希君に忠誠を誓った者じゃな。それは称号として表れるから分かるぞ」
「成る程。大切な仲間も一緒に強くなるってことですね」
「そうじゃよ」
結希は微笑んだ。
大切な仲間と一緒に強くなれるのは嬉しいと思ったからだ。
「さて、次にスキルの話をしようかのぅ」
「はい」
「結希君が欲しいスキルは何かあるかのぅ。だいたい、そちらの書物や遊戯に参考になる物が多くあるじゃろう?」
「そうですね。異空間なんかに収納できるスキルとか、物の詳細が分かる鑑定系のスキルがあれば嬉しいんですが」
「なるほどのぅ」
「あ、収納の方は時間経過がない、時間停止している方が嬉しいんですけど」
「大丈夫じゃよ」
「あと、魔法使ってみたいです」
「なるほどのぅ。向こうの世界は科学技術のみが発展していて魔法が完全になくなってしまっておたしのぅ」
「魔法が完全になくなっている?」
「そうじゃよ。人の歩みの中で何が大きく発展すれば、何が廃れると言うものよぅ」
「確かに」
グラノウスは結希の望みのスキルを選び出した。
スキルは小さな光の玉として結希の周りを漂っている。
「では、収納できるスキルとしては『アイテムボックスEX』、鑑定系のスキルとしては『鑑定EX』、魔法が使いたいとの事じゃったな」
「はい」
「しかし、魔法が覚えれるようにはできるが属性はランダムなんじゃよ」
「ランダム?何でですか?」
「ふむ、産まれる場所で使える魔法が変わるのじゃよ。言うなれば、産まれた先の家系でだいたい決まるのじゃ」
「なるほど、なら、使えるようにしていただければ」
「うむ。そのようにとりはかろぅ」
「ありがとうございます」
「こちらのミスじゃ、気にするな。では、次の生を楽しんでおくれ」
「はい」
結希は微笑み、グラノウスも微笑み返した。
結希はゆっくりと眠るように意識を手放した。
そして、結希はユキルディス・フォン・アルフレッドとして生を受けた。
そこから紆余曲折あって冒頭に戻るのだった。
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